華湖の湖~おもらし絵ブログ~

主に学校内でのおもらしを、自作絵やコミPo!を使って表現していくブログです。おもらしに興味のある方はもちろんの事、興味の無い方にも、こう言う性癖もあると言う事を理解してもらえたら嬉しく思う限りです。公開している絵に関しては、転載は止めて下さい。

overwrite~第2話~

こんばんは。

overwrite~第2話~をお送りします。
前回で過去の話は終わり・・・・。
と思いきや、第2話開始2行でまた過去に戻ります・・・。
ああ・・・、この文章構成力の無さよ・・・(× ×)。。。
なんか色々矛盾してないよな・・・とかもかなり怪しいし不安です・・・。
致命的なの以外は、おおめに見てもらえると助かります(^^;
(もし致命的な矛盾点があったらお知らせ下さるとありがたいです)
兎に角、文章も自前絵もなかなか上達しませんが、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
今日は、昼間に、莉穂ちゃんの誕生日記念日記も上げました。
よかったらそっちも見て下さい。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。

次回は、1回overwriteはお休みしまして。
悠奈ちゃんの、この季節にちなんだお話をあげようと思います。
(続きは、正月明けになると思います)

それでは本編をどうぞ。




前回までのあらすじ。

黄水大附属高等学校演劇部で、2月に行われる『卒業記念公演(卒演)』のヒロインに選ばれた朝野亜理紗は、
その打ち合わせの場で、親友の渡辺珠樹が自分に『卒演』でおもらしをさせようとしている事を知ってしまいます。
中学2年の時に失敗して、心に深い傷を負っている亜理紗は、どうしてそんな事をさせるのかと、珠樹に問いかけます。
珠樹は、そんな亜理紗にこう返しました。

「何で、大して興味の無い、演劇部に入ったの!?」

「それは・・・」
元バレー部のキャプテンであった亜理紗、バレーにはもう完全に未練は無いのか・・・。
それとも・・・。



「中学の時は仕方が無いと思ったよ・・・、でも高校では、またバレー始めると思ってたのに・・・」
少し悲しそうな目をしながら言う珠樹・・・。



おもらし後。
保健室登校を続ける亜理紗の元に、
顧問の先生が、バレー部に復帰するよう説得をしに来た事がありました。

「朝野、お前がいないと地区予選突破すら厳しい状況だ・・・。頼む・・・、戻って来てくれ・・・」
必死に訴えかける先生。
ですが亜理紗は、下を向いて言いました。

「・・・ごめんなさい、先生、無理です。」

「お前が心配してるのは例の件だろ?あんなもん気にするな。
それに、俺からもきつく注意してある・・・。何も心配はいらん・・・な?」

(気にするなって・・・?!気にするに決まってるじゃんっ!!!
それに、先生の注意なんて、あの子達には無意味よっ・・・)

「戻りません!!早くどっか行ってください!!」
そう言って、亜理紗は復帰を拒否しました。

その後も、何度か先生は説得に来ましたが、亜理紗は頑なに拒否し続けました。

(私だって、バレーはしたい・・・。でも、あんな風に馬鹿にされるのはもう嫌・・・)
その時の亜理紗は、ある種の対人恐怖症に侵されていました。
生徒の顔を見るだけで、おもらしした事を馬鹿にされるのではないかと考えてしまい、恐怖で体が動かなくなってしまうのです。
なので、唯一の例外であった珠樹を除き、
亜理紗は、中学を卒業するまで、生徒の誰とも接触せずに過ごしました。

そんな状態のまま、亜理紗は黄水大附属高等学校に入学しました。
珠樹とクラスが違ってしまった亜理紗は、やっぱり最初はクラスメイトの顔を見る事が出来ませんでした。
ですが、それが返って功を奏したのか亜理紗は、

(なんの為にここを選んだのよ!!しっかりしろ私!!!)
っと、自分自身に活を入れ、さらに

(ここには私の失敗を知る人は一人もいない・・一人もいない・・・、一人もいない・・・、珠樹は別だけど・・・)
と、呪文のように心の中で唱える事で、対人恐怖症を克服したのでした。
友達・・と呼べるかは微妙でしたが、話しができるクラスメイトも何人か出来て、
亜理紗の高校生活は上々のスタートを切りました。



「私は、前から話してる通り演劇部に入るわよ、その為にこの高校選んだんだし!!」
昼食中、珠樹は亜理紗に向かって生き生きとした口調で話しました。
入学して2週間、そろそろ部活を決めないといけない時期です。

「ここの演劇部は全国的に知名度あるの、
亜理紗にも見せたでしょ、例の動画、・・・ってまぁ違法なんだけどさww
私の脚本が『卒演』で採用されれば、夢の脚本家への道がぐっと近づくわ、きっと・・」

「珠樹は凄いなぁ・・・、中学の時からそこまで将来の事を考えてたなんて・・・」
珠樹と同じじゃないと不安だから。
おもらしを知ってる人がいない場所じゃないと無理だから。
それだけの理由で、高校を選んだ自分とは大違いで、
亜理紗は、珠樹が自分を置いて何処か遠くへ行ってしまいそうな不安に駆られました。

「亜理紗はバレー部入るんでしょ」
珠樹は、さもそれが決定事項のように言いました。
その言葉に、亜理紗は、突然背後から襲われたかのような衝撃を受けました。

「え・・・と、どうしようかなぁ」

「え・・?入らないの?!!保健室では、やりたいけど・・・、って言ってたじゃん!!!」
生き生きと自分の事を語っていた珠樹の顔が、どんどん絶望に満ちた顔になって行きました。

or006.jpg
「やりたいけど、馬鹿にする人がいたから出来なかったんでしょ?もう平気になったんじゃないの?違うの?」
若干取り乱しながら話す珠樹。

(な・・・何、何???何で、珠樹がそんな顔するのよ)

「そうね・・・、でも、その、え・・演劇もなんか良いかなぁ・・なんて・・・」
ドギマギしながらそう言うと、珠樹は間髪入れずに、「何で?」と返しました。

「それは・・・・」
とても情けない理由だったので、亜理紗は言えませんでした。

「亜理紗ちゃ・・、亜理紗はバレーやらないと駄目だよ!!」

「ま・・まぁ、そんなに熱くならないでよ珠樹、自分の事は、自分で決めるから」

「・・・・・」

でも結局、それから数日後の演劇部の部室には、珠樹とそろって入部届を提出する亜理紗の姿がありました。

「バレー部、入らなかったんだね・・・」
そう呟く珠樹の表情は、凄く寂しそうでした。

でもそれも、その日1日だけの事でした。
珠樹は、それ以降、亜理紗に言及する事はありませんでした。

今日まで、ずっと・・・。



「バレーに未練がないって言うなら別に良いよ。
でも、違うよね?
この前も全日本の試合結果気にしてたし・・・」

「私、野球の結果も気にしてるけど・・・・、バスケのBリーグも・・・」

「屁理屈言わないでよ・・・」
しょうもない反論をする亜理紗に、珠樹は大きなため息をつきました。
そして右手を腰に当てて強めの口調で言いました。

「じゃあこの場でハッキリ言ってよ、バレーボールには一切興味はない、未練も無いって・・・」

「え・・・っ」

「言えたら私、もう何も言わないわ。
『卒演』のヒロインも降りて良いよ」

「・・・・・」
『卒演』のヒロインを降りれば、『おもらし』しないで済む・・・。
でも、亜理紗は言えませんでした。
やりたくても出来ないだけで、今でもバレーは大好きなのです。

「言えないのね」

「た・・・珠樹の役に立ちたかったの、バレーはそりゃ好きだけど、
ブランク開いちゃったしさ、だからいっそ新しい事やろうと思って。
それで演劇部に」

「そんなの自分に対する言い訳でしょ!
さっきも言ったけど、あんたがバレー部に入らなかったのは、
中学のおもらしのトラウマを引きずったままだからよ」

「違」

「違わない!!」
亜理紗に反論の隙を与える事無く珠樹は続けます。

「亜理紗は、おもらしを馬鹿にされるのが相当嫌だったもんね・・・。
バレー部に入ったら、対外試合とかで、おな中の人と接触するかも知れない、
そこから話が伝わって、また馬鹿にされるかも知れないとか考えたんでしょ?」

「・・・・」
図星でした。
果たしておな中の人と対外試合でぶつかったりする事が、そんなに頻繁に起こり得るのか。
また、仮におもらしした事が発覚したとして、遥か昔(と言っても数年ですが)の、
しかも、話で聞いただけのおもらし事件について、
高校生が馬鹿にしたりするのかと聞かれれば、だいぶ疑問が残ります。
でも、ネガティブ思考と言うものは、本人が気にしていれば気にしている程、
深い深い疑心暗鬼の闇に陥ってしまうものなのです。(経験談(笑))

「私の役に立ちたいって言うのが本当なら、別におもらしを躊躇しないよね。
それを嫌がってる事自体が、トラウマを引きずってる何よりの証拠よ」
ミステリードラマで、犯人を追い詰めたような口ぶりで、珠樹は言いました。

本音をズバリ言われてしまった亜理紗は、一度大きく息を吐きだすと話し始めました。

「そうよ、全部珠樹の言う通り・・・・。
未だに私は、あの時の事を馬鹿にされるのが怖くてビクビクしてるの。
だから、入りたかったけど、バレー部には入れなかった・・・。
情けないわよね・・・、自分でもそう思うけど、どうしようもないのよ・・・」
続きを話そうとすると、目に涙が溜まって来ました・・。

「トイレに行くと・・今でもあの時の事が頭をよぎって・・・、スンッ・・、
は・恥ずかしくて・・な・・、泣き・・そ・・、なる・・グス・・し・・・。
夢も・・、エグ・・・、グス・・、見・・・る・・し・・、ヒック・・ヒック。
な・・何で・・、グスッ・・・、あんな・・、あの・・と・・・き・・、
ちゃんと・・、トイレに・・行って・・・グス・・・おけ・・・ば・・・・・」

「あ・・・亜理紗、ちょっと・・・」

or007.jpg
「ふぇぇえええ~~~・・・・」
話の途中で亜理紗は、とうとう泣き出してしまいました。

「や・・やめてよ、私が泣かせたみたいじゃん・・・もう!!こっち来てっ!!」
珠樹は、泣きじゃくる亜理紗の手を取ると、グラウンドの流し台まで引っ張って行きました。
そこで珠樹は顔を洗うように亜理紗に促しました。

・・・・・・・・。

「ふぅ~~~、・・・ってか冷たっ!」
晩秋の冷たい水を顔に浴びて、亜理紗は落ち着きを取り戻しました。

「はいコレっ、少しは落ち着いた?」
そんな亜理紗に、珠樹はハンカチを手渡しました。

「ありがとう」
亜理紗は、珠樹から受け取ったハンカチで顔を拭うと続けて言いました。

「どう?わかったでしょ?私のトラウマっぷりが・・・」

「あ・・うん・・・。まさか泣く程とは思わなかった」

「思い出しただけでもこんななのに、
舞台でお・・・、おも・・、なんて、幾ら珠樹の頼みでも、悪いけど無理よ」
そう言って亜理紗はハンカチを珠樹に返しました。

「違うわ亜理紗、こんなだからこそ、やらないと駄目なのよ」
ハンカチをバックにしまいつつ、珠樹は言いました。

「はぁ?意味わかんない、って言うか、最初に戻るけど、
どうして私に、お・・・、も・・・をさせようとしてるのよ?
私のトラウマと『卒演』のおも・・・、がどう関係するの?」
亜理紗の問いに、ゆっくりと珠樹は話し始めました。

「亜理紗が演劇部に入部した時、私思ったの、
亜理紗は、まだおもらしのトラウマを引きずってるって・・・。
それで、どうすればトラウマを克服する事が出来るのかって考えて・・・」

「それが『卒演』でお・・・、する事だって言うの!?」
訝し気な表情でそう言った亜理紗に、珠樹は即「そうよ」っと返しました。

「スポーツの世界でも良く有るじゃない、誰かに負けた嫌な記憶を、
もう一度同じ相手にリベンジして打ち負かす事で、その記憶を上書きする、みたいな・・・」

「・・・・・・・はぁっ?」
亜理紗は珠樹の言わんとしている事がわかってきました。

「つまりね。中学時代の苦いおもらしの記憶を、『卒演』でおもらしする事で上書きするの」
それが、亜理紗におもらしをさせようとしている一番の理由でした。

「ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!」
馬鹿馬鹿し過ぎる珠樹の言葉に、亜理紗は少しイラッとして言いました。

すると、

「そんなのやってみないと分からないじゃん!!」
っと、珠樹は真剣な表情で言い返しました。

(ッ!!!何マジな顔してんのよっ!!!)

「分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!」
頭に来た亜理紗は、怒りを込めて大声で言い放ちました。

「ち・・違う、馬鹿になんてしてない、私は真面目に・・・」
珠樹は驚いて、ちょっと涙目になって言いました。

「・・・・はぁ」
その表情を見て、言い過ぎたと感じた亜理紗は、一呼吸置くと、続けて言いました。

「ごめん、ちょっと言い過ぎた・・・。
けど・・、悪いけどやっぱりヒロインは降りるわ。
私の事、色々考えてくれてたのは嬉しいけど・・・。
そんな、なんの根拠もない実験みたいな理由で、
また、お・・・、したく無い・・・。
本当に、今でもつらいんだ・・・、ごめんね、珠樹」
亜理紗はそう言うと、珠樹の横を通り過ぎて行きました。

「ちょっと待ってよ亜理紗!!
昔のトラウマ蒸し返すような事をして悪いって思ってるよ。
でも、私には、これ位しか思いつかなかったの・・・、無理やり復帰させるのは違うと思ったし・・・」
珠樹は亜理紗の背に向けて言いますが、亜理紗は振り向きませんでした。

「次の打ち合わせまでに、亜理紗がOKしないと、
野口さん主演の別の脚本で行く事になる・・・。
トラウマを克服する機会を失って良いの!?、ねぇっ!!」

「ごめん珠樹・・・」
そう言うと亜理紗は駆けだしました。
直ぐに、珠樹の姿は見えなくなりました。

・・・・・。

「はぁ・・、はぁ・・・」
亜理紗は駅までの約1.5kmを走り向けました。
電車に乗り込むと、暇つぶしにスマホゲーをしながら、珠樹の事を考えました。

(珠樹、入部した時に・・・とか言ってたな・・・。
それって、その時からさっき言ってた事を考えてたって事??2年以上も前から・・・・)
亜理紗の脳裏に、珠樹と過ごしたこれまでの部活動の記憶が蘇って来ました。
努力に努力を重ねて、部長に登りつめ『卒演』の脚本を手掛けるまでになった珠樹・・・。

(今迄の努力は、私にトラウマを克服させる為だったの・・・・??全てがその為だけだとは、流石に思えないけど・・・、でも・・)
自宅の最寄り駅に着くと、亜理紗は電車を降りました。

(私なんかの為に、何でそこまでするの??・・・珠樹)



(はぁ~~、まぁ、そう簡単に納得してくれるとは思って無かったけど・・・)
亜理紗に遅れる事、数分。
珠樹は、駅までの道を一人、黙々と歩いていました。


「早く戻って来てよ。亜理紗ちゃん」




「はぁ・・、はぁ・・」
(お・・・おしっこ・・・、おしっこ・・したい)

「あ・・、ああっ!!はぁ・・」
(え・・、もうすぐ出番!?ど・・どうしよう、おしっこ・・もれ・・ちゃ」

「はっはっ・・、はぁあああっ!!ああっ!!」
(あ・・う・・、手・・離さないと、指揮できない・・でも・・でも・・・)

「あああっ!!や・・・てぇ・・やっ・・やっ・・!!」
(あっ・・手が・・勝手に・・駄目!!手を離したら・・・おしっこ出・・・)

「あっ・・・、あっ・・・、あっ・・・」
(シャアアアアアアア~~~~~~~・・・・パシャパシャパシャパシャ・・・・)

「あっ!!うぅ!!いやぁ・・・、見・・・で・・」
(止まって!!止まってぇ!!嫌ぁ!!見ないでぇ!!!)


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ガバッ!!!

翌日の朝。

「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・」
亜理紗はベットから、勢いよく体を起こしました。
体中から冷や汗をかいて、動悸が激しいです。

「もう・・、またあの時の夢・・・・」
亜理紗は、今でもあの日の事を夢に見ては、うなされていました。

「って事は・・・」





「お母さん・・・、その・・・、やって・・・しまいました・・・」
亜理紗は朝食の準備をしているお母さんにそう告げました。

そうです。

亜理紗は、高校3年生にもなって、おねしょをしてしまったのです。
お尻も背中もびしょびしょのパジャマを着て、亜理紗はお母さんの前に立ちました。

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「えっ・・・また!?この前しちゃったばっかりじゃない??」
お母さんは驚いて言いました。

「・・・見ちゃったんだもん、仕方無いじゃない」

「全くもう、早くシャワー浴びて来なさい・・・、
あ・・・、パジャマは水洗いしてから洗濯機に入れるのよ!!」

「分かってるわよ・・・」
亜理紗は、お風呂へ直行しました。

バシャッ、ゴシゴシッ、ゴシゴシッ・・・・
(もう!!珠樹のせいで、この前見たばっかだったのに、また見ちゃったじゃない!!)
昨日の事を思い出して、亜理紗は、
お風呂でパジャマとパンツを洗いながら、珠樹に悪態をつきました。
別に亜理紗のおねしょは、常習と言う訳ではありません。
あの日の事を夢に見た時だけ、夢の中のおもらしと同時に、
現実でも布団の上に世界地図を描いてしまうのです。
あの日の夢を見るのは、大体一ヶ月に1回程。
今月は先週見たばかりだったので、お母さんが驚くのも無理はありません。

「行って来ます」
その後、準備を整えた亜理紗は家を出ました。
ベランダに目をやると、僅かに見える布団の影・・・。
いくら布団を干す場所が、人目に付かない場所にあるとは言え、
自ら描き上げた世界地図付きの布団が、
外に堂々と干されていると思うと、恥ずかしくて堪りませんでした。



駅に着くと、いつも通り珠樹と会いました。

「おはよう亜理紗」

「・・・おはよう」
挨拶を交わすと、それきり会話は途絶えました。
昨日までは、他愛の無いおしゃべりで盛り上がれてたのに、
お互いに、何を話せば良いか分からず、ただ黙る事しか出来ませんでした。
電車の乗車位置に着くと、
間が持たなくなった亜理紗は、スマホを取り出してゲームを始めました。

「・・・・」
珠樹は、そんな亜理紗の姿をただじっと見つめていました。

そうこうしている内に、電車がやって来ました。
電車に乗り込んでも、亜理紗はそのままゲームをし続けました。
暫くして、珠樹はそんな亜理紗に向かって、意を決して話しかけました。

「亜理紗、昨日の事なんだけど・・・、考えてくれた?」

「・・・・・」
亜理紗は無視して、ゲームを続けました。

「ねぇ・・、聞いてる?」

「今良いとこなのよ、ちょっと待ー」

「そんなゲームなんかより大事な話をしてるのっ!!!」
大きな声を出す珠樹に、周りの乗客が一斉に目を向けました。

「ちょ・・、周りの迷惑考えなよ」
亜理紗は、慌ててスマホをしまうと、周りの人にすみませんのジェスチャーをしました。

「昨日答えたでしょ。降りるって」
亜理紗はきっぱりとそう言いました。

「今のままだと、大学行ってもバレー出来ないままだよ。
亜理紗はそれで良いの?本当に良いの?」

(バレー、バレーって・・、何なの全く・・・)
珠樹が望んでいるのは、トラウマの克服と言うより、寧ろバレー復帰の方。
そう感じ取った亜理紗は、珠樹にこう言いました。

「あのさ珠樹、私の事心配してくれるのは嬉しいんだけど。
何でそこまでして、私をバレーに復帰させようとするの?」

「え・・・っ!!」
聞かれた珠樹は、虚を突かれたかのようにハッとして、

「だって・・・、それは・・・・、」
直後、顔をほんのり赤くしました。

「・・・・覚えてないの?私は、亜理紗ちゃんー・・・」

「????」

プシュウウウウウ・・・・
っと、そこで扉の開く音がしました。
会話に夢中で気が付きませんでしたが、よく見ると、もう降りる駅についていました。

「わ・・降りないと!!!」
2人して慌てて電車から降りると、込み合う駅構内の影響で、お互いを見失ってしまいました。
そして結局、2人はそのまま教室まで再会する事はありませんでした。

(珠樹、一体何て言おうとしたんだろう・・・?)
授業を受けながら、亜理紗は珠樹が最後に何を言おうとしていたのかをずっと考えていました。
同じクラスなんだから直接聞けば良いだけの話なのですが、
教室で会った後は、またお互い何となく、話しかけ辛くなってしまったのです。

(亜理紗ちゃん・・・???)

その日、亜理紗と珠樹が会話をする事は、もうありませんでした。



放課後。

この日の部活は、発声練習や、後輩への演技指導等が行われました。

「朝野先輩ーっ!!『卒演』のヒロイン役!!凄く楽しみにしてます!!頑張って下さい!!!」
演技指導中、後輩の女子生徒が亜理紗に話しかけて来ました。

「私もです!!先輩なら、どんな役でも絵になりますからね~。この前の文化祭の時も最高だったし~」
そこに、直ぐにもう一人、後輩が便乗して来ました。

実は亜理紗は、持ち前のルックスと、バレーで鍛え抜かれた美脚とスタイルで、
校内で相当モテる(男女問わずw)存在だったりします。
演劇部内外では、二枚看板女優の一人として『美の朝野』と呼ばれており、
もう一人の『技(演技)の野口』とは、人気を2分する存在だったりするのです。
まぁ、周りが騒いでるだけで、
当の本人たちは、自分の事も相手の事も、別に何とも思っていないのですが・・・。
(新聞部は、勝手にライバル関係と決めつけて、面白可笑しく記事にしていますけど・・)

「ありがとう。でも私、ヒロイン降りるから・・・」
その言葉に、後輩たちは酷いショックを受けました。

「えええええ!!!!!なななんあななんでですかぁぁぁ!!!!」

「駄目です駄目です駄目です絶対に駄目ですそんな事!!!」
凄い形相で亜理紗に迫る2人。

「野口先輩に何か言われたんですか!!そうなんですね!!」

「待って紗季ちん、あの善人の塊のような野口先輩に限って、それはまずあり得ないわ」

「そうか・・・、じゃあ一体誰が、・・・そうか!!!」

「そうだよ紗季ちん、犯人は・・・」

「そう・・犯人は・・・・」

「あの・・君たち・・・・」
勝手に盛り上がる後輩2人に、亜理紗は戸惑いました。


or010.jpg
「部長ですね!!部長に何か言われたんですねっ!?」

(当たり(苦笑)・・・ってか、別に犯人とかじゃないから!!!)

「先輩、私達で部長に文句言って来てあげますよ?」
そう提案する後輩達に亜理紗は言いました。

「心配してくれてありがとう、でも別に珠樹は関係ないから、自分自信の問題なの」

「・・・・・」

「明後日の打ち合わせで、どうなるかは分からないけど・・、あんまり騒いだりしないで、お願い」
亜理紗がそう言うと、しぶしぶ後輩達は頷きました。

「分かりました・・・、でも先輩。私達、信じてますから・・・」



翌日。

亜理紗はわざと時間をずらして家を出ました。
珠樹と顔を合わせる機会を少しでも減らす為です。

(このまま明日の打ち合わせまで逃げ切れば、それで終わりよ。
何でそんなに、私をバレーに復帰させたいのかは分からないけど・・・。
たとえ演技でも、もう2度と、あんなみっともない事、したくない・・・)
狙い通り、駅には珠樹の姿はありませんでした。
電車に乗り込むと、スマホを取り出してゲームを始めました。

(珠樹には分からないんだよ・・・、お・・おもら・・が、
どんなに、みっともなくて・・・、情けなくて・・・、恥ずかしくて・・・)

(そして・・・・)

(死にたくなる程、絶望的な気持ちになるって事が・・・・)
そんな事を思ってゲームをしていると、直後、ゲームオーバー画面が表示されました。
それを見ながら、亜理紗は、スマホを持つ手に力を込めました。

「チッ!!課金しないともう先に進めねーじゃん!!このクソゲー・・・」

その日は亜理紗と珠樹が会話をする事はありませんでした。



そして、運命の打ち合わせの日。

(どうすれば良いんだろう、どうすれば亜理紗を説得できるんだろう・・・)
駅までの道を歩きながら、珠樹は正直焦っていました。

(昨日も結局話せなかったし・・・、LINEは既読スルーだし・・・)

「このままじゃ、亜理紗ちゃんが・・・・」
そんな珠樹にふと、あるものが襲って来ました。
まだほんの僅かではありますが、それは、『尿意』。

(トイレ行ってから家出たのに・・・、まぁ・・大分冷えるもんね・・・、
駅着いたら、取りあえずトイレに・・・)

「!!!!」
その時、珠樹の頭の中に、3日前の亜理紗との会話が浮かんで来ました。


『ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!』

『そんなのやってみないと分からないじゃん!!』

『分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!』


「そうか・・・、そうだよね」
珠樹は、ある決心をしました。

そして・・・・・。

「ゴクゴクゴクゴク・・・・」

続く。
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  1. 2016/12/18(日) 20:30:00|
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コメント

ども、こんにちわ!
1話から読みましたがトラウマっぷりが確かに凄い。
こういう子には・・・彗ちゃんを会わせるしかない!
・・・学校が違いますね。
この高校にはおもらしっ娘はいないんでしょうか?
とてもおもらし映えしそうな制服なのに。

しかし「トイレにいかなかった後悔」の台詞は、
「おもらしとは女子にとってもっとも恥ずかしい行為」ということを、
改めて思い出させてくれますね。
もしかしたら、りほちゃんの如く2、3回と経験を重ねれば、
恥ずかしさは軽減されていくのかも知れませんね。
  1. 2016/12/27(火) 17:48:25 |
  2. URL |
  3. たたら #v6O6VgHs
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

たたらさん、こんばんは。

> 1話から読みましたがトラウマっぷりが確かに凄い。

思い出して泣いたり、夢を見るくらいですからね、相当トラウマを引きずっています。
当ブログで一番かもしれないです。

> こういう子には・・・彗ちゃんを会わせるしかない!
> ・・・学校が違いますね。

彗ちゃんに会えば、少しは自信が回復しそうです。
でも、ノリが軽すぎて、真剣に悩んでる亜理紗は腹が立つ可能性もありそう・・?

> この高校にはおもらしっ娘はいないんでしょうか?
> とてもおもらし映えしそうな制服なのに。

亜理紗達の学校には、常習犯のような生徒はいないですね。

> しかし「トイレにいかなかった後悔」の台詞は、
> 「おもらしとは女子にとってもっとも恥ずかしい行為」ということを、
> 改めて思い出させてくれますね。

ありがとうございます。
男子にとってのおもらしは『数ある失敗の中の一つ』でも、
女子にとっては『絶対にしてはいけない失敗』と言う位に、
認識の差があるんじゃないかと個人的に思っています。
その失敗を犯してしまった時の後悔の念は、計り知れないですね。

> もしかしたら、りほちゃんの如く2、3回と経験を重ねれば、
> 恥ずかしさは軽減されていくのかも知れませんね。

莉穂ちゃんは経験を重ね過ぎてしまいましたが(笑)
それはあるかなぁ・・と、これ以上はネタバレになりかねないので、すみません(^^;
  1. 2016/12/27(火) 21:03:36 |
  2. URL |
  3. 華湖 #-
  4. [ 編集 ]

よいお年を

こんにちわ、今年も終わりですね。
亜理紗ちゃんのトラウマが・・・かわいそう過ぎて。
友達のことばかり書いているのもなんですので、
もう書いちゃいますがww私の最後のおもらしは小5です。
しかも授業中・・・・ですね、連続授業・・・・
それでもかなりの精神的ショックがありました。
小5でこんなの世界に私だけだと。その時はまさか中学で友達のおもらしに遭遇するとは思ってもみませんでした。
友達におもらし話持ち出されたら辛いです。でも、まだ2人に隠された秘密がありそうなので、続きを楽しみにしています。

演劇部・・・私は吹奏楽部だったので演劇部はお友達でw
(※主活動がミュージカルの部だったので音が必要)
約1年前に演目が決まるのでみんな気合を入れていました。
ただ高校生ながらに地味に残酷?な感じもあり、
ヒロインは痩せていて可愛い子で、
男役は背の高い子、
小柄だと自動的に子供役・・・とか、高校生にはちょっとあんまりな役振り分けななされていましたね。それでトラブルもない訳でもなく。こっちに楽譜が回ってくるのが、遅れることもないでもなくw
亜理紗ちゃんなら間違いなく人気が出ますね~元運動部なら根性も人一倍でしょうし。私みたいな文化系の背のちっちゃいのは、後輩に慕われる子っていうのはちょっと憧れでした。

もうひとつ、気がついたけど亜理紗ちゃんは中学当時と髪型違いますけど、これはけっこう効果的ですよ。
自分の内面よりも、髪型を変えると印象かわるので周りもなんとなく「違う子」みたいに見ている・・・ような気がするので。
珠樹ちゃんの発案かな・・・?

そんな年の終わりに自分の話ばかりしていてゴメンナサイ。
それでは来る年が華湖様、皆様にとって佳き年でありますように。
  1. 2016/12/31(土) 15:59:40 |
  2. URL |
  3. RIN #tHX44QXM
  4. [ 編集 ]

Re: よいお年を

RINさん、こんばんは。

> 亜理紗ちゃんのトラウマが・・・かわいそう過ぎて。

泣きながら語るシーンは、自分でも書いてて悲しくなって来てしまいました。 

> 友達のことばかり書いているのもなんですので、
> もう書いちゃいますがww私の最後のおもらしは小5です。
> しかも授業中・・・・ですね、連続授業・・・・
> それでもかなりの精神的ショックがありました。
> 小5でこんなの世界に私だけだと。その時はまさか中学で友達のおもらしに遭遇するとは思ってもみませんでした。

自分のおもらしは小1の時で、当時片想いしてた子が自分より前に、
他にも数人のクラスメイトが前後でやらかした事もあり、そこまでショックは引きずりませんでした。
その頃から、(と言うか物心ついた時から)既におもらし好きだったのも多少有ると思います。
それでもやっぱり小1ながらに結構恥ずかしかったので、高学年ではつらいですね・・。

> 友達におもらし話持ち出されたら辛いです。でも、まだ2人に隠された秘密がありそうなので、続きを楽しみにしています。

既に5話では終わらない感じです。(^^;
新年初おもらし(笑)は看板娘さんに今年は譲りたいと思っているので、続きは1月中頃以降になると思います。
少し間があいてしまいますが、お待ちくださいm(_ _)m

> 演劇部・・・私は吹奏楽部だったので演劇部はお友達でw
> (※主活動がミュージカルの部だったので音が必要)
> 約1年前に演目が決まるのでみんな気合を入れていました。
> ただ高校生ながらに地味に残酷?な感じもあり、
> ヒロインは痩せていて可愛い子で、
> 男役は背の高い子、
> 小柄だと自動的に子供役・・・とか、高校生にはちょっとあんまりな役振り分けななされていましたね。それでトラブルもない訳でもなく。こっちに楽譜が回ってくるのが、遅れることもないでもなくw

演劇部では無かったので、想像で書いているのですが、小柄だと自動的に子供役とか、確かにあんまりですねw
実は自分も吹奏楽部でした・・・。
小学生の時の話ですが、トランペットを吹いてました、今は吹けないな、たぶん・・・。
高校の時は漫研でした。(正確には違うのですけど)

> 亜理紗ちゃんなら間違いなく人気が出ますね~元運動部なら根性も人一倍でしょうし。私みたいな文化系の背のちっちゃいのは、後輩に慕われる子っていうのはちょっと憧れでした。

背が高くて見栄えがすると言う事で、スター的な人気があると言うイメージですね。
一方、野口さんは実力派女優と言った感じです。
どちらも面倒見が良いので慕われています。

> もうひとつ、気がついたけど亜理紗ちゃんは中学当時と髪型違いますけど、これはけっこう効果的ですよ。
> 自分の内面よりも、髪型を変えると印象かわるので周りもなんとなく「違う子」みたいに見ている・・・ような気がするので。
> 珠樹ちゃんの発案かな・・・?

実の所、深い考えがあった訳では無いです(汗)
時間の経過をわかり易くする為に、中学と高校で髪形を変えたのですが、
成程、そういう効果も期待できる訳ですね。
なので発案者はご想像にお任せします。

> そんな年の終わりに自分の話ばかりしていてゴメンナサイ。
> それでは来る年が華湖様、皆様にとって佳き年でありますように。

RINさんのコメントを参考にさせて頂いた事は、これまで数知れず、
本当に助かっています、ありがとうございます。
来年も、宜しければ、お時間がある時にでも見て下されば嬉しいです。
それでは、良いお年を。
  1. 2016/12/31(土) 18:01:09 |
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  3. 華湖 #-
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