華湖の湖~おもらし絵ブログ~

主に学校内でのおもらしを、自作絵やコミPo!を使って表現していくブログです。おもらしに興味のある方はもちろんの事、興味の無い方にも、こう言う性癖もあると言う事を理解してもらえたら嬉しく思う限りです。公開している絵に関しては、転載は止めて下さい。

悠奈ちゃんのクリスマス

悠奈、12月大好き!!
寒くておしっこ近くなるのは嫌だけど。
クリスマスがあるから!!!

24日、クリスマスイヴの夜は、お兄ちゃん、お姉ちゃんと悠奈の3人でケーキを食べて、お祝いするの!!
(パパとママは、お仕事が忙しくて、今年も無理なんだってぇ・・・(>_<))

それとね、何と今年は23日にも、
加治さんの家で、加治さん、吉原さん、小松さん、悠奈の4人で集まって、クリスマスパーティーするんだぁ!!
悠奈、お友達の家に遊びに行くの初めてだから、今から凄く緊張してるの・・・。
でも、凄く楽しみ~・・。
お姉ちゃんに話したら、「良いんじゃない」って言ってOKしてくれました。
でも、「くれぐれも粗相のないようにね」って注意もされました。
粗相って、おもらしの事だよね?
うん、しちゃったら不味いもんね、気をつけないと・・・。

でもね、悠奈が一番楽しみにしてるのは、何と言ってもサンタさんからのプレゼント!!
今年はね、もう欲しいもの決まってるんだ!!

ママとお姉ちゃんとでよく行くデパートでいつも見る、大きいクマさんのぬいぐるみ。
悠奈、人目見た時からその子の事気に入っちゃって・・・。
デパートに行く度に、ママとお姉ちゃんにおねだりするけど・・・。

「こんな高いもの買うお金が何処にあるの!!!」
って、悠奈、怒られてばっかりなの。

だからね、クリスマスまで待って、サンタさんから貰おうって思ったの!!
悠奈って賢い~。

あ・・・っ、そう言えばまだ、サンタさん宛にお手紙書いてなかった!!
悠奈の希望が分からないと、家に来た時、サンタさん困っちゃうもんね・・・。

悠奈は急いで机に向かって、サンタさんに宛てて、お手紙を書きました。

「サンタさんへ、えっとぉ・・・、今年は、デパートのクマさんのぬいぐるみが欲しいです・・・。
・・・・っと、あ・・、空いたスペースにクマさん描こうっ!!・・・エヘヘ、悠奈、絵上手くない?・・・良し出来た!!」
丁度そこに、お風呂からあがったお姉ちゃんが部屋に入って来ました。
悠奈の家、お部屋が少ないから、悠奈とお姉ちゃんは同じ部屋を使ってるの、
お兄ちゃんは一人部屋だから、ちょっと羨ましい・・・。

「何描いてるの?何それ?タヌキ??」

「違うよ!!クマさんだよ!!」
お姉ちゃん酷いっ!!
ってちょっと思ったけど、それはともかく、丁度良いや。

「お姉ちゃんコレ、サンタさんに」
悠奈はその書き終えたばっかりのお手紙を、お姉ちゃんに渡しました。
悠奈、サンタさんの住んでるところが分からないから、毎年お姉ちゃんに、サンタさんに届けて貰ってるの。

「サンタって・・・、悠奈ももう中学生になったんだから、そう言うのもう・・・」

「そう言うのって????」
お姉ちゃんの言ってる意味が分からないので、そう返すと、
お姉ちゃんは、「はぁ~」と小さくため息をついてから、悠奈の手紙を受け取って読み始めました。
そしたらね、お姉ちゃん、

「デパートのクマのぬいぐるみっ!!!馬鹿っ!!あんなの駄目に決まってるでしょっ!!!」
って言って、物凄い剣幕で怒ったの。

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「悠奈、お姉ちゃんにじゃなくて、サンタさんに頼んでるんだけど・・・」
悠奈がそう言い返すと、お姉ちゃんは、一瞬言葉を詰まらせてから言いました。

「わ・・分かってるわよ。
湯冷めするし、もう寝るわよ、早くおしっこして来なさい。
3日も連続でやったら、また暫く布オムツだからね!!」

「う・・・うん!!」
悠奈は急いでトイレに行って、おしっこしました。
布オムツは恥ずかしいから嫌だもん。
それにしても・・・、何でお姉ちやん、あんなに怒ってたんだろう??
ママやお姉ちゃんにおねだりしても、いつも無理って言われるから。

だったらサンタさんに・・・って。

悠奈にしては名案だと思ったのになぁ・・・。



それから数日後。(あ・・・、布オムツは何とか免れたよ)
学校から帰ると、悠奈の机の上に、サンタさんからの返事が届いていました。

「わーい!!やったぁ~!!」
小山悠奈ちゃんへと綺麗な字で書かれたお手紙。
・・・去年も思ったけど、サンタさんの字って、お姉ちゃんの字に凄くよく似てるんだよね??
・・・まぁ、いいや、とりあえず読もう。
ワクワクして読み始めると、そこには、大変な事が書いてあったの!!

クマさんのぬいぐるみは、明日からクリスマスまでの1週間、
悠奈ちゃんが、おもらし、おねしょを一度もしなければプレゼントします。
一度でもしちゃった場合は、プレゼントは偉い人の本です。


「ええ~なにこれぇ~っ!!」
去年はこんな事なかったのに~!!
サンタさんの意地悪~っ!!
偉い人の本なんか、悠奈読みたくないよ~(涙)
それにそれに・・・、偉い人って誰??
サンタさんの国の王様???

「お姉ちゃ~ん、サンタさんから返事来たけど・・・。ねぇ~どうしよう・・・」
学校から帰って夕食の準備をしているお姉ちゃんに、悠奈はサンタさんの手紙について相談しました。

「え・・何?ふーん、まぁ頑張りなさいよ、これ位なら悠奈なら出来るでしょ」

「おもらしはともかく、お・・おねしょ1週間しないなんて・・・、悠奈無理だよ!!」
悠奈が弱音を吐くと、

「何で最初から諦めるの!!そういう所が良くないって、お姉ちゃんいつも言ってるでしょ!!」
って言って怒りました。

「・・・ごめんなさい」

「サンタさんも、悠奈のおもらし癖が早く治って欲しいって思ってるのよきっと、
だから・・・1週間、頑張ってみない?」
今度は優しい顔で、お姉ちゃんは言いました。

「・・・うん、分かった、悠奈がんばるp(^ ^)q」

それから悠奈、学校ではおもらししないように、早めのおトイレを心がけて、
家でも、おねしょしないように、夕方以降の水分摂取に気を配って、寝る前に必ずおしっこして、
おもらし、おねしょのない日を順調に伸ばしていったの。
そして、どっちの失敗もないまま、
12月23日、加治さんのお家でのクリスマスパーティーの日がやって来ました。



終業式を終えて、一度家に帰ってから、
吉原さん、小松さん、悠奈の3人で加治さんのお家に向かいました。
でも、家の前について、悠奈達はビックリ・・・!!!

「お・・・大きい~・・・」
加治さんのお家は、悠奈の家なんかより何倍も大きくて、家のお庭から玄関まで100メートルはありそうです。
まるで、アニメに出てくるお嬢様キャラのお家みたい・・・。

吉原さんがインターホンを押すと、大人の女の人の声がして言いました。

『はい、当家になんの御用でょうか?アポイントメントはお取りですか?』

「え・・?ア・・アポ・・・何それ?」

『悪戯なら切りますよ?』
まるで攻めるように言い立てるその人に、吉原さんはタジタジ。
悠奈と小松さんは、ビビッて何も言えません。

「ま・・待って下さい、今日はその、加治さ、純佳さんと約束・・・」

『そのようなお話は聞いておりません、それでは・・・』
そう言って、切ろうとする女の人の後ろから・・・

「ちょっと何してんのよさくら!!かしなさい!!」
と言う声が聞こえて来ました。
この声は加治さんです。

『皆ごめん、ちゃんと話しといたんだけど・・。直ぐにさくら・・・、使用人向かわせるから・・・』

「聞いた?・・・使用人だって・・。
加治さんって、お嬢様だとは思ってたけど、マジもんだったとは・・・」
通話が切れた後、吉原さんは呆然として言いました。

その後、使用人のさくらさんの案内で、加治さんのお部屋に通されると、
いよいよ待ちに待ったクリスマスパーティーが始まりました。

「メリークリスマース!!」
おいしい料理を食べたり、ゲームをしたり、おしゃべりしたりして、4人で楽しい時間を過ごしました。

デザートのクリスマスケーキを食べている時に、吉原さんは、悠奈達に向けて言いました。

「ねぇ、私達さ、その・・・、苗字じゃなくて・・、そろそろ名前で呼び合わない?」

「え・・・っ」
「い・・いきなりだね」
悠奈と小松さんが戸惑っていると、加治さんは。

「そうね、なんかよそよそしいし・・・、それじゃあ、そう言う事で・・、よろしく、あかり」
っと、直ぐに吉原さんの事を名前で呼びました。

「よろしく純佳(すみか)」
吉原さんも直ぐに加治さんに返しました。
2人のそういう所、悠奈凄く羨ましい・・・、いきなりなんて、恥ずかしくて悠奈無理だもん・・・。

「小松・・・、郁実も、ほら・・・」
吉原さんと、加治さんに促された小松さんは、
戸惑いつつも、顔を真っ赤にしながら皆の事を下の名前で呼びました。

「郁実も言えたよ、悠奈もほらっ・・・」
うう、無理だよ、恥ずかしい・・・・。
吉原さんの言葉に、悠奈は下を向いて、もじもじしちゃいました。
べ・・・別におトイレ行きたい訳じゃないよ!!(念のため)

「恥ずかしくないよ、大丈夫・・・。
私達、おもらし仲間じゃん」

「・・・・・」
吉原さんの言葉に、悠奈は勇気を振り絞って・・・。

「あ・・、あか・・、あか・・・り・・・ちゃん」
い・・言えました。
は・・・恥ずかしいぃ~・・・。

「ちゃんは要らないんだけど・・・。まぁそれ位は許してあげよう」
あかりちゃんがそう言うと、今度は、加治さんと小松さんが・・・。

「次は私達の番だよ~」
っと言いました。
悠奈、また勇気を振り絞って・・・。

「す・・純佳ちゃん、郁・・実ちゃん・・・」
・・・って、何とか言えました・・・。

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「なぁに悠奈?」
「悠奈、これからもよろしくね」
純佳ちゃん、郁実ちゃんは、嬉しそうに悠奈にそう言いました。

それからちょっとして、悠奈の携帯に、お姉ちゃんから
「そろそろ帰って来なさい」って言う電話が入って、そこでお開きになりました。

下の名前で呼ぶの、凄く恥ずかしかったけど、
なんか、3人との距離がグッと近づいたような気がして・・・、
悠奈、なんかとっても嬉しかった。

その日はウキウキした気持ちが覚めないまま、布団の中に入りました。



次の日・・・・。

「!?っ」

目を覚ますと悠奈、久しぶりの例の感触に直ぐに気が付いて、布団を捲り上げました。
そこには、悠奈のおまたを中心に、広大な世界地図が・・・・。

「うそ~、なんでぇ~、ちゃんと寝る前におしっこしたのに、・・・・あっ!?」
そこで悠奈、気づきました。
昨日は夕方以降の水分摂取に気を配る事をすっかり忘れていた事を・・・。
パーティでも、皆につられるように、ジュースをガブガブ飲んでしまっていました。

「悠奈の馬鹿馬鹿馬鹿ぁ~っ!!今日おねしょしなきゃ・・、クマさん・・貰えたのに~~!!」
悠奈、世界地図の上で、悔しくて大声でわんわん泣いちゃった・・・。

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「うわ~~~ん、うわ~~~~ん、う・・うう・・、うぇ~~~ん・・・」

「悠奈、起きたの?・・・って、あ~あ、とうとうやっちゃったかぁ・・・」
悠奈が起きたのに気が付いたお姉ちゃんが、部屋に入って来て言いました。

「お布団干すから立って、早くお風呂入りなさい、風邪ひくわよ」

「おね・・ちゃ・・、サンタさん・・もう、クマさん・・くれない・・かな?」
何とか立ち上がって、お姉ちゃんに聞いたら、お姉ちゃん

「約束は約束だからね、悠奈には偉い人の本をプレゼントするんじゃない、サンタさん」
って言いました。

「やだやだやだぁ~~~っっ!!!!!!
悠奈はクマさんが欲しいの!!欲しいの~~~っ!!!!
何とかしてよ~~~お姉ちゃ~~~~ん!!!!
うわぁぁあああぁ~~~~~~~~~ん!!!!!」
泣き叫んでダダをこねると、お姉ちゃんは恐い顔になって怒りました。

「わがまま言うんじゃないのっ!!!
約束を守れなかった悠奈が悪いんでしょっ!!!
いつまでも子供みたいに、
そうやってダダこねれば何とかなると思ったら大間違いなんだからね!!」

「だって・・だって・・・」

「だってじゃない!!
クマのぬいぐるみは諦めなさい、ほら早くお風呂・・・」

「やだぁ~~~、やだぁ~~~」
それでも抵抗していると、お姉ちゃんは、

「悠奈・・・、本気で怒るわよ」
っと低い声で言いました。

これはマズイ奴です!!
ハガレンを馬鹿にされた時のあの感じです・・・。

ビビった悠奈は、スタコラサッサとお風呂に逃げ込みました・・・。

・・・・。

「ふええ~~~ん、うえぇええ~~~ん・・・・ひっく・・・ひっく・・・」
お風呂から上がっても、悠奈、悔しくて、机に座ってずっと泣き続けました。

「うるせーんだよ!!いつまで泣いてんだ!!この阿保!!!!」
ドア越しにお兄ちゃんの悪口が聞こえて来ます。
うるさいのはこっちだよ!!
お兄ちゃんに悠奈の何がわかるって言うの!!
お兄ちゃんなんか大っっっ嫌いっ!!!

それとお姉ちゃんも嫌い、悠奈、この1週間凄く頑張ったのに・・・、
そりゃあ・・・最後に失敗しちゃったけどさ・・・。
その頑張りを、サンタさんに伝えてくれる位、してくれたって良いのに・・・。

(あ~あ・・・、昨日はあんなに楽しかったのになぁ・・・)

「おいっ!!聞いてんのか悠奈!!うるせーって・・・」

ゴツッ!!!

「っ!!痛ぇ~なっ!!何すんだブス!!!」

「何か言った?悟(さとる)??」

「・・・い・・いいえ、別に何も・・・」

「どいて・・・」
部屋の外でお兄ちゃんと何やら言い争っていたお姉ちゃんが、部屋に入ってきました。
そして、泣いてる悠奈の傍によって言いました。

「悠奈、今朝失敗しちゃったのは偶然?
それとも、それまでしなかった時とは何か違ったの?」

「え・・・それは・・・」

「心当たりがあるなら言ってごらん」
お姉ちゃんに言われて、悠奈は、
昨日は、夕方以降、水分摂取に気を配るのを忘れてしまったと言いました。

「昨日はパーティに行って、浮かれちゃうのはわかるけど、最後まで気を抜くべきじゃ無かったよね・・・」

「う・・うん、ごめんなさい」

「じゃあ、どうすれば良かったか分かる?」

「ちゃんと、気を・・付ければ・・・良かった・・・」

「そうだよね、ちゃんと反省してる?」

「うん・・・」
その後、お姉ちゃんは、じっと悠奈の事を見つめ続けました。

そして、暫くすると。

「そう・・・・」
と言って、部屋を出て行きました。

(・・・お姉ちゃん?)



その日の夜。

「メリークリスマス」
お兄ちゃん、お姉ちゃんと、3人でケーキを食べてお祝いしました。

「おいしい!!流石、泉田先輩!!」
今年のケーキは、お姉ちゃんの学校の先輩の手作りなんだって・・・。
悠奈も食べたけど、確かにすごくおいしい・・・・・。

だけど・・・。
悠奈はプレゼントの事で未だに沈んだままでした。

そんな悠奈に、お姉ちゃんが言いました。

「悠奈、あのね、さっきサンタさんから連絡があって・・・」

「え・・・?」

「この1週間、悠奈ちゃんは凄く頑張ったから、今年はおまけしてあげるって」

えええええええ!!!!!!!

「本当!!ねぇ!!本当に!!」
悠奈の言葉に、お姉ちゃんはにっこり笑って頷いたの!!

「やったぁ!!!サンタさん大好き~~~~っ!!!」
悠奈嬉しくて、飛びはねて喜んじゃいました!!!

「・・・ったく、姉ちゃんは悠奈に甘すぎんだよ」
横でお兄ちゃんが何か言ってるけど・・・。
まぁ別に良いや・・・。
ああ~サンタさん早く来ないかなぁ~~~!!!

「浮かれてないで、ちゃんと早く寝るのよ、夜更かしする子の家には、サンタさんは来ないんだからね」

「はーーーい!!!」



翌朝・・・・。

目を覚ますと、枕元にデパートの大きなクマさんが置いてあったの!!!

「クマさんだぁ~~~!!!サンタさん、ありがとう~~~~っ!!!!」
悠奈はクマさんを抱きかかえて、お姉ちゃんに見せました。

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「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!ほら見て!!サンタさん本当におまけしてくれた~っ!!!」

「分かったから、早くお風呂入って来なさい!!明日もやったら、布オムツよ!!!」

「はーーーい」

「はぁ~~~・・・・」

サンタさん、本当にありがとう!!
来年は、純佳ちゃんのお家にあった、大きなお人形さんのお家が欲しいです!!

☆。・。・゚★・゚・。・゚\(*´∀`*)/。・。・゚★・。・。☆



おまけ

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こんばんは。
クリスマスと言う事で、クリスマスのお話です。

悠奈ちゃんなら、まだサンタを信じてそうだなって思って書いてみました。
悠奈ちゃんの友達関係も深まって、中学編もこれから盛り上げて行ければいいなぁと思ってます。
純佳ちゃんのお嬢様設定や使用人は、某作品群の影響が強いですね(笑)
湖にも使用人(メイドさん)欲しいなとww
まぁ、出すだけ出して、今後どうするかとかは毎度お馴染みのノープランですが(^^;

最後に一言。
「風ちゃん、君は良く頑張った」ヾ(^o^;)

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。
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  1. 2016/12/25(日) 20:55:50|
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overwrite~第2話~

こんばんは。

overwrite~第2話~をお送りします。
前回で過去の話は終わり・・・・。
と思いきや、第2話開始2行でまた過去に戻ります・・・。
ああ・・・、この文章構成力の無さよ・・・(× ×)。。。
なんか色々矛盾してないよな・・・とかもかなり怪しいし不安です・・・。
致命的なの以外は、おおめに見てもらえると助かります(^^;
(もし致命的な矛盾点があったらお知らせ下さるとありがたいです)
兎に角、文章も自前絵もなかなか上達しませんが、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
今日は、昼間に、莉穂ちゃんの誕生日記念日記も上げました。
よかったらそっちも見て下さい。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。

次回は、1回overwriteはお休みしまして。
悠奈ちゃんの、この季節にちなんだお話をあげようと思います。
(続きは、正月明けになると思います)

それでは本編をどうぞ。




前回までのあらすじ。

黄水大附属高等学校演劇部で、2月に行われる『卒業記念公演(卒演)』のヒロインに選ばれた朝野亜理紗は、
その打ち合わせの場で、親友の渡辺珠樹が自分に『卒演』でおもらしをさせようとしている事を知ってしまいます。
中学2年の時に失敗して、心に深い傷を負っている亜理紗は、どうしてそんな事をさせるのかと、珠樹に問いかけます。
珠樹は、そんな亜理紗にこう返しました。

「何で、大して興味の無い、演劇部に入ったの!?」

「それは・・・」
元バレー部のキャプテンであった亜理紗、バレーにはもう完全に未練は無いのか・・・。
それとも・・・。



「中学の時は仕方が無いと思ったよ・・・、でも高校では、またバレー始めると思ってたのに・・・」
少し悲しそうな目をしながら言う珠樹・・・。



おもらし後。
保健室登校を続ける亜理紗の元に、
顧問の先生が、バレー部に復帰するよう説得をしに来た事がありました。

「朝野、お前がいないと地区予選突破すら厳しい状況だ・・・。頼む・・・、戻って来てくれ・・・」
必死に訴えかける先生。
ですが亜理紗は、下を向いて言いました。

「・・・ごめんなさい、先生、無理です。」

「お前が心配してるのは例の件だろ?あんなもん気にするな。
それに、俺からもきつく注意してある・・・。何も心配はいらん・・・な?」

(気にするなって・・・?!気にするに決まってるじゃんっ!!!
それに、先生の注意なんて、あの子達には無意味よっ・・・)

「戻りません!!早くどっか行ってください!!」
そう言って、亜理紗は復帰を拒否しました。

その後も、何度か先生は説得に来ましたが、亜理紗は頑なに拒否し続けました。

(私だって、バレーはしたい・・・。でも、あんな風に馬鹿にされるのはもう嫌・・・)
その時の亜理紗は、ある種の対人恐怖症に侵されていました。
生徒の顔を見るだけで、おもらしした事を馬鹿にされるのではないかと考えてしまい、恐怖で体が動かなくなってしまうのです。
なので、唯一の例外であった珠樹を除き、
亜理紗は、中学を卒業するまで、生徒の誰とも接触せずに過ごしました。

そんな状態のまま、亜理紗は黄水大附属高等学校に入学しました。
珠樹とクラスが違ってしまった亜理紗は、やっぱり最初はクラスメイトの顔を見る事が出来ませんでした。
ですが、それが返って功を奏したのか亜理紗は、

(なんの為にここを選んだのよ!!しっかりしろ私!!!)
っと、自分自身に活を入れ、さらに

(ここには私の失敗を知る人は一人もいない・・一人もいない・・・、一人もいない・・・、珠樹は別だけど・・・)
と、呪文のように心の中で唱える事で、対人恐怖症を克服したのでした。
友達・・と呼べるかは微妙でしたが、話しができるクラスメイトも何人か出来て、
亜理紗の高校生活は上々のスタートを切りました。



「私は、前から話してる通り演劇部に入るわよ、その為にこの高校選んだんだし!!」
昼食中、珠樹は亜理紗に向かって生き生きとした口調で話しました。
入学して2週間、そろそろ部活を決めないといけない時期です。

「ここの演劇部は全国的に知名度あるの、
亜理紗にも見せたでしょ、例の動画、・・・ってまぁ違法なんだけどさww
私の脚本が『卒演』で採用されれば、夢の脚本家への道がぐっと近づくわ、きっと・・」

「珠樹は凄いなぁ・・・、中学の時からそこまで将来の事を考えてたなんて・・・」
珠樹と同じじゃないと不安だから。
おもらしを知ってる人がいない場所じゃないと無理だから。
それだけの理由で、高校を選んだ自分とは大違いで、
亜理紗は、珠樹が自分を置いて何処か遠くへ行ってしまいそうな不安に駆られました。

「亜理紗はバレー部入るんでしょ」
珠樹は、さもそれが決定事項のように言いました。
その言葉に、亜理紗は、突然背後から襲われたかのような衝撃を受けました。

「え・・・と、どうしようかなぁ」

「え・・?入らないの?!!保健室では、やりたいけど・・・、って言ってたじゃん!!!」
生き生きと自分の事を語っていた珠樹の顔が、どんどん絶望に満ちた顔になって行きました。

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「やりたいけど、馬鹿にする人がいたから出来なかったんでしょ?もう平気になったんじゃないの?違うの?」
若干取り乱しながら話す珠樹。

(な・・・何、何???何で、珠樹がそんな顔するのよ)

「そうね・・・、でも、その、え・・演劇もなんか良いかなぁ・・なんて・・・」
ドギマギしながらそう言うと、珠樹は間髪入れずに、「何で?」と返しました。

「それは・・・・」
とても情けない理由だったので、亜理紗は言えませんでした。

「亜理紗ちゃ・・、亜理紗はバレーやらないと駄目だよ!!」

「ま・・まぁ、そんなに熱くならないでよ珠樹、自分の事は、自分で決めるから」

「・・・・・」

でも結局、それから数日後の演劇部の部室には、珠樹とそろって入部届を提出する亜理紗の姿がありました。

「バレー部、入らなかったんだね・・・」
そう呟く珠樹の表情は、凄く寂しそうでした。

でもそれも、その日1日だけの事でした。
珠樹は、それ以降、亜理紗に言及する事はありませんでした。

今日まで、ずっと・・・。



「バレーに未練がないって言うなら別に良いよ。
でも、違うよね?
この前も全日本の試合結果気にしてたし・・・」

「私、野球の結果も気にしてるけど・・・・、バスケのBリーグも・・・」

「屁理屈言わないでよ・・・」
しょうもない反論をする亜理紗に、珠樹は大きなため息をつきました。
そして右手を腰に当てて強めの口調で言いました。

「じゃあこの場でハッキリ言ってよ、バレーボールには一切興味はない、未練も無いって・・・」

「え・・・っ」

「言えたら私、もう何も言わないわ。
『卒演』のヒロインも降りて良いよ」

「・・・・・」
『卒演』のヒロインを降りれば、『おもらし』しないで済む・・・。
でも、亜理紗は言えませんでした。
やりたくても出来ないだけで、今でもバレーは大好きなのです。

「言えないのね」

「た・・・珠樹の役に立ちたかったの、バレーはそりゃ好きだけど、
ブランク開いちゃったしさ、だからいっそ新しい事やろうと思って。
それで演劇部に」

「そんなの自分に対する言い訳でしょ!
さっきも言ったけど、あんたがバレー部に入らなかったのは、
中学のおもらしのトラウマを引きずったままだからよ」

「違」

「違わない!!」
亜理紗に反論の隙を与える事無く珠樹は続けます。

「亜理紗は、おもらしを馬鹿にされるのが相当嫌だったもんね・・・。
バレー部に入ったら、対外試合とかで、おな中の人と接触するかも知れない、
そこから話が伝わって、また馬鹿にされるかも知れないとか考えたんでしょ?」

「・・・・」
図星でした。
果たしておな中の人と対外試合でぶつかったりする事が、そんなに頻繁に起こり得るのか。
また、仮におもらしした事が発覚したとして、遥か昔(と言っても数年ですが)の、
しかも、話で聞いただけのおもらし事件について、
高校生が馬鹿にしたりするのかと聞かれれば、だいぶ疑問が残ります。
でも、ネガティブ思考と言うものは、本人が気にしていれば気にしている程、
深い深い疑心暗鬼の闇に陥ってしまうものなのです。(経験談(笑))

「私の役に立ちたいって言うのが本当なら、別におもらしを躊躇しないよね。
それを嫌がってる事自体が、トラウマを引きずってる何よりの証拠よ」
ミステリードラマで、犯人を追い詰めたような口ぶりで、珠樹は言いました。

本音をズバリ言われてしまった亜理紗は、一度大きく息を吐きだすと話し始めました。

「そうよ、全部珠樹の言う通り・・・・。
未だに私は、あの時の事を馬鹿にされるのが怖くてビクビクしてるの。
だから、入りたかったけど、バレー部には入れなかった・・・。
情けないわよね・・・、自分でもそう思うけど、どうしようもないのよ・・・」
続きを話そうとすると、目に涙が溜まって来ました・・。

「トイレに行くと・・今でもあの時の事が頭をよぎって・・・、スンッ・・、
は・恥ずかしくて・・な・・、泣き・・そ・・、なる・・グス・・し・・・。
夢も・・、エグ・・・、グス・・、見・・・る・・し・・、ヒック・・ヒック。
な・・何で・・、グスッ・・・、あんな・・、あの・・と・・・き・・、
ちゃんと・・、トイレに・・行って・・・グス・・・おけ・・・ば・・・・・」

「あ・・・亜理紗、ちょっと・・・」

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「ふぇぇえええ~~~・・・・」
話の途中で亜理紗は、とうとう泣き出してしまいました。

「や・・やめてよ、私が泣かせたみたいじゃん・・・もう!!こっち来てっ!!」
珠樹は、泣きじゃくる亜理紗の手を取ると、グラウンドの流し台まで引っ張って行きました。
そこで珠樹は顔を洗うように亜理紗に促しました。

・・・・・・・・。

「ふぅ~~~、・・・ってか冷たっ!」
晩秋の冷たい水を顔に浴びて、亜理紗は落ち着きを取り戻しました。

「はいコレっ、少しは落ち着いた?」
そんな亜理紗に、珠樹はハンカチを手渡しました。

「ありがとう」
亜理紗は、珠樹から受け取ったハンカチで顔を拭うと続けて言いました。

「どう?わかったでしょ?私のトラウマっぷりが・・・」

「あ・・うん・・・。まさか泣く程とは思わなかった」

「思い出しただけでもこんななのに、
舞台でお・・・、おも・・、なんて、幾ら珠樹の頼みでも、悪いけど無理よ」
そう言って亜理紗はハンカチを珠樹に返しました。

「違うわ亜理紗、こんなだからこそ、やらないと駄目なのよ」
ハンカチをバックにしまいつつ、珠樹は言いました。

「はぁ?意味わかんない、って言うか、最初に戻るけど、
どうして私に、お・・・、も・・・をさせようとしてるのよ?
私のトラウマと『卒演』のおも・・・、がどう関係するの?」
亜理紗の問いに、ゆっくりと珠樹は話し始めました。

「亜理紗が演劇部に入部した時、私思ったの、
亜理紗は、まだおもらしのトラウマを引きずってるって・・・。
それで、どうすればトラウマを克服する事が出来るのかって考えて・・・」

「それが『卒演』でお・・・、する事だって言うの!?」
訝し気な表情でそう言った亜理紗に、珠樹は即「そうよ」っと返しました。

「スポーツの世界でも良く有るじゃない、誰かに負けた嫌な記憶を、
もう一度同じ相手にリベンジして打ち負かす事で、その記憶を上書きする、みたいな・・・」

「・・・・・・・はぁっ?」
亜理紗は珠樹の言わんとしている事がわかってきました。

「つまりね。中学時代の苦いおもらしの記憶を、『卒演』でおもらしする事で上書きするの」
それが、亜理紗におもらしをさせようとしている一番の理由でした。

「ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!」
馬鹿馬鹿し過ぎる珠樹の言葉に、亜理紗は少しイラッとして言いました。

すると、

「そんなのやってみないと分からないじゃん!!」
っと、珠樹は真剣な表情で言い返しました。

(ッ!!!何マジな顔してんのよっ!!!)

「分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!」
頭に来た亜理紗は、怒りを込めて大声で言い放ちました。

「ち・・違う、馬鹿になんてしてない、私は真面目に・・・」
珠樹は驚いて、ちょっと涙目になって言いました。

「・・・・はぁ」
その表情を見て、言い過ぎたと感じた亜理紗は、一呼吸置くと、続けて言いました。

「ごめん、ちょっと言い過ぎた・・・。
けど・・、悪いけどやっぱりヒロインは降りるわ。
私の事、色々考えてくれてたのは嬉しいけど・・・。
そんな、なんの根拠もない実験みたいな理由で、
また、お・・・、したく無い・・・。
本当に、今でもつらいんだ・・・、ごめんね、珠樹」
亜理紗はそう言うと、珠樹の横を通り過ぎて行きました。

「ちょっと待ってよ亜理紗!!
昔のトラウマ蒸し返すような事をして悪いって思ってるよ。
でも、私には、これ位しか思いつかなかったの・・・、無理やり復帰させるのは違うと思ったし・・・」
珠樹は亜理紗の背に向けて言いますが、亜理紗は振り向きませんでした。

「次の打ち合わせまでに、亜理紗がOKしないと、
野口さん主演の別の脚本で行く事になる・・・。
トラウマを克服する機会を失って良いの!?、ねぇっ!!」

「ごめん珠樹・・・」
そう言うと亜理紗は駆けだしました。
直ぐに、珠樹の姿は見えなくなりました。

・・・・・。

「はぁ・・、はぁ・・・」
亜理紗は駅までの約1.5kmを走り向けました。
電車に乗り込むと、暇つぶしにスマホゲーをしながら、珠樹の事を考えました。

(珠樹、入部した時に・・・とか言ってたな・・・。
それって、その時からさっき言ってた事を考えてたって事??2年以上も前から・・・・)
亜理紗の脳裏に、珠樹と過ごしたこれまでの部活動の記憶が蘇って来ました。
努力に努力を重ねて、部長に登りつめ『卒演』の脚本を手掛けるまでになった珠樹・・・。

(今迄の努力は、私にトラウマを克服させる為だったの・・・・??全てがその為だけだとは、流石に思えないけど・・・、でも・・)
自宅の最寄り駅に着くと、亜理紗は電車を降りました。

(私なんかの為に、何でそこまでするの??・・・珠樹)



(はぁ~~、まぁ、そう簡単に納得してくれるとは思って無かったけど・・・)
亜理紗に遅れる事、数分。
珠樹は、駅までの道を一人、黙々と歩いていました。


「早く戻って来てよ。亜理紗ちゃん」




「はぁ・・、はぁ・・」
(お・・・おしっこ・・・、おしっこ・・したい)

「あ・・、ああっ!!はぁ・・」
(え・・、もうすぐ出番!?ど・・どうしよう、おしっこ・・もれ・・ちゃ」

「はっはっ・・、はぁあああっ!!ああっ!!」
(あ・・う・・、手・・離さないと、指揮できない・・でも・・でも・・・)

「あああっ!!や・・・てぇ・・やっ・・やっ・・!!」
(あっ・・手が・・勝手に・・駄目!!手を離したら・・・おしっこ出・・・)

「あっ・・・、あっ・・・、あっ・・・」
(シャアアアアアアア~~~~~~~・・・・パシャパシャパシャパシャ・・・・)

「あっ!!うぅ!!いやぁ・・・、見・・・で・・」
(止まって!!止まってぇ!!嫌ぁ!!見ないでぇ!!!)


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ガバッ!!!

翌日の朝。

「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・」
亜理紗はベットから、勢いよく体を起こしました。
体中から冷や汗をかいて、動悸が激しいです。

「もう・・、またあの時の夢・・・・」
亜理紗は、今でもあの日の事を夢に見ては、うなされていました。

「って事は・・・」





「お母さん・・・、その・・・、やって・・・しまいました・・・」
亜理紗は朝食の準備をしているお母さんにそう告げました。

そうです。

亜理紗は、高校3年生にもなって、おねしょをしてしまったのです。
お尻も背中もびしょびしょのパジャマを着て、亜理紗はお母さんの前に立ちました。

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「えっ・・・また!?この前しちゃったばっかりじゃない??」
お母さんは驚いて言いました。

「・・・見ちゃったんだもん、仕方無いじゃない」

「全くもう、早くシャワー浴びて来なさい・・・、
あ・・・、パジャマは水洗いしてから洗濯機に入れるのよ!!」

「分かってるわよ・・・」
亜理紗は、お風呂へ直行しました。

バシャッ、ゴシゴシッ、ゴシゴシッ・・・・
(もう!!珠樹のせいで、この前見たばっかだったのに、また見ちゃったじゃない!!)
昨日の事を思い出して、亜理紗は、
お風呂でパジャマとパンツを洗いながら、珠樹に悪態をつきました。
別に亜理紗のおねしょは、常習と言う訳ではありません。
あの日の事を夢に見た時だけ、夢の中のおもらしと同時に、
現実でも布団の上に世界地図を描いてしまうのです。
あの日の夢を見るのは、大体一ヶ月に1回程。
今月は先週見たばかりだったので、お母さんが驚くのも無理はありません。

「行って来ます」
その後、準備を整えた亜理紗は家を出ました。
ベランダに目をやると、僅かに見える布団の影・・・。
いくら布団を干す場所が、人目に付かない場所にあるとは言え、
自ら描き上げた世界地図付きの布団が、
外に堂々と干されていると思うと、恥ずかしくて堪りませんでした。



駅に着くと、いつも通り珠樹と会いました。

「おはよう亜理紗」

「・・・おはよう」
挨拶を交わすと、それきり会話は途絶えました。
昨日までは、他愛の無いおしゃべりで盛り上がれてたのに、
お互いに、何を話せば良いか分からず、ただ黙る事しか出来ませんでした。
電車の乗車位置に着くと、
間が持たなくなった亜理紗は、スマホを取り出してゲームを始めました。

「・・・・」
珠樹は、そんな亜理紗の姿をただじっと見つめていました。

そうこうしている内に、電車がやって来ました。
電車に乗り込んでも、亜理紗はそのままゲームをし続けました。
暫くして、珠樹はそんな亜理紗に向かって、意を決して話しかけました。

「亜理紗、昨日の事なんだけど・・・、考えてくれた?」

「・・・・・」
亜理紗は無視して、ゲームを続けました。

「ねぇ・・、聞いてる?」

「今良いとこなのよ、ちょっと待ー」

「そんなゲームなんかより大事な話をしてるのっ!!!」
大きな声を出す珠樹に、周りの乗客が一斉に目を向けました。

「ちょ・・、周りの迷惑考えなよ」
亜理紗は、慌ててスマホをしまうと、周りの人にすみませんのジェスチャーをしました。

「昨日答えたでしょ。降りるって」
亜理紗はきっぱりとそう言いました。

「今のままだと、大学行ってもバレー出来ないままだよ。
亜理紗はそれで良いの?本当に良いの?」

(バレー、バレーって・・、何なの全く・・・)
珠樹が望んでいるのは、トラウマの克服と言うより、寧ろバレー復帰の方。
そう感じ取った亜理紗は、珠樹にこう言いました。

「あのさ珠樹、私の事心配してくれるのは嬉しいんだけど。
何でそこまでして、私をバレーに復帰させようとするの?」

「え・・・っ!!」
聞かれた珠樹は、虚を突かれたかのようにハッとして、

「だって・・・、それは・・・・、」
直後、顔をほんのり赤くしました。

「・・・・覚えてないの?私は、亜理紗ちゃんー・・・」

「????」

プシュウウウウウ・・・・
っと、そこで扉の開く音がしました。
会話に夢中で気が付きませんでしたが、よく見ると、もう降りる駅についていました。

「わ・・降りないと!!!」
2人して慌てて電車から降りると、込み合う駅構内の影響で、お互いを見失ってしまいました。
そして結局、2人はそのまま教室まで再会する事はありませんでした。

(珠樹、一体何て言おうとしたんだろう・・・?)
授業を受けながら、亜理紗は珠樹が最後に何を言おうとしていたのかをずっと考えていました。
同じクラスなんだから直接聞けば良いだけの話なのですが、
教室で会った後は、またお互い何となく、話しかけ辛くなってしまったのです。

(亜理紗ちゃん・・・???)

その日、亜理紗と珠樹が会話をする事は、もうありませんでした。



放課後。

この日の部活は、発声練習や、後輩への演技指導等が行われました。

「朝野先輩ーっ!!『卒演』のヒロイン役!!凄く楽しみにしてます!!頑張って下さい!!!」
演技指導中、後輩の女子生徒が亜理紗に話しかけて来ました。

「私もです!!先輩なら、どんな役でも絵になりますからね~。この前の文化祭の時も最高だったし~」
そこに、直ぐにもう一人、後輩が便乗して来ました。

実は亜理紗は、持ち前のルックスと、バレーで鍛え抜かれた美脚とスタイルで、
校内で相当モテる(男女問わずw)存在だったりします。
演劇部内外では、二枚看板女優の一人として『美の朝野』と呼ばれており、
もう一人の『技(演技)の野口』とは、人気を2分する存在だったりするのです。
まぁ、周りが騒いでるだけで、
当の本人たちは、自分の事も相手の事も、別に何とも思っていないのですが・・・。
(新聞部は、勝手にライバル関係と決めつけて、面白可笑しく記事にしていますけど・・)

「ありがとう。でも私、ヒロイン降りるから・・・」
その言葉に、後輩たちは酷いショックを受けました。

「えええええ!!!!!なななんあななんでですかぁぁぁ!!!!」

「駄目です駄目です駄目です絶対に駄目ですそんな事!!!」
凄い形相で亜理紗に迫る2人。

「野口先輩に何か言われたんですか!!そうなんですね!!」

「待って紗季ちん、あの善人の塊のような野口先輩に限って、それはまずあり得ないわ」

「そうか・・・、じゃあ一体誰が、・・・そうか!!!」

「そうだよ紗季ちん、犯人は・・・」

「そう・・犯人は・・・・」

「あの・・君たち・・・・」
勝手に盛り上がる後輩2人に、亜理紗は戸惑いました。


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「部長ですね!!部長に何か言われたんですねっ!?」

(当たり(苦笑)・・・ってか、別に犯人とかじゃないから!!!)

「先輩、私達で部長に文句言って来てあげますよ?」
そう提案する後輩達に亜理紗は言いました。

「心配してくれてありがとう、でも別に珠樹は関係ないから、自分自信の問題なの」

「・・・・・」

「明後日の打ち合わせで、どうなるかは分からないけど・・、あんまり騒いだりしないで、お願い」
亜理紗がそう言うと、しぶしぶ後輩達は頷きました。

「分かりました・・・、でも先輩。私達、信じてますから・・・」



翌日。

亜理紗はわざと時間をずらして家を出ました。
珠樹と顔を合わせる機会を少しでも減らす為です。

(このまま明日の打ち合わせまで逃げ切れば、それで終わりよ。
何でそんなに、私をバレーに復帰させたいのかは分からないけど・・・。
たとえ演技でも、もう2度と、あんなみっともない事、したくない・・・)
狙い通り、駅には珠樹の姿はありませんでした。
電車に乗り込むと、スマホを取り出してゲームを始めました。

(珠樹には分からないんだよ・・・、お・・おもら・・が、
どんなに、みっともなくて・・・、情けなくて・・・、恥ずかしくて・・・)

(そして・・・・)

(死にたくなる程、絶望的な気持ちになるって事が・・・・)
そんな事を思ってゲームをしていると、直後、ゲームオーバー画面が表示されました。
それを見ながら、亜理紗は、スマホを持つ手に力を込めました。

「チッ!!課金しないともう先に進めねーじゃん!!このクソゲー・・・」

その日は亜理紗と珠樹が会話をする事はありませんでした。



そして、運命の打ち合わせの日。

(どうすれば良いんだろう、どうすれば亜理紗を説得できるんだろう・・・)
駅までの道を歩きながら、珠樹は正直焦っていました。

(昨日も結局話せなかったし・・・、LINEは既読スルーだし・・・)

「このままじゃ、亜理紗ちゃんが・・・・」
そんな珠樹にふと、あるものが襲って来ました。
まだほんの僅かではありますが、それは、『尿意』。

(トイレ行ってから家出たのに・・・、まぁ・・大分冷えるもんね・・・、
駅着いたら、取りあえずトイレに・・・)

「!!!!」
その時、珠樹の頭の中に、3日前の亜理紗との会話が浮かんで来ました。


『ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!』

『そんなのやってみないと分からないじゃん!!』

『分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!』


「そうか・・・、そうだよね」
珠樹は、ある決心をしました。

そして・・・・・。

「ゴクゴクゴクゴク・・・・」

続く。
  1. 2016/12/18(日) 20:30:00|
  2. 長編ストーリー
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Happy Birthday 莉穂ちゃん

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こんにちは。
パンプキンガムさんからのお祝いコメントに感化されてしまい。
自分からも、お祝いをしてあげようと思いたちました。
それと、是非、パンプキンガムさんに、お礼を言いたいと言う、莉穂ちゃんたっての願いです。

「誕生日おめでとう、そしてこれからもよろしく!!」

ささやかなプレゼントは、有効活用してね(笑)



莉穂ちゃんだけと言うのも、他のメンバーがかわいそうなので。
取りあえずこれから1年、湖メンバーの誕生日をお祝いして行こうと思います。

次は、2月22日、笙湖ちゃんBirthdayです。
(忘れそうなんで・・・(^^;(爆))
  1. 2016/12/18(日) 11:37:08|
  2. 誕生日
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overwrite~第1話~

こんばんは。
2016年も、あっという間に後一ヶ月を切りました。
今年最後の締め括りとして、最後は長編ストーリーをお届けします。
この前のアンケートで、長編を望む声の方が多かったので、
分量を気にせずに、ビシバシと色々と盛り込んで行こうと思います。
今回は、RINさんのコメントを大いに参考にさせてもらっています。(・・・今回に限った事では無いですが)
今年一年の集大成として、良い作品にしたいと思いますので宜しければ暫くの間お付き合いください。
全3~5話位の予定。
大抵最終的に頭の中の構想の1.5倍位にはなるので・・・、まぁ5話で終わらすのを目標に(^^;

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。



11月も半ばに差し掛かった、ある日夕暮れ時。
ここ、黄水大附属高等学校演劇部の部室では、2月に行われる『卒業記念公演』の打ち合わせが行われていました。
この高校に通う生徒は、ほぼ全員、卒業後、附属の黄水大学にエレべーター方式で進学します。
受験勉強に追われる事が無いこの学校では、
演劇部の3年生は、卒業間近の2月に最後の公演を行う事が、毎年恒例の行事となっているのです。

「まだ不完全ではあるけど、これが今年度の『卒演』の台本よ、目を通して見て・・」
そう言って、部長の渡辺珠樹(たまき)は、
1、2年生の部員が帰った後の部室に残った3年の部員に、自ら書いた台本(β版)を手渡しました。

既にヒロイン役に決定していた、朝野亜理紗(ありさ)は、
珠樹から受け取った台本を、早速、食い入るように読み始めました。
自分の役回りはどんなものか・・・、動きは、セリフは???
一心不乱に内容を理解しようと努めました。
実は、亜理紗がそれ程まで真剣になるのには、一つ、大きな理由があるのです。

(最後の方まで来たけど・・・、何の変哲もない、フツーの恋愛劇よね、コレ???)
内容を要約すると、主人公の男が、2人の女の子の恋心に思い悩み、最後にヒロインを選ぶと言うもの。
たったそれだけでした・・・。

(珠樹ってば、最後の最後でこんなつまらない劇をやりたかったの・・・??)
珠樹と亜理紗は中学時代からの親友です。
亜理紗は、珠樹が「将来は構成作家か脚本家になるのが夢です」と言っているのを常々聞いて来ました。
そして実際、口先だけでは無く、
これまで沢山の素晴らしい台本を書き上げて、先輩達を唸らせて来ました。

(『卒演』でしょっ!!こんなので良いの!?)
その実力が認められて、部長に選ばれた経緯を、亜理紗は間近で見て来ているだけに、
この(言っては悪いけど)余りに稚拙な内容には少し愕然としました。
それは亜理紗だけでは無かったらしく、台本に目を通している全員が、
酷くがっかりした顔をしているのがありありと見て取れました。

(まぁ・・私としては助かるけどさ・・・)
亜理紗がそう思ったその時、不満そうな顔をした男子部員が珠樹に言いました。

「部長・・、言っちゃ悪いけどこの内容じゃ・・・」

「うん・・・、客も喜ばないし、俺達もやる気起きないと言うか・・・」
一人が言い出すと、大半の部員が不満をぶちまけ始めました。
珠樹は両手を突き出してそれを制すと、話し始めました。

「ちゃんと最後まで目を通してから言って・・・、それと初めに言ったでしょ・・。
まだ不完全だって、コレは最低限の流れと最後の見せ場だけ取りあえず書き出しただけよ」

「最後の・・見せ場・・・??」
不安になった亜理紗が、まだ見ていない最後の最後のページを見ると・・・・。
そこには衝撃的な内容が記されていました。

「おおーー!!」
「これは・・・・!!」
「流石部長!!」
「新しいですねー!!」
「やっぱ『卒演』はこうでなくちゃ!!」
亜理紗と同じく、最後のページを見た部員からは、感嘆の声が次々と上がりました。

でも亜理紗はと言うと・・・、
顔を真っ赤にして怒りを堪えていました。
そして、珠樹に目を向けて言いました。

「何よっ!!最後に書いてあるコレは!!」

「何って、『卒演』なのよ?別に驚く事じゃ無いでしょ?」
珠樹は何をそんなに怒っているのかと言わんばかりに返しました。

黄水大附属高等学校演劇部の『卒業記念公演(略して卒演)』には、
伝統とも言うべき、あるお約束が存在していました。
それは、見ている観客が引くような、どぎつい演出を劇の中に最低1つ入れると言うものです。
勿論、亜理紗は、その事を承知の上で、ヒロイン役を引き受けました。
ヒロイン役を推薦してくれたのが、今、目の前で対峙している、
親友であり、恩人でもある珠樹だったからです。
珠樹の為なら、ちょっと位嫌な事でも我慢しようと言う気持ちでした。
ですが、最後に書いてる内容については、話が別です。

「こんな事出来る訳ないでしょ!!主人公の告白に、
感情の高ぶりが頂点に達したヒロインが、・・・お・・・思わ・・ず・・・」
亜理紗は一旦そこで言葉を切りました。
亜理紗にとって、その後に続く言葉を発するのは、かなり精神的な苦痛が伴う事なのです。

「お・・・お・・・・」
ドクン・・、ドクン・・・、

「お・・・おもら・・・・し・・・、をしてしまう・・・なんて・・・」
亜理紗は、冷や汗を滲ませながらなんとか言いました。

「ほ・・本気で言ってるの・・・、ってか本当にするの・・・?舞台上で!?」

「当たり前でしょ、『卒演』なんだから。それに、演技としてするだけよ、別に恥ずかしがること無いわ」
珠樹のその言葉に、

「そうそう」
「去年までとは違ったインパクトあるし」
「誰もガチでやったなんて思わないよ」
「伝統の『卒演』に、新たな伝説を作ろうぜ!!」
「今年もネットで話題騒然間違いなし!!」
と他の部員たちも続きました。

黄水大附属高等学校演劇部の『卒業記念公演』は、
そのお約束の過激さから、昔から地元では注目されてきました。
ですが近年、何処の誰の仕業か分かりませんが、公演中の動画が、動画サイトに上げられてしまい、
それを皮切りに、注目度が飛躍的に上昇してしまったのです。
今では『今年はどんな演出が来るのか!?』『今年も凄かった』等、
毎年ネット上で騒がれる程、全国的に注目されています。
公演の当日券が売られていたのは、もう昔の話。
今年度の一般チケットは、昨年度に続いて、既に予約だけで完売していました。

(何よ皆してっ!!他人事だと思って・・・)
見に来てくれる人や、これまで伝統を保って来たOB・OGの先輩たちの期待を裏切るわけには行かない。
亜理紗もその辺の事は重々承知しています。
他の過激な事なら幾らでもやるつもりでいた亜理紗でしたが。

『おもらし』

これだけは、とても承諾できるものではありませんでした。

「珠樹・・・、悪いけど、この内容なら私はヒロインを降りるわ」

「えっ!!」
「ちょっ!!」
「何でっ!!」
亜理紗の言葉に、部員たちは驚きの声を上げました。

(・・・はぁ)
でも、珠樹だけは表情を変えずに、じっと亜理紗を見つめていました。

「去年までに比べれば可愛いもんじゃん」
「おもらしって、漫画のテーマになったりして、今、結構注目されてるんだよ!!」
「今更降りるとかなしでしょ!!」
「その選択は超勿体ないよ、朝野さん」
部員たちは、何で?どうして?と言わんばかりに、亜理紗に迫りますが、全部無視しました。

「とにかく、私、降りるから・・・」
そう言って、帰り支度を始める亜理紗に、珠樹がようやく口を開きました。

「まぁ、そんなに怒らないでよ亜理紗。まだ時間はあるし、もう少し考えてみてくれない」

「考える必要ないわ。野口さん、代わりにやりなよ」
亜理紗は自分の代わりに、演劇部で最も演技が上手いと評判の野口さんを推薦しました。
野口さんは人が良いので、亜理紗がヒロインに決まった時も、特にこれと言った批判をしませんでした。
でも心の底では、きっと今でも、一番演技力のある自分こそが、ヒロインに相応しいと思っているハズです。

「え・・・、良いの!?伝統ある『卒演』のヒロインを、私なんかがぁ~~っ!!!」
亜理紗の予想通り、案の定、野口さんは一瞬驚きましたが、直ぐに顔が緩んで、満更でも無いと言う顔をしました。

「悪いけどそれ無理。このお話は、亜理紗がヒロインをやる事を前提に書いてるものだから」
珠樹のその言葉に、亜理紗はショックを受けました。

(何よそれ・・、つまりおもらしは、演出としてするんじゃなくて、私にさせる為にするって事じゃないっ!!)
そして珠樹に対して、怒りが込みあげて来ました。

(酷い珠樹・・、中学時代の私の事、知ってるくせに・・・)

「・・・帰るわ」
亜理紗はそう言うと、足早に部室を後にしました。

(・・・亜理紗)
亜理紗の居なくなった部室で、珠樹は深くため息をつきました。

(いきなり過ぎたかな・・・、でもこれも亜理紗の為・・・)

その後、次のミーティングまでに、ヒロイン問題をハッキリさせると決めて、この日は解散となりました。



それから数分後、
珠樹が一人で下駄箱までやってくると、そこで亜理紗に会いました。

「帰ったんじゃなかったの?」
そっけなく話す珠樹に、亜理紗は語気を強めて言いました。

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「どういうつもり・・・?」
頭に血が昇って、一度は帰ろうとした亜理紗でしたが。
下駄箱に辿りついた頃になると、少し落ち着きを取り戻していました。
そして、珠樹が、何のつもりで自分におもらしをさせようとしているのか、その理由を知りたくなったのです。
同じクラスなので、明日でも良いと言えば良いのですが、
直ぐに珠樹から話を聞きたいと思った亜理紗は、下駄箱の前で珠樹が来るのを待っていました。

「珠樹は知ってるでしょ!!私の事・・・!!なのに何で・・・」
問い詰められた珠樹は、下駄箱から取り出した革靴を床に置きつつ言いました。

「亜理紗がそういう考えだからよ・・・」

「・・・は?」
亜理紗には、珠樹が何を言おうとしているのかが、良く分かりませんでした。

「亜理紗、あなたは今だに中学時代のトラウマを引きずったまま、あそこで時間が止まってしまっている・・・」
そう言われた亜理紗は、胸に針を刺されるような痛みを感じました。
ですが、そんな痛みに耐えながら反論しました。

「そ・・・そんな事無いわよ、そりゃ、あの時は死にたいって思った事もあったけど。
高校入ってからは、あの時の事は忘れて、毎日明るく楽しく・・・」

「嘘よ、だったら何で・・・。何で大して興味の無い、演劇部に入ったの!?」
こんな今更の時期に今更な質問を、珠樹は凄く真剣な目つきで言いました。

「それは・・・」
もう殆どの人が、亜理紗の事情についてはお察しだと思いますが(笑)、ここで、お話します。

亜理紗は小学校低学年のころから、ずっとバレーボールをやっていました。
本人の努力に加えて、圧倒的な才能を秘めていた事もあり、
中学に上がる頃には、バレー界では期待の子として注目されていました。
中学レベルでは、並び立つ子は他にいなく、
1年の夏の大会の時点で、既にエースとして活躍していました。
2年の秋には当然キャプテンとなり、その実力でバレー部を引っ張って行きました。
っと、そこまではとても順風満帆な中学生活を送っていた亜理紗ですが、
その年の晩秋に悲劇が起こったのです・・・。



それは11月に行われた、合唱コンクールの時の事でした。
指揮者に選ばれていた亜理紗は、次が自分たちのクラスの番と言う時に、必死にあるものと戦っていました。

勿論、それは『尿意』。

その日は、登校直後に1度トイレに行ったきりだった亜理紗は、
緊張と冷え込みにより、おしっこを相当溜めてしまっていたのです。
自分たちのクラスの番の時には、もうスカートの前をぎゅうぎゅうに抑えてないと、
直ぐにでもおしっこが出て来てしまいそうな位、切迫した状況になっていました。

『指揮者なんて先生に任せて、スカートの上から股間をぎゅうぎゅうに抑えたままでも、
とにかくトイレに駆け込めばよかったんだ・・・』と、
亜理紗は、後にその時の事を何度も後悔することになりました。

でも、後悔は先に立たず・・・。
その時の亜理紗は、指揮者を放棄してトイレに行くなんて、考える事が出来ませんでした。
結果、指揮をするために、股間から手を放した瞬間に・・・。

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シャァァァァァァアアアアアァァァァアァアアァァァアアァァァァアア~~~~~・・

前にはクラスメイト、後ろには残りの全校生徒に教職員、
更に教育委員会のお偉いさん方まで見つめていると言う状況の中で、
亜理紗は指揮者の台に立った状態で、盛大におしっこをもらしてしまいました。

「い・・・いやぁ!!止まってぇ!!止まってよ!!!」
亜理紗は直ぐに両手でスカートの前を抑えて止めようとしましたが、
そんな事で一度出てしまったおしっこが止まる訳がありません。

パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ・・・

おしっこは、スカートの中から、大きな湯気を立てながら、勢いよく吹き出して、
指揮者用の足場に落ちて、周りに飛び散りました。
また一部は、パンツから亜理紗の細いながらもしっかりと筋肉のついた太ももを伝い、
靴下と上履きを薄黄色に染めあげて行きました。
前を抑えてしまったことで、スカートの前、袖口、制服の上着の一部もおしっこでびっしょりと濡らしてしまいました。
溜まりに溜まったおしっこは、なかなか終わらず、亜理紗を中心とした広範囲におしっこの大海原が広がりました。

更に・・・

「うわっ!!きたね~」
「かかった!!」
「どうしてくれんだよ!!」
「ふざけんな!!」
亜理紗の立つ足場の近くにいた何人かの生徒に、飛び散ったおしっこが掛かり、2次被害をもたらしていました。

「う・・っ、うわ~~~ん」
余りの恥ずかしさに、亜理紗はその場にしゃがみ込み、幼稚園児のような声をあげて大泣きしました。

『ザワザワ・・、ヒソヒソ・・・』

突然の事に、会場である体育館は騒然としました。
暫くすると、保健の先生が、泣いている亜理紗の元に駆け寄りました。
先生は、亜理紗の腰に持って来た大き目のタオルを巻くと、肩を抱きながら保健室に連れて行きました。

「朝野先輩・・・」
「うわぁ・・・」
「・・・赤ちゃんみたい」
体育館を抜ける途中、部活の後輩達の嘲笑うような会話が聞こえて来て、
亜理紗は、心臓が張り裂けそうになりました。

保健室に来ても、亜理紗は泣き止むことが出来ませんでした。

「えーーーん、うわぁあああ~~~ん!!」

(皆に私のおもらし姿見られた・・・。あんなみっともない姿を、男子にも、部活の後輩にも・・・)

「う・・うぐ・・・、ヒック・・・、うえぇえ~ん」

(終わった・・、私の人生終わった・・・、もう死にたい・・・、今すぐ、死にたい・・・)

「朝野さん、大丈夫よ、失敗は誰にでもあるんだから。取りあえず、お着替えしましょう、ね?」

「ぐす・・・、ヒック、ヒック・・」

「一人で、着替えられる?って無理か・・・」
とても一人で着替えられそうにないと判断した先生は、
その場にしゃがみ込むと、亜理紗のスカートのホックに手を掛けました。

「じゃあ、スカート脱ごうね~、片足ずつ足あげようか?うん良しっ、はい、脱げたね、偉い偉い~」

「えぐ・・、うう、ふぇぇぇえ・・・」

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「次はおパンツ脱ごうね、びっしょりで気持ち悪いもんね・・・、片足あげて~・・」
この調子で先生は幼稚園児をあやす様にして、亜理紗のお着替えを進めて行きました。

お着替えが終わると、亜理紗は先生からお土産袋を受け取りました。
着ている物のほとんど全てをおしっこで汚してしまった為、
その量は、ビニール袋2つ分と言う、相当な物になってしまいました。

ジャージ姿となった亜理紗は、ようやく泣き止むと、通学鞄にその恥ずかしいお土産を強引に詰め込みました。
自らのおしっこで汚した衣類で、不自然に膨らんだ通学鞄を見つめると、
情けなさが込み上げて来て、また泣き出しそうになりました。

まだコンクールは続いていましたが、今日については、そのまま帰る事が許されました。

「・・・ありがとうございました」
小さな声でお礼と言うと、亜理紗は鞄を背負いました。

「気を強く持ちなさい、ショックなのはわかるけど、明日もちゃんと学校に来るのよ、良いわね」

「・・・・・・・」
先生の問いに亜理紗は応える事が出来ませんでした。
そんな亜理紗を見てかねて、先生は、亜理紗の頭を手で掴むと強引に、「うん」と頷かせました。

「良し!!それじゃ気をつけて帰るのよ」

そうして一人、不自然に膨らんだ通学鞄を背負って亜理紗は家に帰りました。

家に帰ると、亜理紗は直ぐにシャワーを浴びました。
そして、そこでまた涙が枯れるくらい泣きました。

その後、亜理紗は母親におもらしをした事を話しました。
怒られることはありませんでしたが、母親は保健の先生と同じく、
「明日も休まず学校に行くように」と言いました。



「学校、行きたくないなぁ・・・」
翌日、亜理紗は嫌々ながらも、勇気を振り絞って学校に行きました。
亜理紗的には、小学校低学年時代にやらかした子が、
男子から「おもらし女、おもらし女」と、連呼され続けられたイメージが強く、
特に男子からの嫌がらせを警戒していました。
ですが以外にも、いやらしい目で見つめて来る感じがおもらし以前より強くなった位で、
男子が本格的にからかって来ることは殆どありませんでした。
その代わり、同性である女子の、
これでもかと言う程の陰湿極まりない悪口爆撃には、正直かなり疲弊しました。
特に酷かったのが女子トイレ内で、亜理紗が個室に入っているのを分かった上で、
意地汚い女子の集団が、悪口を言い続けました。

「さっきの授業中、危なかったぁー、昨日の朝野なんとかさんみたいになるとこだったぁー」
「ちょっとー、勘弁してよねー、超汚いじゃーん」
「それにしても昨日のあれさー、凄い量だったよねー」
「流石、バレー部の天才キャプテン様はおしっこの量も天才的だわー」
「私達じゃあ、到底真似できないわよねー」
「アハハー、したくねぇーー!!!」
しかも率先して、亜理紗のおもらしを馬鹿にしているのは、同じバレー部の部員達でした。

光の指す所に闇あり。

天才的なバレーのセンスで、周囲にその名を轟かす亜理紗に憧れを抱く人もいれば、
一方でそれと同じくらい、僻んだり妬んだりする者も存在します。
体育館でのおもらしは、そんなアンチ亜理紗勢力の、格好のネタになってしまったのです。

(き・・・気にしない、気にしない、負けるな亜理紗!!
あんな才能の無い奴らに何言われたって平気よ!!
・・・部活に行けば、私の事助けてくれる子だってきっといるわ・・・)
そんな淡い期待を込めて、亜理紗は放課後、部活に向かいました。
しかし、そんな期待は直ぐに消し飛んでしまいました。

亜理紗が、ネット張りなどの準備をしている後輩の横を通り過ぎた時、その後輩は挨拶をしませんでした。
その事に怒った亜理紗は、

「挨拶は!!」
と怒鳴りました。
すると後輩は、ようやく、しぶしぶ小さな声で挨拶をしました。

(何なの・・・、たるんでるわね・・・)
そう思った直後、その後輩が小さな声で言いました。

「威張ってんじゃねーよ、おしっこもらしたくせに・・・」

(!!!!)
その一言に、亜理紗は衝撃を受けました。

「ちょ・・・、今なんて言ったの!!!」
亜理紗は、動揺しながら後輩に迫りましたが、後輩は、

「別に何も、・・ってか邪魔なんですけど」
っと酷く人を見下したような目をして言って来ました。
これまでの、凛々しいキャプテン像と、
昨日の、赤ちゃんみたいに泣きながら体育館を去っていく姿とのギャップが、余りに激し過ぎたからでしょうか。
その後輩だけではなく、部の後輩すべてが、亜理紗に対して舐め切った態度で接して来ました。
代わりに後輩は、同じクラスの副キャプテンを支持する態度を取りました。
この副キャプテンこそ、女子トイレで最も声高々に亜理紗の悪口を言っていたアンチ勢力の大元締めです。
その日、亜理紗がいくら部員に指示を出しても、誰も相手にしてくれませんでした。
聞こえてくるのは、

「もらしが何か言ってる」
「もらしうるさいんだけどー」
「さっさと帰れよもらし」
と言った悪口の声だけです。

(もらし、もらしって、な・・何よ!!私の・・・、キャプテンの言う事が聞けないの!!!)
一方で、副キャプテンの指示には、皆しっかりと従いました。
たった1日、たった一度のおもらしで、亜理紗は部活内で孤立してしまいました。
居た堪れなくなった亜理紗は、部活を途中で抜けて帰宅しました。
もちろん呼び止めるものは誰一人として居ませんでした。

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(・・・・本気で死にたい)
帰りながら、亜理紗は本気で自殺を考えました。
その衝動を必死で抑え、何とか家に帰ると、
亜理紗は直ぐに自室のベットの中に潜り込んで、声を殺して泣き続けました。

(もう無理だ・・・、学校無理・・・、バレーも無理、全部無理!!!!!!無理無理無理無理!!!!!)

翌日、亜理紗は、ベットから一歩も外に出る事が出来ませんでした。

(学校に行ったら、また皆に馬鹿にされる、もらし、もらしって・・・、もう嫌・・・)
その日から暫く、亜理紗は部屋に引きこもりました。
その間、トイレでおしっこをするだけで、おもらした時の事がフラッシュバックして、
その度に、涙が止まらなくなりました。



亜理紗が部屋に引き籠ってから4日目の夕方。
一人のクラスメイトが亜理紗を訪ねてやって来ました。
2年生になって新しく友達になった、渡辺珠樹でした。

「あ・・・、朝野さん?大丈夫」
ドア越しに声をかけた珠樹でしたが、亜理紗からの返事はありませんでした。

「入るよ・・・」
亜理紗の返事を待たずに、珠樹は中に入りました。
亜理紗はベットの上で布団に包まって顔を出そうとしませんでした。

「その・・・、げ・・・元気?」

(・・・元気な訳ないじゃない、さっさと帰れ!!)

「何・・?学校だけじゃ飽き足らず、わざわざ訪ねて来てまで、バカにしに来たの。ご苦労な事ね」
亜理紗は完全にやさぐれてしまっていました。

「良いわ、聞いてあげるから、早く言ってよ・・・。満足したらさっさと帰って・・・」
自嘲的にそう言うと、亜理紗は布団の中でさらに身を丸くしました。

「ち・・違う、違うよ、朝野さん!!私、その・・・心配で・・・」

「・・・・・」

「学校・・、来なよ。み・・皆も心配してるし、その・・、悪口言ってた子達も、言い過ぎたって」

「嘘よ!!そんな事言って、学校行ったらまた馬鹿にするんでしょ!!もらし、もらしって!!!」

「嘘じゃないよ!!皆、謝りたいって言ってる。だから朝野さんと一番仲良しな私が励ましに行く事になって、こうして・・・」

「うるさい!!誰がそんな事信じるもんか!!帰れ!!帰れぇえええーー!!」

疑心暗鬼に陥っていた亜理紗に、そんな話はとても信じられませんでした。
頭に来た亜理紗は、突然むくりと起き出すと、近くにあった枕を珠樹に投げつけました。

「・・・分かった、今日は帰るね」
そう言うと珠樹は、ドアの方へ向かいました。

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「今日はごめんね、亜理紗ちゃん・・・。明日また迎えに来るから・・・」
最後にこう言って珠樹は帰って行きました。

(行かないわよ、学校なんて・・・。もう2度と行くもんか!!)

翌日、珠樹は言った通り、亜理紗を迎えに来ました。
でも、亜理紗は学校に行こうとしませんでした。
すると、放課後にまた珠樹はやって来て、また亜理紗を説得しました。

・・・そんなやり取りを、1週間程続けていると、珠樹の根気が遂に実りました。

「渡辺さん・・・、私、その・・・、学校、行ってみようかなって・・・」

「本当!!!良かった・・・、本当に、良かった・・・」
その時の珠樹の目には、涙が浮かんでいるように見えました。

その翌日、亜理紗は珠樹と共に教室に向かおうとしました。
でも、途中で足がすくんでしまい、無理でした。
保健室には何とか行く事が出来たので、
それから、中学を卒業するまで、亜理紗は、保健室登校をする事になりました。
キャプテンとして頑張っていたバレー部には、
あの日以来、結局戻る事は出来ず、事実上退部と言う形になってしまいました。
ちょっと悔しい気持ちはありましたが、そんな穴を埋めてくれたのは、珠樹でした。
珠樹は暇を見つけては、ちょくちょく保健室を訪れて、亜理紗の話し相手になってくれたのです。

3年生になり、進路の話題になると、珠樹は『黄水大附属高等学校』を受けると言うので、
亜理紗も、そこを受験することにしました。
珠樹と同じ高校に通いたいと言う気持ちは勿論ありましたが、もう一つ、大きな理由がありました。
『黄水大附属高等学校』は幼稚園から大学までの一貫教育制を敷いている学校で、
進学はエレベーター式の人が殆どで、途中で他所から入る人はごく僅かなのです。
つまり珠樹を除いて、同じ中学の人が存在しない環境で、学校生活をやり直す事が出来ると言う訳です。

(落ちたら、働きながら夜間学校にでも通おう・・・)
そう考えていた亜理紗ですが、決して得意ではない勉強を必死で頑張り、
「保健室登校」と言う内申書でかなり不利になりそうなハンデを乗り越えて、
珠樹と共に無事に合格することが出来ました。

「やったー!!珠樹!!珠樹のおかげだよ!!本当にありがとう!!高校でもよろしくね!!」

「ええ、高校では、教室で沢山お話ししましょう、亜理紗!!」
こうして二人の高校生活は幕を開けました。

そして。

月日は流れて、約2年半後・・・、現在に至ります。

続く。
  1. 2016/12/05(月) 20:04:42|
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