華湖の湖~おもらし絵ブログ~

主に学校内でのおもらしを、自作絵やコミPo!を使って表現していくブログです。おもらしに興味のある方はもちろんの事、興味の無い方にも、こう言う性癖もあると言う事を理解してもらえたら嬉しく思う限りです。公開している絵に関しては、転載は止めて下さい。

overwrite~第4話~

こんばんは。

少し間が空いてしまいました、申し訳ありません。
予告通り、お待たせしまくりの第4話をお送りします。
話の都合上とは言え、今回は、当ブログ始まって以来最大規模での・・・、
兎に角読んで頂ければと思います。

今回、いきなり人数が増えるので(読者に優しくない物語です(^^;)
軽く人物紹介を載せておきます。

3年女子部員
朝野亜理紗(ありさ)【ヒロイン役】
渡辺珠樹(たまき)【ライバル役】
野口良乃(よしの)【ヒロインの友人役】
佐藤栞音(しの)
川名美和(みわ)
増岡透(とおる)
九里靖香(やすか)
池上歌子(うたこ)
海老原渓南(けいな)
外川典(つかさ)

3年男子部員
星野勇飛(はやと)【主人公役】
矢野佑助(ゆうすけ)【主人公の友人役】
鈴木健志(けんじ)
豆田慶則(よしのり)
江草宏多郎(こうたろう)

佐藤さんと、川名さんだけでも覚えてくれれば良いかなと思います。
残りの女子と男子は別に(酷)

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。

それでは、本編をどうぞ。



前回までのあらすじ

最終打ち合わせ当日。
亜理紗にヒロイン役を承諾させる為、
珠樹は、自分がおもらしをして見せる事で、
亜理紗と同じ立場に立って説得しようと思い立ちました。
そこで珠樹は、朝からおもらしに向けて着々と準備を進めます。
途中で珠樹の企みに気づいた亜理紗は、「馬鹿な事は止めて」と再三止めました。
しかし、珠樹の意志は固く結局5時間目に限界が来て・・・。
亜理紗の機転により、教室でのおもらしを免れた珠樹は、
トイレの個室で、今まで亜理紗に対して押し殺していた想いを告白しました。
それを聞いた亜理紗は、ヒロイン役を受け入れる事にしました。
しかし亜理紗は、その時一つ条件を出したのです。
それは、珠樹と一緒におもらしする事でした。
それを受けて一部配役等を変更し、いよいよ『卒演』に向けて動き出そうとしていました。



12月に入ったある日の放課後。
黄水大附属高等学校旧校舎の一室に、演劇部3年の女子部員全員が集まって、ある事をしていました。

「う・・・、ううぅ・・、私・・・、そろそろやばい・・・」
小道具の外川典(つかさ)は小柄な体を小刻みに震わせました。
古いジーンズの上から両手で女の子の大事な所を押えています。

「な・・なに、も・・・もう限界なの典?」
外川さんの横に立つ音響の海老原渓南(けいな)も、脚をそわそわさせています。

「え・・えびちゃんだって・・・、人の事言えない気がするけど」

「な!?そんな事・・・」

「まぁ、海老原か外川のどちらかが、最初の脱落者かな?」
2人を正面から見つめるのは、着古した冬服を着た、副部長で制作の川名美和です。
言葉とは裏腹に、彼女もかなり強くポケット越しに股間を握りしめています。

「言い出しっぺなんだし、潔く第1号になりなよ典」

「う・・、それだけはやだぁ~・・・」
海老原さんの意地悪な言葉に、外川さんは股間を押える手の力を強めました。

「最終的には全員するんだから、別に良くない?早く楽になれるし」
珠樹がスカートの裾を握り、脚をクネクネ動かしながら言います。

「じゃ・・・じゃあ、部長お先にどうぞ・・・」
「そうそう、ここは部の代表として・・・」

「え・・・、それは・・その・・・」
外川さんと海老原さんの言葉に、珠樹は戸惑いました。

「第1号はその・・、この前やった私なんで・・・」
そう言ったのは衣装で、珠樹の代役の佐藤栞音(しの)。

この他に、音響の池上歌子(うたこ)、照明の九里靖香(やすか)、衣装の増岡透(とおる)
それから、看板女優(役者)の2人、野口良乃(よしの)と亜理紗を含めた総勢10人が、
普段着に着替えて、教室の真ん中に円を描くように立ち並んでいました。

10人とも程度は違えど、落ち着きなく体をそわそわさせています。
時々辛そうな声を上げる彼女達は一体何をしているのでしょうか?

「さっきも言ったけど、部長と朝野、それから代役の野口と佐藤は、
我慢の限界に関わらず指定時間には、・・・してもらうから、んっ・・・そ・・、そのつもりで」
副部長の川名さんが激しく足踏みしながら言いました。

言わなくてもお分かりでしょう。
彼女達は『おもらし』をしようとしているのです。

「わかってるわ、・・・っで副部長、私がもらす時間は?」

「の・・あっ・・、野口は後15分・・・後・・・んぁだ・・・あっ!!」
ぎゅ~~~~っ・・・。

「OK、・・・って、副部長大丈夫?もう限界?もらす??」

「なっ・・・!?ま・・あんっ・・、まだ・・へ・・平気よ!!」
必死に否定しますが、川名さんはもうかなり余裕が無さそうです。

「私は20分後か・・・、ちゃんと出来れば良いけど・・・、亜理紗はその後だね、行けそう?」
珠樹は横に立つ亜理紗に声を掛けました。

「わからない」
そう答えると亜理紗は、若干尿意を感じる下半身を気にしながら、
今にもおしっこをもらしそうにしている川名さんや海老原さん、外川さんを見つめました。

(頑張らなきゃ・・、今日こそ・・・頑張って、お・・・、おも・・しなくちゃ)

そもそも、彼女たちは何でこんな事をしているのでしょうか・・・。
話は数日前に遡ります。



ヒロイン役が正式に亜理紗に決まった次の日、早速、台本の読み合わせが行われました。
実際に動くなどはせず、ただ台本を読み進めて行くだけの練習です。

「お先に失礼します」
「朝野先輩!!野口先輩!!頑張って下さい!!」

練習の前に、1、2年の部員を帰宅させます。
観客の度肝を抜く演出こそが最大の魅力なだけに、情報流出は絶対にあってはなりません。
その為『卒演』で何をやるのかは、当日まで3年部員だけの秘密なのです。
よって、必然的に必要な準備は全て3年部員だけで行う事になります。
3年間の部活動の中で、実は最も忙しいのもこの『卒演』の伝統だったりするのです。

後輩が皆帰ったのを確認すると、野口さんが一つ、ある提案をしました。

「部長、私、最後のおもらしだけは、今日から実際にやってった方が良いと思うんです」

or017.jpg
(えっ・・・ええええ~~~~っ!!!!)
いくらヒロインを引き受けたとは言え、今日いきなりおもらしするだなんて。
心の準備が出来ていない亜理紗は物凄く動揺しました。

「どうして?」

「私、台本貰ってから何度か実際にもらしてみたけど、トイレ以外の場所で服着た状態だと、
出そうと思ってもなかなか出せないってわかったから」
珠樹の問いに野口さんはさらっと答えました。

「え・・、限界ギリギリなら出ちゃうんじゃないの?」
万が一の時、珠樹の代役を務める佐藤さんが問いかけます。

「そりゃ、本当の限界ならね・・・。
でもその状態だと演技は無理だし、全然関係ない所でもらしちゃうかも知れないでしょ。
だから、ある程度の尿意で意図したタイミングでおもらしする必要があるの。
それには、それなりの訓練が必要になって来るのよ」
野口さんの熱弁に、佐藤さんだけでなく、3年の部員全員が「なるほど~」と納得しました。

「ちょ・・・ちょっと待ってよ!!」
皆が野口さんの提案に従いかけてた所で、亜理紗が待ったを掛けました。

「野口さんの話は納得出来るけど・・・、いきなり今日って言うのは・・・その、
も・・、した後、下着とかどうするの?それにその・・・、男子が見てる中で?」

「下着なら大丈夫、もともとそのつもりで捨てる予定のパンツ人数分持って来たから、
私のサイズだと朝野さんはちょっときついかな?まぁ何とかなるでしょ・・・」

「いや、でも・・・男ー」

「本番じゃ同い年の人だけじゃなくて、色んな年齢の人が見る中でするんだよ。
部員の男子の前位で恥ずかしがっててどうするの?やる気あるの朝野さんっ?!」
野口さんは真剣な表情で亜理紗に迫りました。

「・・・わ・・分かったわよっ!!」

(あんたこの前、流石に恥ずかしいとか言ってたくせに!!)
何て事は思いつつも(笑)
言い返す事が出来なくなった亜理紗は、嫌々ながら承諾しました。

「後は部長の判断に任せるけど、どうしますか?」
右手を腰に当てた川名さんが珠樹に尋ねました。

「それじゃあ、おもらしを含めてやってみようか」

(た・・珠樹ぃ~~~っ!!!)
珠樹が止めてくれる事にちょっと期待していた亜理紗は、心の中で叫びました。

「でも、いきなりで亜理紗が恥ずかしがるのも分かるから。
私も、正直かなり恥ずかしいし・・。今日の所は、男子は後ろ向いててくれる?」
珠樹の言葉に5人の男子部員は頷きました。

「良しそれじゃあ・・・、部長に朝野さん、それから佐藤さんはちょっと来て」
方針が決まると、野口さんは3人を隣の部屋に誘導しました。

「それじゃあこれに履き替えて」
隣の教室に入ると、野口さんは3人にさっき言っていた捨てる予定のパンツを渡しました。

「今日使ったら捨てちゃうから、気にせずにもらしてねっ!」

「えぇ!!良乃ちゃん、私もおもらししないと・・・やっぱ駄目!?」
パンツを受け取りつつ、確認する佐藤さん。

「代役なんだから、万が一に備えて訓練するのは当然だよ」

「・・・だよねぇ」
佐藤さんは渋々そう答えました。

(佐藤さんごめん・・・、本当にごめん・・・)
亜理紗は佐藤さんに申し訳なく思っていました。
ライバル役はおもらしの予定が無かったのに、亜理紗の提案でおもらしが追加されしまい、
珠樹はともかく、代役の佐藤さんは完全にとばっちりの様な形になってしまったからです。
それにもともと佐藤さんがライバル役だった事も有り、余計に罪悪感を感じていました。

(面白くないって思ってるよね・・・)
複雑な表情の佐藤さんの事をぼーっとみていると、

「何してるの朝野さん、早く履き替えて」

「あ・・・うん、ごめん」
野口さんに急かされた亜理紗は慌てて、パンツを穿き替えました。

「良かった、穿けるみたいだね」

「ま・・・まぁ、何とか・・・」
長身の亜理紗には若干キツイですが、何とか穿くことが出来ました。

パンツの履き替えが終わると、次に、野口さんは1リットル入りのお茶のペットボトルを3人に配りました。

「私からの差し入れ、一気にググッと!!じゃあまず私からね」
笑顔で言う野口さんがまず先陣を切って一気にお茶を飲み干しました。

(お茶まで用意してるなんて・・・・)
野口さんの用意周到ぶりに驚きつつ、3人はお茶を一気飲みしました。
これで準備万端です。

4人が部室に戻ってから30分後、尿意を感じ始めた所で読み合わせを開始しました。



「○○○○○○○○~」
「○○○○~○○○○~」
主人公役の星野勇飛(はやと)とヒロイン役の亜理紗を中心に、序盤はスムーズに進んで行きました。
しかし中盤に差し掛かる所で若干の変化が起きました。

「○○っ・・・○○・・んっ・・」
珠樹の滑舌が悪くなって来たのです。

(あ・・、おしっこもれる・・・、まだ・・、まだ駄目・・まだ駄目・・・)

「部長、頑張ってー」
「集中集中っ!!」
裏方の部員たちが、珠樹にエールを送ります。

(集中って言っても・・・、お・・・、おしっこが・・・)
一度感じてしまった尿意を振り払う事が出来ず、どうしてもセリフに集中する事が出来ません。
そして、それは珠樹だけに止まらず残りの3人にも広がりました・・・。

後半は、野口さんは何とか喋れていましたが残りの3人は、最早台本を読むと言う状態ではありませんでした。
脚を擦り合わせて尿意に耐える事に必死です。

(あ・・・、は・・・、ぁう・・、も・・・もれる・・・)
男子が後ろを向いている事を良い事に、佐藤さんなんかは両手でスカートの前を握りしめています。

その後、何とか主人公が2人の女の子のどちらを選ぶか決断すると言う、物語後半のシーンまで進めました。

「ん・・・、くぅ・・・」
そわそわ・・・、そわそわ・・・。
佐藤さんはもう本当に限界みたいで、顔を上げる余裕すらなく、ただただ迫りくる尿意の限界に耐えていました。

(さ・・・佐藤さん大丈夫かな・・・)
亜理紗は心配そうに見つめました。
周りの裏方担当の子も一番つらそうな佐藤さんの動向を見守っていました。

「も・・、もう・・げ・・・、んか・・・」
激しい尿意の波がやってきたのか、佐藤さんはしゃがみ込み必死に前を押えました。

(いやっ!!佐藤さん!!!)

「○○○○○○○○!!」
星野くんが、決意を固めたシーンを読み終えた時・・・。

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しゃあああああああああああああああぁぁぁぁ~~~~~~~
ぴちちちちちちちちちちちちちちちち・・・・・・・・・・・

しゃがみ込んだ佐藤さんの足元に、湯気を立てながら水溜りが一気に広がって行きました。

「ひぃぃっ!!!!」
佐藤さんのおもらしを目の当たりにした亜理紗は、
その瞬間、中学時代の失敗をフラッシュバックしてしまい、反射的に目を背けました。
心臓の鼓動も激しくなって来ました。

「うわうわ・・・、やだぁ・・、超恥ずかしい・・・」
佐藤さんは、股間を押えていた両手で口元を押えて恥ずかしそうに俯きました。

「役者はそのまま進めて!!佐藤、良いからさっさとどく!!増岡、九里は床拭いて!!」
すぐさま川名さんが指示を出します。
佐藤さんは恥ずかしがりながらも立ち上がって自ら作り上げた水溜りの上から移動しました。
すると直ぐに、衣装の増岡さん、照明の九里さんが水溜りを拭き始めました。

「うう~ごめんね、透ちゃん、靖香ちゃん・・・」
川名さんから手渡されたタオルで体を拭きつつ佐藤さんが、
床のおしっこを拭いている2人に謝りました。

「き・・気にしないで」
「これが私たちの仕事なん・・だから・・」
2人は佐藤さんの方を向いて言いました。

(佐藤さん・・・もらしたのか・・・)
(・・・ごくっ)
(音だけでもかなり・・・)
(後3人も・・・)
(見てぇ・・・)
女子たちが後始末に追われる一方で、
ほのかにおしっこの臭いが漂う中、音だけとは言え、男子たちが冷静でいられる訳がありません。
部活動の練習と分かっていても、5人とも程度の差はあれ下半身の一部を固くしてしまいました。

「男子、振り向くなよ・・・、振り向いたらシバく」
そんな男子の様子を察知したのか、川名さんが釘を刺しました。

その言葉で気持ちを引き締めた星野くんは、落ち着いて台本を読み進め
いよいよヒロインに告白をするシーンに来ました。

「亜理紗、いよいよだよ」

「・・・え、あ・・うん・・・」
珠樹の囁きに亜理紗は上の空で答えました。
佐藤さんのおもらしと後始末の様子を見て、一気に気が動転してしまったのです。

(お・・も・・・、私も今からするんだ・・・。
み・・・皆が見てる中で、あんな恥ずかしい事を・・・。佐藤さんみたいに、また・・・)

「あ・・・、は・・・、は・・・、はっ、はっ、はっ、はっ・・」

「・・・亜理紗?」

(中学・・・の・・時・・みたいに、また・・・、また・・・、や・・・や・・)

「あ、あ・・、はっ・・はっ、はっ、はっ・・」

(苦し・・・、い・・息が・・・)
星野くんが告白のセリフを言った丁度その時。
おもらしするはずの亜理紗は過呼吸に陥り、真っ青な顔をして膝をついてしまいました。

「ちょっ!!亜理紗!!大丈夫!!!」
珠樹が慌てて、亜理紗の背中を摩ります。
・・・がその直後。

「うわ・・・、まずぃ・・・出・・・」

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じょおおおおおおおおおおおおぉぉぉおおお~~~・・・・

一瞬気が緩んだ珠樹は、亜理紗の横でしゃがんだままおしっこをもらしてしまいました。
珠樹のおしっこは亜理紗の足元にも広がって行きます。

「いやあああああああああぁ~っ!!!!!」
亜理紗は更に動揺して、まるで襲われたかのような悲鳴を上げました。
そして、今度は胸の下辺りから何かこみ上げてくるような感じがして・・・。

「・・・うぇっ」
亜理紗は立ち上がると、口を押えて慌ててトイレに駆け込みました。

・・・・・。

「うぇぇぇぇ~~~」
便器の前に膝を付き、こみ上げて来た物を吐き出した亜理紗は、そのままの格好で呼吸を整えました。

(他人のお・・・、すらまともに見れないどころか・・・、こんな・・・)

「う・・・、ぐすっ・・・」
情けなくて自然と涙が溢れて来ました。

「朝野ー、大丈夫かー?」
暫くすると川名さんがトイレに入って来ました。

「う・・うん、何とか」
亜理紗は慌てて涙を拭います。

「部長が今日はここまでだって、まだ我慢してるならしちゃっていいぞ」

「そう・・・、分かった、ありがとう」

「でもさ、恥ずかしいのはわかるけど・・・、そこまでなるか普通?何かあるの?」

「・・・・・」
亜理紗は口をつぐみました。

「言いたくないなら良いけどさ、お前そんなんでヒロインちゃんとやれるの?」

「・・・ごめん」

「・・・悪い、その言い方は無いよな、初日だってのに」
川名さんは後ろ髪を右手で掻きながら言いました。

「それに、駄目だったのは朝野だけじゃないよ。
部長も佐藤も、もらしはしたけど、あれじゃただもらしただけだしな。
裏方だって、全員おしっこの後始末に嫌悪感を抱いてたし・・・、申し訳ないけど私もだよ。
クソッ、口では斬新だの何だの言ってても、
実際に水溜りを目の当たりにすればこんなもんかよ、ったく!!自分自身に腹が立つ!!」
川名さんは壁に寄りかかって両手を組むと、歯を食いしばって悔しそうな顔をしました。

「川名さん、野口さんは?」

「野口?そろそろ来るんじゃないか・・・」
疑問に思った亜理紗が尋ねた直後、扉を開けて野口さん本人がトイレの中に入って来ました。

「う~~ん、やっぱり出そうと思っても上手く出ないな~・・・。
佐藤さんは膀胱が小さいのかな?もう少し我慢が聞くようにして貰わないと・・・
朝野さんも困ったものね~~、う~~ん、どうしよう・・・。う~~~~ん・・・う~~~~ん・・・」
そして、亜理紗と川名さんに気づく事も無く、独り言を呟きながら個室に入って行きました。

「見ての通り、アイツももらせなかった」
川名さんが説明を終えた直後。

or020.jpg
しょおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおぉぉ~~~~・・・・・
じょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼ・・・・・

野口さんの入った個室から、とても大きなおしっこの音が響き渡りました。

「ほら・・・、便・・を前に・・ばこん・・・単に・・・、何が違・・・なぁ~~、ど・・・の勢い・・舞台上で・・・・」
おしっこの音に混じって、なんかぶつぶつ呟いている声も聞こえて来ました。

「野口・・・、音消し位しろよな・・・ったく」



初めての読み合わせから一夜明けると、直ぐに反省会が行われました。

「私達4人は、読み合わせと並行しておもらしの特訓が必要だと思うの、
昨日の失敗から、野口さんが個々に特訓メニューを組むみたいだから、それに従って・・」
珠樹が今後の方針を伝えていると、

「部長・・、私、思ったんですけど・・・」
外川さんが話を遮って言いました。

「おもらしって、物凄く恥ずかしいでしょ・・・。
あ・・当たり前だけど、でも私、実際見るまで甘く見てたって言うか・・。
恥ずかしいて言っても、単におしっこするだけじゃんって・・・。
部活でやる事だから、割り切れるだろうなって・・・。
でも、昨日栞音ちゃんがした時、練習でわざとだって分かってても、
栞音ちゃん、めちゃくちゃ恥ずかしがってたし、私も見ててその・・・」

「何が言いたいの外川?もっと簡潔に話せ」

「だからえっと、『卒演』までの間、部長達だけに
恥ずかしい思いをさせるのは申し訳ないなって・・・・」

「どうしたいのよ?それを早く言ー」

「川名さん」
珠樹は急かす川名さんを諫めました。

「・・・すみません」

「良いよ外川さん、ゆっくりで・・・」
珠樹は外川さんに先を促しました。

「私、一度、部員全員でおもらしを経験した方が良いと思うの。
そうすれば、役者も裏方も一体感が強まるかなって」
外川さんの発言に、部室に残った3年部員全員が驚きました。

「ちょ・・・、それって、俺達男子も?」
主人公の友人役の矢野佑助君が動揺しながら言いました。

「全員だってば、じゃないと意味無いし、もちろん部屋は男女で分けるよ」

「えーーっ」
「マジかよー」
男子の何人かは不満そうな顔をしました。
それを見た外川さんはムッとしました。

「何よその顔!新しいだのなんだの言っておいて、人に押し付けるだけ!?
舞台は皆で作り上げて行くものじゃないの!!」

「別に押し付けてねーよっ!!俺はただ・・」

「喧嘩は止めて!!」
珠樹の一言で言い争いが収まると、次の言葉を発したのは亜理紗でした。

「えっと・・、別にそんな事しなくて良いよ。
演技でやる事なんだから・・・、役者である以上それは私達の仕事なんだし。
申し訳ないとか思う必要ないよ、そんな事言ってたら切りがないし。
裏方は裏方の仕事が有るんだから、そっちをしっかりやって貰った方が」

「そうそう、俺が言いたかったのはそんな感じ、亜理紗ちゃんグッジョブ!!」
矢野君は亜理紗に向かってナイスと言った仕草を見せました。

「うん、私もそう思うな。
裏方さんはおもらしよりも他にやる事があるでしょ」
野口さんも亜理紗の援護射撃をしました。

(良い感じ、ありがとう野口さん・・・)
亜理紗は、このまま外川さんの提案が却下される事を願いました。
さっき意見として言った事も勿論理由の一つですが、それはあくまで建前の理由です。
本音は、もしそんな事になったら、9人もの他人のおもらしを直視する事になり、
とてもじゃないけど耐えられないと思ったからです。

「亜理紗ちゃんと良乃ちゃんが揃ってそう言うなら・・・、良いけど」

(・・・良し)
考え直した外川さんの様子を見て亜理紗はホッとしました。
しかし、そこに思わぬ伏兵が現れました。

「私は外川の意見に賛成。やるべきだと思うぞ、少なくとも一人1回は」
副部長で、裏方の責任者を務める川名さんです。

「昨日の練習、裏方のおもらし後の対応は最悪だったからな。
おしっこに触れるのは嫌だと皆顔にかいてあった、・・・まぁ私もだけどな。
役者じゃないし、おもらしは自分には関係ないって何処かで思ってたんじゃないか?
その辺どう思う、裏方の人?反論できる奴いる??」

「「・・・・・・」」
その言葉に裏方の誰も反論出来ませんでした。

「今の状態じゃ、何処かで必ずひずみが生まれる。
そうなったら裏方の仕事にも影響し兼ねないと思うんだけど」

(ちょ・・・!!川名さん!!!)
亜理紗は慌てました。

「そ・・そんな事無いと思うよ。
それぞれがそれぞれの事をやった方が、スムーズだし。
やんなくて良いよ!!やんなくて」

「なんでそんなに必死なんだ朝野?」

「そそっ、そんな事にゃいし!!
それに、お・・おも・・、・・て、思ってる以上に相当恥ずかしいんだからねっ!!
冷たくて気持ち悪いわ惨めになるわ死にたくなるわ・・・、そんな事皆でわざわざやる事ないよ!!」

「お前は昨日やれてないだろ?やけに知ったような口聞くな??」

(しまっ!!!)
熱くなってつい余計な事を言ってしまいました。
これ以上突っ込まれたら、黒歴史を暴かれる事に成りかねません。

「まぁいい・・・、どのみち決めるのは部長だ」
川名さんは突っ込んで来る事は無く、最終判断を部長の珠樹に委ねました。

(珠樹、私無理だよ、また立ってられなくなっちゃう・・・)

これまでのやり取りをじっと黙って見つめていた珠樹は、一呼吸置いてから言いました。

「やりましょう」

(た・・・珠樹ぃ~~~~っ!!!!)
その一言に亜理紗は顔を真っ青にして項垂れました。
亜理紗以外にも不満そうな顔をした部員が何名かいましたが、
部長の決定なら仕方がないと、皆納得しました。

「外川さん、川名さんの言う事に私も賛成だし、
それに、私や亜理紗、代役の2人にとっても、良いおもらしの練習の場になると思うしね」

「れ・・・練習なんて、他で幾らでも出来るでしょ!!」

「朝野、部長が決めた事だぞ。黙って従え」

「・・・・」
川名さんの言葉に、亜理紗は唇を噛みしめました。



その日の帰り。

「珠樹の鬼!!どうして外川さんの提案OKしたのよ!!私また気が変になっちゃう・・・」
どうしても不満な亜理紗は、横を歩く珠樹に文句を言いました。

「どうしてって・・・、部室で話した通りだけど」
ケロッとした顔をして珠樹は答えます。

「一昨日の読み合わせの時の私を見たでしょ?それなのに・・・」

「それは亜理紗にまだ覚悟が足りてないだけだよ。
言っちゃ悪いけど、ヒロイン役やるって言ってくれた時の方が、全然マシだった」

「な・・なにそれ?何を根拠に!?」

「あの時は、小声だったけど「おもらし」ってちゃんと言えてたよね?
あれから幾らも経ってないのに、亜理紗、また言えなくなってるよ」

「・・・そ・・・そんな事」
珠樹に指摘された亜理紗は、とっさに顔を背けました。

「じゃあ言ってみて」

「い・・嫌よ、何で意味も無くそんな事言わなくちゃー」

「おもらし」

「!?」
珠樹のいきなりの声に、亜理紗は思わず歩みを止めて固まりました。

「はい次、亜理紗の番」

「・・・・・」
珠樹に振られた亜理紗は、嫌々ながらもその言葉を口にしようとしました。

「お・・・、お・・・、お・・・も・・・」

「お・も・ら・しっ!頑張れ亜理紗!!」

「お・・も・・・、う・・・」

「亜理紗?」

「う・・・うぅ・・・」
気付けば亜理紗は目に涙を溜めていました。

「ちょ・・ちょっと!!亜理紗!?」

「ごめん、言おうとすると、あの日の事が頭を過って・・・、苦しくなって・・・」
苦しそうな顔をする亜理紗に、珠樹は「もう良いよ」と言って肩に手を乗せました。

「亜理紗はまず、おもらしに目を向けられるようになる所からだね」
そう言うと珠樹は鞄から少し大きめの巾着袋を取り出して、亜理紗に渡しました。

「なにコレ?・・・って、いやぁ!!!!」
袋の中身を目にした亜理紗は、顔を真っ赤にして驚きました。
そこに入っていたのは、数枚のおもらし系DVDだったのです。

「実はさっき、野口さんから亜理紗に渡しておいてって言われててね。
野口さんが言うには、おもらしから目を背けない事、それが出来るようになるまで繰り返し見るようにだって」

「い・・嫌よそんなの!!第一こんなの見てる所、親にバレたら・・・」

「バレないように見れば良いじゃん、どうとでもなるでしょそんな事」

「な・・・ならない、ならないってばっ!!」

「頑張るって決めたんでしょ!!亜理紗ちゃんっ!!」

「わ・・・わかったわよ!!み・・見るわよ。見れば良いんでしょ、見れば!!」
涙ぐむ珠樹に根負けした亜理紗は、嫌々ながら承諾しました。

「そうだよ、見れば良いんだよ亜理紗っ!!」

それから皆でおもらしする予定の日までの数日間、
亜理紗は自室にいる時間の殆どを、渡されたDVDを見て過ごしました。
やはり最初は目を背けたり、見ている内に気分が悪くなったりしましたが、
繰り返し見て行く内に、平常心でいられる時間が徐々に長くなって行きました。



12月に入って、いよいよ皆でおもらしする日になりました。
放課後、通常の活動を終えた3年の演劇部員達は、
おもらしで汚しても良い服装を各自で準備して旧校舎に集まりました。

「それじゃあ、男子は1階の教室、女子は3階の教室でそれぞれ行います」
珠樹の指示の元、まずは1階の一室に男子5人が入りました。

「分かってると思うが、絶対上に上がって来るなよ」
川名さんが男子に釘を指すと、女子10人は3階の一室へと向かいました。

部屋につくと、まずは各自制服を脱いで持参した服に着替えました。
その後1リットル入りのペットボトルのお茶を全員一気飲みして、時が来るのを待ちました。
お茶を飲んでから1時間半が過ぎた頃、
円を描くように立ち並んだ彼女達に、一人、また一人と尿意が襲って来たのです。



(大分したくなって来た・・・)
亜理紗のおもらし予定時刻まで、残り20分。
スポーツウェアに身を包んだ亜理紗は、時々股間に手を添えて尿意を抑えます。

その一方で、いよいよ限界が近い海老原さん、外川さん、川名さんの3人は、
最早話す余裕すらなく、ひたすらに激しさを増す尿意に耐えていました。
最初の一人にはなりたくない・・・。
3人はその思いを胸に必死になって尿意と戦いました。

亜理紗のおもらし予定時刻まで、残り15分。

「も・・もう、無理、もれ・・・るぅ~~・・・」
3人の熾烈な我慢合戦に、遂に終止符が打たれました。

シュウウウウウウウウウウウウウウウ~~~~~
パシャパシャパシャパシャパシャ~~~~・・・
一人の女の子の足元に、黄金色の液体があっという間に広がって行きました。

「あ・・・、ああっ・・・んっ!」
本日、10人中1番乗りでおもらしして、
これまで感じた事のない感触に、慌てふためき、
恥ずかしさと開放感に満ち溢れた不思議な表情を浮かべている少女の名は・・・。

or021.jpg
副部長の川名美和。

「あ・・、あんっ・・、いやぁ、見ないでぇ・・・」
一番最初におもらししてしまったのがショックなのか、
川名さんはスカートの前をびしょびしょにしながら、今にも泣きそうでした。

「あ・・あはは、足冷たぁ・・・、こりゃ、かなりきついわね・・・」
濡れたスカートを握りしめ、恥ずかしそうに水溜りの上に佇むその様子は、
いつものサバサバしたイメージからかけ離れていてとても色っぽく感じました。

(川名さん、か・・可愛い・・・)
亜理紗は川名さんのおもらしの一部始終を、目を背ける事無く見続ける事が出来ました。

「・・はぁ~」

「・・・ほっ」
おもらし一番乗りを免れた海老原さん、外川さんは安堵の息を吐きました。

「美和ちゃん、いつもそれ位しおらしくしてれば、男子がほっとかないのに」

「さ・・・佐藤、それどー言う意味よ!!」
佐藤さんの言葉に反応して足を動かすと、足元の水溜りが小さく波打ちます。

「副部長、気持ち悪いだろうけど、そのまま待機でお願いね。
後片付けは10人全員のおもらしが終わった後に一斉にやるから」

「分かってるよ」
野口さんの言葉に川名さんはつまらなそうに答えました。



亜理紗のおもらし予定時刻まで、残り10分。

「野口、時間だ」
現在ただ一人、おしっこの上に立っている川名さんが指示を出します。

「はい」
今日に備えて、さらなる特訓を重ねた野口さんは、
まだ余裕のある膀胱の、おしっこを止める力を徐々に緩めて行きました。

「・・・んぅ」

しょぱ・・・ぱぱぱぱぱぱ・・・・
ぽとぽとぽとぽとぽと・・・・・

チビチビとではありますが、野口さんの足の間から薄黄色の液体が床に落ちて行きました。

or022.jpg
ジョオオオオオオオオオオオオ~~~~~・・・・
ビチャビチャビチャビチャビチャ・・・・・

「「!?」」
皆が野口さんのおもらしに注目している時、突然別の所からも、
女の子のおもらしの音が聞こえて来ました。

「ううぅ~~~、出ちゃったぁ~~~」
音の発生元は海老原さんでした。
脚を大きく広げて、幼稚園児のような格好でおもらししてしまいました。

「うわ・・ちょっ!!何この量!!マジやだぁ、見ないで!!見ないで!!!」
海老原さんの水溜りは、川名さんと野口さんのを合わせてもお釣りが来る位でした。
水溜りと言うか、最早、海です。

「そうっ、それよ!!勢いとしてはそれ位のおもらしが理想ね」
おもらしを続けながら、野口さんが海老原さんを見て言いました。

「やめてよ良乃っ!!ああんもう、超最悪~っ!!!」

それから、珠樹がおもらしをする予定の5分間で、
増岡さん、九里さんの2人が足元に水溜りを作ってしまいました。
残りは半分です。

or023.jpg
「う・・うわぁああん、うわぁ~~~~ん・・・」
九里さんは余りの恥ずかしさに耐えきれず、水溜りの上に座り込んで子供のように大泣きしてしまいました。

「泣くなよ、皆でしてる事だろ?恥ずかしいのはわかるけど・・・」

「九里さん、その格好じゃどんどん濡れちゃうからさ、取りあえず立とう・・ね。もう少しで終わるから」
珠樹と川名さんの慰めで、何とか泣き止んだ九里さんはゆっくりと立ち上がりました。

バチャン・・・ッ!!
その拍子に、服に溜まったおしっこが一気に水溜りの中に落ちて、周りに飛び散りました。

「ご・・ごめんなさい・・・・」
九里さんは、隣にいた増岡さんと池上さんに、飛び散ったおしっこが掛かってしまった事を謝りました。
既にもらしている増岡さんは、「気にしないで」と返しましたが、
池上さんは、我慢に必死でそれどころではない様子です。



「時間だね、それじゃあ今からするから、亜理紗、ちゃんと見ててね」
珠樹は亜理紗の方を向いてウィンクをして見せました。

「わかってる、だ・・・大丈夫よ、早くやっちゃってくれる」
ここまで5人のおもらしを見た亜理紗は、若干精神的疲労が出てきていました。
でも、ここでへこたれる訳にはいかないと、必死に気持ちを奮い立たせます。

or024.jpg
プシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥ~~~~~~
ピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャ・・・・

宣言から2分が過ぎて、ようやく珠樹の股間からおしっこが吹き出しました。
スカートとニーソックスを綺麗に染めあげたおしっこは、珠樹の足元に静かに広がって行きました。

「はぁ~~、やっと出た、ごめん上手く行かなくて・・・」
おもらしを終えた珠樹は、下を向いて前髪を弄りながら言いました。

「亜理紗、ちゃんと見てくれた?」

「・・・み・・・見たよ、珠樹の恥ずかしい姿」
この前のトイレの時は、ドアの壁に阻まれて足元しか見えませんでした。
でも今回は、手で押さえたスカートの前がおしっこで染みになっていく様子、
おしっこが足を流れて行く様子、足元に水溜りが広がる様子、
そして、水溜りが広がるのを恥ずかしそうに見つめる表情まで、
珠樹のおもらしの全てをしっかりと見る事が出来ました。

「今度は私が見る番だね」
珠樹と亜理紗が話していると。

しゃあああああああああああああ~~~・・・・
しょろろろろろろろろろろろろろ~~~・・・・
2人分のおもらしの音がほぼ同時に響き渡りました。
音の主は、佐藤さんと池上さんでした。

「ご・・・ごめんなさい私、まだ時間じゃないのに・・・」
佐藤さんは両手で口元を隠しながら謝りました。

or025.jpg
「あはは・・・、わざととは言え結構恥ずかしいね・・・」
池上さんは水溜りの上で照れ笑いを浮かべました。

残るは、亜理紗と外川さんの2人です。



「朝野、時間だ」
亜理紗がおもらしをする時間が来ると、川名さんが言います。

「・・・う、うん」

「亜理紗、頑張れ!」
おしっこまみれの珠樹がエールを送りました。

(大丈夫・・・、落ち着け、皆の失敗を見ても大丈夫だったんだ、やれる・・・やれるわ・・・!!)

「・・・んっ!!」
亜理紗はおしっこの出口の力を抜きます。

「・・・あれ?」
でも、おしっこは出てきてはくれませんでした。

「出ない!?な・・何で・・・」
限界ではありませんでしたが、おしっこは間違いなく溜まっています。
なのに、トイレでする時のように出せません。

「限界でもないのにパンツ穿いたまま出しちゃうって言うイレギュラーに
体が拒否反応を起こしてるの、トイレでも無い所だし尚更ね」
2分を過ぎてももらせずにいる亜理紗に、野口さんが丁寧に説明してくれました。

「でも、珠樹は出来たのに・・・」

「私は、家で何度か練習したから・・・。お・・お風呂とかで」

「そう・・・なんだ・・・」

「その辺のリミッターを解除するのが結構大変だけど、まぁ慣れだから。
朝野さんには慣れて貰わないと困るし、・・・佐藤さんも」

「慣れって言ったってぇ・・・」
野口さんは簡単に言いますが、それをその場で習得するのはどう考えても無理そうです。

「とにかく落ち着いて、余計な力を抜いて・・、そうすれば出せるよ」

「・・や・・やってみる」
野口さんのアドバイスに従って、亜理紗は体の力を抜きました。

すると・・・。

ジュッ

僅かですが、パンツにおしっこが広がる感触がしました。

(!?)
その瞬間、中学で失敗した時のあの感触が蘇って来ました。

ジュワァァ~~・・・

暫くすると、おしっこはパンツを突き抜けて、ズボンを染め始めました。
一部のおしっこは、足の間から直接床に落ちて行きます。

ポトポト・・・

「あ・・・あああああっ!!!」
足の間から落ちる自分のおしっこを見た瞬間、亜理紗は叫び声を上げました。

自分を中心に広がる恥ずかしい水溜り。
びしょびしょの制服姿で先生に連れられ体育館を去る様子、それを見て嘲笑う周りの生徒達。
保健室での恥ずかしいお着替え。手渡されるみっともないお土産袋。
お土産袋を見て呆れ顔の母親。翌日のバレー部員たちの冷たい態度。

亜理紗の脳裏に、これら中学時代の屈辱的な記憶が津波のように押し寄せて来たのです。

「いやぁ~~~、何で!!なんでぇ~~~!!!
う・・うわぁああああ~~~っ!!!」

おもらしを続けながら、亜理紗は泣き叫びました。

「亜理紗っ!!!」
心配した珠樹は亜理紗に抱きついて背中をさすりました。

or026.jpg
「大丈夫、落ち着いて・・・。私がついてるから・・・」

「珠樹・・・、あ・・・、わ・・私・・・ううっ・・」

「よしよし・・・」
その後、何とか亜理紗は落ち着きを取り戻しました。

「泣くなよ・・ったく、先が思いやられるな・・・・」
川名さんに呆れられてしまいましたが、何とか亜理紗はおもらしをする事が出来ました。



さて、残る一人は・・・・・。

「言い出しっぺが最後まで残るとか・・・・」

「なんだかねー」

「そ・・・そんな事言ったってぇ~~~・・・」
既におもらしを終えた部員からの冷やかしの声を受けながら、必死に尿意に耐えているのは、
この全員おもらしの提案者、外川さんです。

「外川さん、皆待ってるからそろそろ・・・」
珠樹が困った様子を見せます。
室内はアンモニアの臭いが漂い始め、
最初にもらした子達は体を震わせてとても辛そうにしています。

「出したいけど・・・、でも、出そうと思っても出ないんだもん・・・」
外川さんは苦悶の表情を浮かべて言いました。

「お前、最初にもう駄目とか言ってたくせに・・・、どんだけ我慢強いんだよ・・・」
川名さんがため息交じりに呟きます。

「うう~、だってだってぇ~~・・・」

「うーーん、それじゃあトイレ行こう、普通にする時みたいにすれば出やすいかも。それでも良いですか、部長?」
野口さんがそう提案し、珠樹に確認を取りました。

「良いよ、後始末もしないといけないし」
珠樹の許可を受けて、外川さんは野口さんに連れられてトイレに向かいました。

・・・・・。

or027.jpg
「皆、お待たせ~・・」
5分程して、外川さんはジーンズをぐっしょり濡らした姿で戻って来ました。

こうして、3年女子部員10人全員のおもらしが終わりました。



「それじゃあ、次は後始末ね。水溜りは自分のじゃなくて隣の人のを拭く事。
お着替えも自分でしたら駄目だよ、これも隣の人にやって貰うようにね」
珠樹の指示で各々が後始末に入りました。
ですが、人の水溜りを拭くようにとは言っても、
実際には床のおしっこは、時間の経過と共に広範囲に広がって混ざり合い、誰のともつかない状態になっていました。
なのでとにかく皆、目に映るおしっこを持参した雑巾で綺麗に拭いて行きました。
おもらしをしたことでおしっこに対する抵抗が薄れたのか、誰も嫌な顔をすることなく完了しました。

「良し・・・」
川名さんは手ごたえを感じているようでした。

続いてお着替え。

「亜理紗、ズボン下ろすよ・・・」

「うん・・・」
亜理紗は珠樹にお着替えをして貰いました。

下半身が露わになった時、再び中学時代の記憶が蘇って苦しくなりましたが、何とか耐えきりました。
全員が制服に着替え終えると、外川さん提案のおもらし会は無事終了しました。



「男子ー、終わったー?」
1階の男子の居る教室を覗くと、制服姿の3年男子部員5人が、しゃがみ込んでだらけていました。

「え・・・?ああ、遅いじゃねーか、待ちくたびれちゃったぜ」
矢野君が立ち上がると、ズボンのお尻を軽く叩きました。

「それじゃ帰ろう」
続いて、主人公役の星野君も立ち上がります。

「ごめんごめん、女子は人数多いし、なかなか上手く行かない子もいてね・・・。そっちはいつ終わったの?」

「え・・と・・・」

「・・・?」
珠樹の問いに、5人の男子はお互い顔を見合わせてバツが悪そうな顔をしました。

「怪しい・・・」
腰に手を当てて、そう言ったのは川名さんです。

「「!?」」

「お前等、本当にしたんだろーな?床に拭いた後もないし・・・」

「それは、ずいぶん時間が経ったから・・・、なぁ、皆?」
そう答える星野君ですが、明らかに目が泳いでいました。

「そうか・・、なら持って来た服見せろ、ちゃんともらしたなら濡れてるはずだ」
川名さんは左手を突き出して、証拠を見せろと言う仕草をしました。
すると・・・。

「・・・あっ、そうか!?やべっ!!」
星野君が思わず口を滑らしてしまいました。

「おいっ!!星野!!!」
矢野君が慌てますが、時既に遅し・・・。

「もしかして男子、やってないの!?も~~っ、何してるのよ!!」
珠樹は苛立ちました。

「す・・・すみません」
頭を下げて謝る星野君。

「・・・てか、女子スゲーな・・・、マジでやったのかよ」
「やっぱ覗きに行くべきだったな・・・、勿体ね~・・・」

「馬鹿な事言ってる場合か!!なんだよやってねーって!!ふざけるのも大概にしろっ!!」

「「・・・・」」
川名さんが怒り出すと、男子達は何も言えずに下を向きました。

「・・・しょうがない、今からやるぞ」
川名さんは、一つ大きなため息を付いた後言いました。

「え・・?今から!?」

「廊下に出て待ってやるから早く着替えろ。全員もらすまで私が見ててやる・・・」

「ええええ~~~っ!!!」
「み・・見てるって」

「そうでもしないと真面目にやらないだろ」

「軽くいじめじゃね?何で川名が見てる前で・・・」
矢野君が愚痴った直後。

「あ、私も見ててあげるよ、慣れないとおもらしは難しいしね」
野口さんが、川名さんと共に男子の見張りに名乗りを上げました。

すると・・・。

「おおお~~っ!!」
「マジすか良乃ちゃん!!」
「・・・なんか頑張れる気がする」

男子のテンションが一気に上がりました。

「亜理紗ちゃんも居てくれればもっと頑張れるかも、俺」
「うんうん・・・」
「副部長の代わりに是非・・・」

「あ・・・あはは」
調子づく男子に亜理紗は複雑な表情を浮かべました。

「お前等・・・、マジでシバく!!!」
結局、川名さん野口さんに珠樹を加えた3人で男子を見張る事になりました。
残りの女子たちは、その場で解散となりました。



「佐藤さん!!」
解散後、昇降口で亜理紗は佐藤さんに声を掛けました。
どうしても言っておきたい事があったのです。

「亜理紗ちゃん、どうしたの?」

「あのね、その・・・、私、佐藤さんに謝らないといけない事があって・・・」
濡れた服の詰まった鞄を手に亜理紗は言います。
亜理紗の方に体を向けた佐藤さんは「え?何??」っと首を傾げました。

「もともとは佐藤さんがライバル役だったのに、私の我儘で変えちゃったから。
代役に代わった上におもらしの練習までする事になっちゃったし・・・」

「・・・・」

「ごめんなさい」
亜理紗は頭を下げました。

「そんな事気にしてたの、私全然気にしてないから平気だよ」

「え・・・」
亜理紗が顔を上げると佐藤さんは顎に手を当てて続けます。

「ごめん、全然って言うのは嘘、変更になった直後は少しガッカリしたけど・・・。
でも、その方がより舞台が良いものになるって皆で決めた事だから、気持ち切り替えて頑張ろうって思ったんだ」

「でも、佐藤さん・・、おもらしは・・・」

or028c.jpg
「まぁ、おもらしする事になるとは思わなかったけど、それも私に与えられた役割だもん、頑張るよ!!」
佐藤さんは小さくガッツポーズをして見せました。

「亜理紗ちゃんは、私の事なんか気にしないで良いから、しっかりおもらし出来るように頑張ってよね」

「う・・・うん、頑張るよ、おもらし・・・」

「って、私もだけどね、我慢が足りないって良乃ちゃんに怒られちゃった」
佐藤さんは悪戯っぽく舌を出して言いました。

「それじゃあ、一緒に帰ろうか?」

「うん、良いよ」
佐藤さんに誘われて、亜理紗は途中まで一緒に帰りました。

・・・・・・。

「じゃあね亜理紗ちゃん」

「うん、バイバイ」
佐藤さんに手を振って別れた直後、亜理紗はふと思いました。

(私、『おもらし』って・・・、普通に言えてる・・・)

亜理紗の心に少しずつ変化が生まれ始めていました。

続く。
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  1. 2017/04/02(日) 20:54:57|
  2. 長編ストーリー
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overwrite~第3話~

こんばんは、一ヶ月以上間が空いてしまいましたが、
『overwrite~第3話~』をお送りします。
今回は、決して得意では無い我慢描写を頑張りました。
ちょっと長いですが、読んで頂ければ嬉しいです。
今後もこの位のスパン(大体一ヶ月に一度)でやって行こうと思います。
後半分位です。・・・あくまで現段階の構想上は・・・(^^;
次回は、絵中心の短いものを、と考えています。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。

それでは、本編をどうぞ。




前回までのあらすじ。

珠樹が亜理紗におもらしをさせようとしていた理由は、
舞台でおもらしをする事で、過去のおもらしの苦い記憶を上書きする為でした。
それを知った亜理紗は、そんな理由でおもらししたくないと拒否。
次の打ち合わせまでに亜理紗がOKしないと、舞台は別の演目に変更になってしまいます。
期日が迫る中、珠樹は亜理紗を説得しますが、亜理紗の気持ちは変わりません。
そして運命の打ち合わせの日。
焦る珠樹は、3日前の亜理紗との会話を思い出し、ある行動に出たのでした。



「おはよう」
教室に入って亜理紗が挨拶をすると、

「朝野さんおはよう」
「おはー」
「おはようー」
仲の良いクラスメイト達が返事を返しました。
奥の方を見ると既に珠樹も来ていました。
机に向かって、何やらペンを走らせています。

「おはよう珠樹」
珠樹に挨拶をした亜理紗でしたが、

「・・・おはよう」
珠樹は机に目を向けたまま素っ気ない返事を返しただけでした。

「・・・?」
その態度に、亜理紗はアレ?と言う顔をしました。

(てっきり猛烈な勢いで迫って来るかと思ってたんだけど・・・、
なんか拍子抜けね、流石に諦めてくれたのかな・・・?)
それならそれで良かったと思い、
亜理紗は、先程挨拶を交わした仲良しグループの方に向かいました。

「朝野さん、渡辺さんと何かあった?なんか近頃仲悪いよね?」
さっきのやり取りを見て心配した、グループの1人の子が言いました。

「え・・別に、そんな事ないけど・・・」

「嘘バレバレ~、『卒演』絡みっしょ?亜理紗は看板女優なんだから、
ちゃんと珠樹を支えてあげないとだめじゃん」

「あはは・・・、そうっすよねぇ・・」
別の子のダメ出しに、亜理紗は苦笑いを浮かべるしかありませんでした。

(私だってそのつもりだったわよ。
でも、私の人生最大のトラウマである、お・・・、アレを、
舞台上でやれだなんて言われたら・・・、支えようなんて思える訳ないじゃん!!)

「・・・はぁあ!!・・・っ!!」
ギュッ!!!

生徒が続々登校してきて、教室がざわつく朝のHR直前の時間。
机に向かってペンを走らせる一人の少女が、そっと左手で股間を抑えた事に、誰も気が付きませんでした。



1時間目、現国の授業中。

「それじゃあ次、渡辺さん。ここから次の段落まで読んでくれる」

「・・・はい」
先生に指された珠樹は、教科書を手に立ち上がりましたが・・・。

ブルッ!!

「あっ・・んっ」
その時、ほんの一瞬、珠樹は小さくそう呟きながら、
さりげなく机の側面に股間を押し当てるような仕草をしました。

(・・・?)
その後、珠樹は普通に朗読をこなして席に着きましたが。
その様子を見た亜理紗は、何か変だなと思いました。
・・・と言うより、思い当たる事は一つしかありませんでした。

(トイレだよね・・・)

チャイムが鳴り、クラスメイトの数人が席を立って教室から姿を消す中、
亜理紗は珠樹の様子を見ますが、席を立つ素振りを見せません。

(・・・気のせいかしら??)
珠樹の事が気になりつつも、亜理紗は自分の尿意を解消しにトイレに向かいました。



2時間目、世界史の授業中。

「え~、丁度その頃、フランスでは~・・・」
板書をノートに書き写す作業をこなしつつ、亜理紗は、珠樹の様子を確認しました。
珠樹は凄く小さな動きで、時々腰を浮かせたり、太ももをすり合わせたり、
スカートのポケット越しに、手を股間にもって行ったりしていました。
流石にもう疑う余地はありません。

(やっぱり珠樹、おしっこ我慢してる。
でも・・・、だったら何で、さっきの休み時間にトイレに行かなかったの?)
さっきまでは我慢出来ると思ったのかも知れませんが、今は、かなり切羽詰まっているように見えます。
しかも次の授業は2組合同の体育、もし次の休み時間でもトイレに行かなかったら・・・。
下手をすると最悪の結果になる恐れも十分に考えられます。



2時間目終了後。

亜理紗は着替え一式を片手に、席に座る珠樹の元に向かいました。

「珠樹、行くよ」

「え・・!?、うん、ちょっと待って・・・」
珠樹は着替えを持つと席を立って、亜理紗と共に教室を出ました。

体育の授業では、男子は女子の居なくなった教室内で着替えをするのですが、
女子には、ちゃんと更衣室が用意されているので、そこで着替える事になっているのです。
昨日までとの態度の違いや、謎のおしっこ我慢に疑問を感じた亜理紗は、
並んで歩きながら、珠樹に問いかける事にしました。

「昨日まで散々、LINEやらなんやらでヒロインやれやれって五月蠅かったのに、
今日は一体どうしたのよ?期日だったから身構えてたのに、なんか拍子抜けだわ」

「・・・・」

「まぁ、諦めてくれたのなら、それはそれで良いんだけど・・・」

「・・・・っん」
モジモジ・・・・。

そうしている内に、女子トイレの前まできました。
そこで亜理紗は、並んで歩く流れで珠樹と共にトイレに入ろうとしました。

ですが。

「ちょっと、亜理紗、何?!」
ドアを目の前にして珠樹は立ち止まりました。

「何って・・・、さっきから珠樹、トイレ我慢してるでしょ?」
怪訝そうな顔をする亜理紗に、珠樹は、

or011.jpg
「してない、入るなら亜理紗一人で入って」
そう言って、走って先に行ってしまいました。

「ちょっと、珠樹!!!」
亜理紗は慌てて呼びかけますが、もう姿はありませんでした。
でもこれで確信が持てました。

珠樹はわざと、おしっこを我慢し続けていると。
でも、亜理紗は、何で珠樹がそんな事をしているのか分かりませんでした。

(誰かに脅されてるとか?そういう趣向の変態男子に・・・!?)
そんな的外れな事も考えてはみましたが、
タイミング的に、恐らく原因は、自分にある確率が高いと亜理紗は考えました。

(私がヒロインを拒み続けてるから・・・?
でも、それがどうして、トイレに行かずに我慢を続ける事に結び付くの???)
更衣室に入ると、そこに珠樹の姿はありませんでした。
さっさと着替えてグラウンドに行ってしまったみたいです。

(そんな事してたって、最終的に珠樹がお・・、おも・・、ら・・・、
するだけじゃない・・、一体何考えてるのよ、珠樹・・・)



3時間目、体育の授業中。

「あ・・・っ!!・・・くぅっ!!」
授業の中盤に差し掛かると、珠樹の尿意は益々強くなった来たようで、
時折、かなりつらそうな表情をするようになりました。

(ちょっと・・・、本当に、も・・・、しちゃうわよ!!)
亜理紗は気が気ではありませんでした。

授業終盤、

「よーし最後にトラック5週なー、運動部の奴らは6週ー、終わったら終わりでいいぞー」
体育の若い女の先生は、サバサバとした口調で言いました。

「えー」
「何それー!?」
「人種差別反対ーっ!!」
運動部員から不満の声が上がる中、問答無用でランニングがスタートしました。

・・・・・・。

「はぁ・・はぁ・・・」

(クソ・・・、やっぱり現役には敵わないか・・・)
亜理紗は、運動部のキャプテンクラスとほぼ変わらないペースで6週を走り終えました。
演劇部員なので5週で良いのですが、そこは元バレー部キャプテンの意地でしょうか・・・。

殆ど息も切らしてない亜理紗は、未だにトラックをトボトボと走る珠樹を、心配そうに見つめました。
球技はいつも補欠、それどころか、キャッチボールもまともに出来ない程、運動音痴な珠樹。
当然走るのも苦手で、クラスで一番ふくよかな体の子と最下位を争っていました。
おしっこ我慢もしている珠樹は、余計つらそうに見えます。

(やばそうになったら、問答無用でトイレに連れ込むわ)
亜理紗は、トラックから少し離れた位置に立って珠樹を見守りました。
場合によっては、お姫様抱っこも辞さない覚悟は出来ています(笑)

暫くすると、5週を走り終えた直後で、
ぜぇぜぇ息を切らしたある人物が、亜理紗の方に歩み寄って来ました。

「はぁはぁ・・・、キツイ・・・、朝野さん、流石元運動部ね・・・・」
それは、亜理紗と同じ演劇部の2枚看板女優の一人、野口さんでした。
となりのクラスの野口さんとは、体育の授業は一緒になるのです。

「全然よ・・・、相川さんや、沢口さんにはいつも勝てないし・・・」

「そりゃあ・・・、あっちは陸上部と女バスのエースだもん・・・」
無理もないよと野口さんは苦笑いを浮かべました。

「教室戻らないの?」
野口さんの問いに、亜理紗は「うん・・・ちょっとね・・・」と
珠樹に視線を向けたまま曖昧な返事を返しました。

「・・・部長を待ってるの?」
野口さんは、亜理紗が珠樹の事を目で追っている事に直ぐに気が付きました。

「え・・、まぁね」

「友達思いだねぇ~」
言いながら野口さんは、走った事で乱れた髪の毛を両手で整えました。

(・・・丁度いいわ)
亜理紗は珠樹の行動に関する疑問を、野口さんに尋ねてみようと思いました。

「ねぇ、野口さん」

「何?」

「今走ってる珠樹を見てさ、どう思う?」

「え・・・?遅い」
ガクッ!!!
野口さんの返答が余りに的外れで、亜理紗は大げさにコケる仕草をしました。

「あっ上手い上手い!!でもあざとさが前面に出過ぎって言うか、もう少しこう・・」

「今は部活じゃないから、そう言うのいらない・・・」
野口さんの熱血演技指導が始まりそうなので、亜理紗は慌ててそれを止めました。

「ごめんつい・・・」
軽く謝ると野口さんは続けました。

「なら、おしっこ我慢の事?見た感じ、大分切羽詰まってるね。
このままじゃおもらしするかも・・・。もって後、1時間か2時間位?」

「野口さん、もしかして直ぐ気が付いてた!?」
野口さんの鮮やかな返答振りに、亜理紗は驚きました。

「うん、まぁ・・。おもらしについて、少しずつ研究始めたから。割と敏感かも・・」
おもらしについて研究などと言う、一般人が聞いたら、間違いなくドン引きするようなフレーズを、
野口さんは恥ずかしげもなく平然と言い放ちました。

「それって・・・」

「朝野さんに何かあったら、代役は私だもん・・・、不測の事態に備えるのは当然よ」
野口さんの演技に掛ける姿勢は並大抵ではありません。
前回の文化祭での某国の姫君役の時も、
姫君に関する書物、資料を片っ端から読み漁るのは当たり前で、
その他にも、姫君が登場する映画や舞台を何種類も、何百回も繰り返し見て研究し、
終いには実費で、物語の舞台の現地まで赴き、取材を行ったりする程なのです。
演技に関しては一切の妥協を許さない・・・、それが野口さんと言う人です。
演じる役の人の事を、ちょっと図書館で調べるくらいの事しかやらない亜理紗とは、まるで違います。

or012.jpg
「台本貰って帰った日に、とりあえずネットでおもらしの事色々調べて・・・。
次の日は、実際学校で限界までおしっこ我慢してみて・・・。
帰りに寄り道して、おもらしがテーマの本とかDVDとか買って研究して・・・。
あ・・、あと実際にもらしてみないとって思って、真夜中の公園で一度おもらししてみた」

「・・・・」
亜理紗は言葉が出ませんでした。

「昨日は紙オムツ穿いて学校来て、ずっと我慢してたら・・・。
最終的に部活中に我慢できなくて・・・。もらしちゃった・・・、えへっ」
野口さんは、頬を赤く染めて悪戯っぽく舌を出しました。

「嘘でしょ!?全然気が付かなかった・・・」
驚く亜理紗に、野口さんは「それなら良かった」とホッとした顔を浮かべました。

「男子にバレちゃったら、研究とは言え流石に恥ずかしいもん・・・。まぁ、女子でも恥ずかしいけど・・」

「えっとさ、所詮代役でしょ?何でそこまで・・・、私が降りれば別の脚本って、珠樹言ってたし・・・」

「ああ・・、それなんだけど・・・。
私ね、あの台本何度も読んでる内に、朝野さんが降りても、
そのまま私が同じ脚本でヒロインやりたいって思って来ちゃってね」

「そうなんだ・・・」
(自分から進んでお・・、したいだなんて・・・・)

「だから台本を貰った次の日から、ずっと部長と交渉してるの。
部長も私がしつこいもんだから、だいぶ折れて来てる感じ・・」

「そんな事までしてたんだ・・・」

「私がもしヒロインやる事になったら、最高の演技(おもらし)をお客様に見せたいしね、これ位当たり前だよ」

「・・・なるほどね」
いかにも野口さんらしい・・・と、亜理紗は思いました。

「まぁ、あの脚本の本来のヒロインは朝野さんなんだから、朝野さんがやるべきだと、私は思うけどね」
野口さんは亜理紗を流し目で見ながら言いました。

「・・・それはそれとして、珠樹だけどさ」
野口さんの問いには答えずに亜理紗は言いました。

「野口さんが言ったように、おしっこ我慢してるのよ。しかも朝からずっと」

「ふ~ん・・・、忙しかったの?」

「わざとよ」
亜理紗は、野口さんの問いに若干苛立ちを込めて言いました。

「・・・え?何で?って言うより、何でわざとってわかるの?」

「さっきの休み時間に、一緒にトイレに入ろうとしたら、珠樹のやつ
したくないって言って逃げたのよ、2時間目からずっとモジモジしてたのに・・・」

「ふ~ん、変なの~・・」
野口さんはそう言うと、未だに最下位争いを続けながら走る珠樹を見つめました。

「あれじゃない?私と同じで研究の一環で・・・」

「それは違うと思う・・・」
そこまでやるのはあんた位だよ・・・。
と言う言葉を亜理紗は必死で飲み込みました。

「たぶん、私に原因があるんだと思うの。
私がヒロインを拒み続けてるから・・・」

「そうなの????」
野口さんは首を傾げました。

「タイミング的にそうとしか考えられないっ!!」
語気を強めて言う亜理紗ですが。
野口さんは怯む事なく言いました。

「タイミングねぇ・・・。まぁ、仮にそうだとしてだよ、
それと、部長のおしっこ我慢がどう結びつくの?」
亜理紗の話を聞いた野口さんも、行きつく疑問は同じでした。

「それが分からないから悩んでるの、ねぇ、野口さんはどう思う?」
懇願する亜理紗に対し、善人の塊と称される野口さんは、
「仕方無いなぁ・・」と言って、一緒に考えてあげる事にしました。

暫くの間、亜理紗と共に走り続ける珠樹を眺めていた野口さんですが、

「もしかしたらだけど・・」
と、亜理紗の方を向いて問かけました。

「朝野さんは、おもらしをしたくないからヒロイン降りたいんだよね?」

「そうよ」

「どうして、おもらししたくないの?」
野口さんの質問に、亜理紗は、突然額を銃で打ち抜かれたかのような衝撃を受けました。

「そ・・・れは」
亜理紗は物凄く後悔しました。
ちょっと相談に乗って貰おうとしただけなのに、
絶対人に言いたくない事を言わなきゃならない流れになるなんて・・・。

「え・・と、あ・・」

「言いづらい?」

「・・・う・・、まぁ・・その」
亜理紗の慌てた様子を見て、野口さんは何かを悟ったかのような顔をしました。

「じゃあいいよ、分かったから、部長が考えてる事」

「ほ・・・本当?」
亜理紗は、早く教えてと言わんばかりに野口さんに迫りました。

「部長はさ、朝野さんの気持ちを理解しようとしてるんじゃないかなぁ。
・・・で、その為には『おもらし』をしないといけないと思ってる」

「私の気持ちを・・・」

(・・・!!っ)

「分かる?分からないならもっと具体的に言っちゃうけど・・・」

「やめて!!分かったわ、成程・・・そう言う事か」
亜理紗は野口さんの言わんとしている事を理解しました。

「んんっ・・・と」
すると突然、野口さんは、その場で小さく伸びをしました。

「朝野さんの悩みも解消されたみたいだし、私、もう戻るね。
後は部長と朝野さんの問題だから・・・。それじゃあね~」
そう言って野口さんは、亜理紗に背を向けて歩き出しました。

・・・のですが。

「朝野さん、・・・えっとね」
野口さんは直ぐに振り返ると、少し顔を赤くして言いました。

or013.jpg
「私も小2の時にね、おしっこ・・・・、もらした事あるよ。
放課後だったから、あんまりからかわれなかったけどね・・・。
保健室でパンツ借りて、お着替えして、恥ずかしかったなぁ~・・」

「え・・・っと・・・」

「嘘だと思うなら保健の先生に聞いてみて、たぶん覚えてると思うから」
そう言うと今度こそ、校舎の方に消えて行きました。

(野口さんなりの慰めのつもりなのかなぁ。
小2ならまだ良いじゃない、・・・私なんて。
ってか、私の黒歴史を知られてしまった・・・・・。
し・・・死にたい・・・・。
まぁ、善人の塊みたいな人だし、誰にも言わないとは思うけど・・・)
そんな事を考えていると、
ようやく5週を走り終えた珠樹が、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来ました。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
未だに肩で息をしている珠樹。
そんな珠樹に向かって、亜理紗は言いました。

「あんたって本当に馬鹿ね、そんな事したって私は・・・」

「・・・あっ、ひょっとして気が付いちゃった?
野口さん、んぁっ・・っと、何か話してたのは見えたけど・・・。
まぁ・・あんっ・・・、どうせ昼休みには話すつもりでいたから、別に良いけどね」
言いながら珠樹は、ずっと太ももをすり合わせています。
限界は近づいているみたいです。

「早くトイレに行って!!本当にも・・・、しちゃうわよ!!」

「行かない」

「いい加減にしてっ!!!怒るわよ!!!!」
声を荒げる亜理紗、でも珠樹は意に介しません。

「私がおもらしした後で、最後にもう一度、ヒロインをやるかどうか答えて欲しいの。
それでも降りるって言うならきっぱり諦めるから・・・っくぅ」

「勝手に話進めないでよ!!何でそこまでするの!!
意味わかんない!!!あんたがもら・・・所なんて、
見たくもないし、見た所で私の気持ちは変わらないわ!!
だからトイレに行って!!お願いだから・・・」

「行かないよ。
私、亜理紗が何と言おうと、おもらしするから・・・」

「・・・っ」
ブチッ!!
頭に来た亜理紗は、珠樹に接近して手を伸ばしました。

「ちょっ!!」
それを見て慌てた珠樹は、素早く後ろに身を引きました。

「・・・なんのつもり?」

「口で言っても聞かないなら、無理やりトイレに連れて行くまでよ。
あんたみたいな鈍間なチビ、抑え込むのは簡単よ、元バレー部キャプテンを舐めないでくれる?」

「元キャプテン~~??
おもらしして、そのまま行かなくなったような人が、
・・んくっ、よく言うわね・・・」
珠樹は鼻で笑いながら言いました。

「珠樹ぃいいいいーーーっ!!!」
プライドを逆撫でされて、さらに怒りを増した亜理紗は、また珠樹に迫りました。
しかし、珠樹は声をあげて言います

「これ以上近づいたら、私、今ここでもらすからね!!!
もうだいぶヤバいし、ちょっと力を込めれば出るよ、おしっこっ!!」

「・・・っ!!」
亜理紗は動きを止めました。

「もう、亜理紗には私のおもらしを止める事は出来ないのよ。
分かったら、私の言う通りにしてくれる?」
その言葉に、完全にキレた亜理紗は、

「なら勝手にすれば!!!!もう知らないっ!!!!!」
と言って、校舎に向かって走り出しました。

「・・・・・あっ!!」
ギュウ~~~ッ!!!
亜理紗の後姿を、珠樹は両手で股間を必死に抑えながら見つめました。

(やっばいな~私、後どれ位もつかなぁ・・・・。
おもらしかぁ・・・、やっぱ、いざとなると恥ずかしいな・・・。
この歳でやらかしたら、皆ドン引きだろうなぁ・・・)
珠樹はゆっくりと校舎に向かって歩きました。

「はぁっっ!!うぅっ・・」
足を動かす度に、膀胱に溜まったおしっこが出口を求めて暴れ回ります。

「きっつぅ~・・・、でも、亜理紗ちゃんの為だもん」

(珠樹の馬鹿!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿っ!!!!)
更衣室で着替えながら、亜理紗は珠樹の事を考えていました。

(勝手に、も・・、しちゃえば良いのよ!!!
どれだけ惨めで恥ずかしいか、知りもしないで・・・。
大恥かいた後で後悔して泣きついて来たって、知らないからっ)



4時間目、生物の授業中。

「え~、このように地球上には未だに発見されていない未知の生物が無数に存在し~~・・」
先生の熱弁をよそに、亜理紗は珠樹の様子を確認します。

「・・・ふっ、んっ・・、はぁ・・」
そわそわ・・。
そわそわ・・。
平静を装ってはいますが、かなり辛そうです。

(やれるもんならやってみなさいよ・・・。
どーせ途中で怖くなるに決まってるわ・・・)

「・・・んあっ」
ギュッ!!
珠樹は股間を強く握りました。

(まだまだ・・・、もっと、ギリギリまで我慢して、
あの時の亜理紗以上の大おもらしをしないと・・、
きっと亜理紗は納得してくれない・・・)
珠樹はこの時間を何とか乗り切って、昼休みを迎えました。



昼休み。

辛そうに席を立って、廊下に出ようとする珠樹に亜理紗は声を掛けました。

「珠樹、一緒にトイレ行こう。これが私からのラストチャンス・・・」

「・・・・」
珠樹は無言で亜理紗の横を通り過ぎて行きました。

(わからず屋!!本当にどうなっても知らないわよっ!!!)
心の中で叫びつつ、亜理紗は鞄から可愛いお弁当箱を取り出すと、
朝、挨拶を交わした、クラスの仲良しグループと一緒にお昼ご飯を食べる事にしました。

「亜理紗ぁ~、早く仲直りしなよ~」
食事中、今日の2人を様子を眺めていて、心配したグループの子の1人が言いました。

「え・・・?ああ、珠樹の事?もう知らないわよ、あんな奴!!」
苛立ちを抑えきれずに言う亜理紗に、
グループの皆はお互いに目配せをし合いました。
そして、先程話した子が、

「まぁ、私達で相談に乗れることがあれば、遠慮なく言ってよね。
友達なんだからさ・・・」
と言って亜理紗を励ましました。

「・・・ありがとう」
皆にお礼を言ったその直後、ポケットのスマホから着信音が鳴りました。

「・・・?」
画面を確認すると、野口さんからLINEが届いていました。
一応登録はしていたものの、友達と呼べる程親しい間柄ではないので、
これまでやり取りした事は一度もありません。
一瞬何だろうと思った亜理紗ですが、用件は一つしかない事に直ぐに気が付きました。

(珠樹の事かな・・・)
確認すると案の定、このように書き込まれていました。

《部長、もう、おもらししちゃった?》

それを見た亜理紗は、

《してないよ》
と返しました。

それに対して、野口さんは、

《良かった。私、心配してたの》

《でも・・・、さっきの様子じゃ、
5時間目には確実におもらしすると思うよ・・・》


《朝野さんはそれで良いの?》
と返してきました。

《言いわけないでしょ!!
でも、どうすれば良いか分からないもん》

グループの子達が、「どうしたの~?」と声をかけてくる中、亜理紗は書き込みます。

《朝野さんが、本気で部長のおもらしを止めたいと思うなら》

《もう、腹を括るしかないと思うよ・・・》

「・・・・・」
野口さんの書き込みを見ながら、亜理紗はしばらく固まりました。
そうこうしていると、再び野口さんから、

《朝野さんが部長のおもらし止めてくれる事、私、願ってるからね》
っと、可愛らしい『じゃあね』のスタンプと共に書き込みが来ました。
恐らくこれで最後でしょう。

(腹を括るって・・・)
それはつまり、ヒロイン役を引き受けると珠樹に告げると言う事でしょう。
ですが、それで珠樹のおもらしを止める事が出来るかもしれないとしても、
亜理紗にとって、その決断は、とても苦しい事です。

(嫌よ・・・、お・・・、なんて、もう2度としたくない!!絶対嫌っ!!)

その後。
昼休みも残り数分と言う頃に、珠樹は購買部のパンの袋を手に教室に戻って来ました。
相変わらず、もじもじと落ち着かず、辛そうです。

(やっぱり、トイレには行ってないみたいね・・・)
亜理紗は珠樹の様子を見ながら思いました。

「あぁっ!!」
珠樹は自分の机に向かう途中で、一度しゃがみ込みました。
袋でガードしながら、隠れた手で一度、股間をギューーーっと強く握ります。

(やばいやばいやばい・・・、もう限界・・・。
たぶん次の時間で私、やっちゃうわね・・・・。
私のおもらし、しっかり見ててよね、亜理紗・・・)

「渡辺さん大丈夫?」
と心配して声をかけるクラスメイトに、

「ありがとう、大丈夫」
と言うと、珠樹はゆっくり立ち上がって自分の席に着きました。

(さて、もうじきこの辺り一帯をおしっこまみれにしちゃう訳だけど・・・。
その前に、最後の仕上げね・・・)
珠樹は購買部の袋からあるものを取り出しました。
それは・・・。
ペットボトルのお茶、300mlです。

「ゴクゴクゴク・・・・、プハァ~~」
蓋を開けると、珠樹はそのお茶を一気に飲み干しました。
冷たいお茶は一気に珠樹のおなかを圧迫し、
ただでさえ限界に近づいてる尿意を更に強めました。

ゾクゾクゾク・・・・。

(ああ~っ!!もう駄目!!本当にやばい!!
出るっ・・・出ちゃう!!おしっこ・・・、おもらししちゃう!!!)
珠樹は必死に股間を抑えて、おしっこを我慢しました。
最早、取り繕う余裕は無く、その表情は必死そのものです。
周りのクラスメイトも流石に珠樹の異変を感じとってきたのか、
珠樹を横目に、ヒソヒソと会話をする様子があちこちで見て取れました。

(・・・・あの馬鹿!!!)
じっと様子を見ていた亜理紗は慌てました、でも、体は動きませんでした。
野口さんの言う『腹を括る』が、やっぱりどうしても出来ませんでした。
あたふたしている内に、チャイムが鳴って、先生が教室に入って来てしまいました。

(ほ・・本当にする訳ないわよ、ギリギリまで粘って、
さ・・・最後にはトイレに駆け込むわよ・・。
どうせそうよ、う・・うん・・・そうに決まってる・・・)
亜理紗はもう、そう願うしかありませんでした。

「あ・・・、あぅ・・、も・・もれ・・・」
(何か・・・この感覚・・・、・・・しいなぁ)



五時間目、数学の授業中。

「f(x+h)g(x+h)-f(x+h)g(x)+f(x+h)g(x)-f(x)g(x)
=f(x+h){ g(x+h)-g(x) } + { f(x+h)-f(x) } g(x)」
教室には、数式を黒板に記入しながら説明する先生の声が響き渡ります。
しかし亜理紗には、最早先生の声も板書のコツコツ音も耳には入りません。
授業開始から、ずっと珠樹の事を見守り続けました。

(もう限界でしよ珠樹、本当に・・・するつもり!?
早く先生に言いなさい!!お願い・・・早く言って!!!)

授業開始から15分。

「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・ばい、やばい」
珠樹はつぶやくようにそう言って、足をすり合わせ、股間を抑えて最後の限界まで我慢を続けました。

(で・・・るぅ~~・・・・)

授業開始から20分。

「はぁはぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・、
したい・・、おしっ・・したいぃ・・・」
先程から珠樹の呼吸は一気に荒くなってきました。
せわしなく動いていた足も、その動きを鈍くしていきました・・・。
もうあと5分も持たないでしょう・・・・。

(珠樹・・・、もう良いよ、止めてよ!!
お願いだから、先生に言ってよ!!トイレ行きたいって!!
ああもうっ、許可なんていらないから、早く立って駆け込んじゃいなよっ!!!
お願い・・・、お願いだから立ってよ・・・、お願いだからぁ・・・)
亜理紗の目に熱いものがこみ上げて来ました。

(何で・・、何でよ・・・、何で私なんかの為にここまでするのよ!!
分かんない!!全然分かんないよ!!ねえっ!!答えてよ珠樹ぃっ!!!!)
そしてとうとう、目から頬を伝って涙が流れて来ました。

「・・・だめぇ~」
朝、駅前で買って一気飲みした500mlのお茶と、
さっき飲んだ300mlのお茶が、珠樹の体の中で暴れまわっています。
珠樹には最早、それらを抑え込む力は残されてはいませんでした。
そしてとうとう、机の上に突っ伏して、足の動きを完全に止めました。
それまでピッタリ閉じられていた両脚が徐々に開かれていき・・・。

(いやぁ!!!!!)
そんな珠樹の姿を見た亜理紗の脳裏に、自分がおもらしをした時の映像が、
瞬時にフラッシュバックしました。

そして、その次の瞬間。

or014.jpg
「やめてぇええええええええええっ!!!!!!!!!」

立ち上がり、大粒の涙を流しながら叫んでいました。

隣の隣のクラスまで届いてそうな大声に、
珠樹を含めて、教室中の視線が亜理紗に集まりました。

そんな事はお構いなしに、亜理紗は珠樹の席まで歩いて行くと、
とっさの事に動揺して固まっている珠樹を、
即座にお姫様抱っこして抱きかかえると、そのまま廊下に向かって歩きました。
少しずつおもらしが始まっているのか、珠樹を抱きかかえた亜理紗の左腕に、
じわっ・・と、濡れた感触が伝わりました。

「おいっ!!こら待て、お前らどこ行く気だ!!」
先生の問いに亜理紗は

「トイレです!!!!」
と答えると、そのままトイレに駆け込みました。



トイレの個室のドアの前まで着くと、亜理紗は珠樹を下ろしました。

「亜理紗・・・、その・・・」

「話は後!!良いからさっさとおしっこ済ませて!!!!」
溢れる涙を拭いながら、亜理紗は言いました。

「う・・、うん」
亜理紗の鬼気迫る物言いに、珠樹は素直に従い個室に入りました。
その時一瞬、亜理紗は珠樹のスカートのお尻の部分を見てしまいました。
そこにはかなりハッキリと、おもらしの丸い跡が出来ていました。
また、自分の制服の左袖も、かなりびっしょりと濡れてしまっていました。
お姫様抱っこ中に、珠樹はかなりの量のおしっこをおちびりしてしまったみたいです。

「あっ!!」

or015.jpg
シュウウウウウウ~~~~~~~。
パチャパチャパチャパチャパチャパチャ・・・・。

個室に入った直後、
珠樹はパンツを脱ぐ余裕も無く、立ったまま、おしっこをもらしてしまいました。
亜理紗の視界に、タイルとドアの隙間から除く珠樹の足と、
そこにおしっこが流れ込んで黄色い染みが広がる様子、
タイルに直接落ちたおしっこが、
珠樹の足の周りにみるみるうちに広がっていく様子が飛び込んで来ました。

「いやっ!!!」
亜理紗は再び実体験をフラッシュバックしてしまい、慌てて視線をそらしました。

パチャパチャパチャパチャパチャパチャ・・・・。
おちびりもあったと言うのに、珠樹のおもらしは相当な量で、約1分程続きました。

・・・・・。

「・・・ごめん、間に合わなかった」
おもらしを終えた珠樹はドア越しにそう言って謝りました。

「・・・する気満々だった癖に、今更何言ってんのよ」

「それもそうね」
そう言って珠樹は照れ笑いを浮かべました。

「あんたは、お・・、おも・・、がどれだけ恥ずかしいか、まるでわかってない。
あのまま教室でやってたら、皆に・・・、男子にまで見られて大恥かく所だったのよ、分かってる!?」

「わかっ・・・・。
そうだね、分かってなかったかもね」
珠樹はスカートの中に手を入れて、スルスルとパンツを下ろしました。

「・・・んしょ、うわぁ~びっしょり・・・、どうしようコレ・・・」
ポチョン・・・。
手にしたパンツを絞ると、薄黄色のおしっこが滲み出て、便器に落ちて行きました。

「ねぇ亜理紗、ヒロインの事だけど・・・・、
ひょっとして、少しは気持ち・・・変わったり・・・した?」
絞ったパンツをスカートのポケットに入れると、
次にトイレットペーパーを引き出して、大事な所を拭き始めました。

「その前に、一つ答えて」

「・・・何?」

「この前聞きそびれちゃったけどさ、何でここまでして私にまたバレーをさせようとするの?」

「え・・・だって、それは・・・」

「そりゃ・・、確かに私はバレーに未練持ってるよ。
情けない理由で足踏みしてる自分が、今でも不甲斐ないし、泣くほど悔しい。
でもさ・・・珠樹には関係無いじゃん」

(えっ・・!?)

「関係無い・・・、何それ・・・」
珠樹の下半身を拭く手が止まりました。

「珠樹には、脚本家になるって言う夢があるんでしょ!!
私なんかにかまってないで、もっと夢に向かって突き進んでよ!!」

「勝手な事言わないで!!!」
珠樹は手にしたトイレットペーパーをギュッと握り閉めました。

「関係ない・・・、関係ないって何よ・・酷い・・、
酷いよ亜理紗・・・・、亜理紗ちゃん・・・」

「・・・珠樹?」

「私は亜理紗ちゃんの大ファンなのよ!!!
中1の時、亜理紗ちゃんのプレーを初めて見た時からずっと・・、今でもずっと!!!」

「ちょっ・・、ええっ!?」
意外な言葉に、亜理紗は動揺を隠せませんでした。

「中2で同じクラスになれた時は、それだけで、飛び上がるほど嬉しかった。
初めて亜理紗ちゃんに話しかけた時に、私、言ったじゃん、大ファンだって!!」

「・・・・そうだっけ?」

「ウソでしょ!!本当に覚えてないの!?」

「・・・ごめん、ちょっと」
(あの頃は、私もバレーの事で頭が一杯だったし・・・、
ファンだとか言って、身勝手な理由で近づいてくる奴も多かったしなぁ・・・。
私にとっては、珠樹も最初はその中の一人だったのかも・・・・)

「ショック・・・、電車で聞かれた時は、冗談だと思ってたのに・・・」
落ち込んだ珠樹でしたが、何とか気を取り直して、話を続けました。

「チビで鈍間な私にとって、同い年なのにずっと背が高くて、
年上の先輩達をいとも簡単に倒しちゃう亜理紗ちゃんは憧れの存在だったのよ。
だからね・・・友達になれて、本当に嬉しかった・・・。
日本一・・・ううん、世界一のバレー選手なって欲しいって思ったし、
亜理紗ちゃんなら絶対になれるって信じてた・・・」

「どうも・・・」

「そんな、亜理紗ちゃんが、
トラウマ抱えて、ずっとやりたいバレー出来ないでいるのに、
何もしないでいられる訳ないじゃない!!」

「・・・・・」

「それなのに・・・。関係ないって・・・、あんまりだよ」

「・・・・・」

「私は亜理紗ちゃんに戻って来てほしいの。
誰よりもバレーが上手くて、凛々しくて、まぶしい位に輝いてた。
私の憧れの、あの頃の亜理紗ちゃんに!!」

(私はここにいるんだけど・・・?)
亜理紗ちゃんは私の事のはずなのに・・・。
さっきから珠樹の言う亜理紗ちゃんは、まるで別人の事を言っているような感じでした。

「本当は私、あの時から今迄、ずっと我慢してたんだよ。
でも、もう我慢できない、亜理紗ちゃんの活躍を、もう一度見たい」

(亜理紗ちゃん?・・・て??)

「それは亜理紗も同じなんでしょ?
だったらさ、つらいかも知れないけど、頑張ってみようよ、おもらし。
亜理紗ちゃんの為に・・・」
お尻の辺りがびっしょりのスカートを身につけ、
その中に何も穿いていない珠樹が、
そんな事はお構い無しと言わんばかりに、思いの丈をぶつけました。

(・・・そうか)
今の珠樹の言葉で、亜理紗は気が付きました。

(珠樹にとって、『亜理紗ちゃん』は黒歴史以前の、バレー頑張ってた頃の私で、
『亜理紗』はそれ以降の、ただの友達としての私なんだ・・・)
無意識か、意識してかは分かりませんが、
そんな風に区別する程、当時の自分は珠樹にとって特別なんだと、
亜理紗は身に染みて感じました。

「はぁ~~~・・・、もう、分かったわよ、降参っ!!降参よ!!」
亜理紗はため息交じりに言いました。

(ならそうと早く言えば良いじゃない・・・。
こんな事までしちゃってさ・・・。
珠樹・・・、あんたって本当に鈍間で馬鹿ね・・・)
ただのファンならいざ知らず。
ドア越しに、おもらししながら内に秘めた思いを告白したのは、
どん底の自分を救ってくれた大親友、渡辺珠樹です。
そこまで言われて、何もせずに引き下がる事は、亜理紗には出来ませんでした。
親友の為にも、つらいけど立ち向かおうと、亜理紗は決めました。

「え・・・?それって・・・??」

「ヒロインやるわ、お・・・、おもら・・・し、も・・・頑張って・・・する」

or016.jpg
「亜理紗ーーーーーっ!!」

その言葉を聞いた珠樹は、ドアを開け、亜理紗に抱きつきました。
タイルに広がるおしっこから、微かにアンモニア臭が漂う中、
珠樹はしばらく、亜理紗の胸に顔を埋めました。

闇の先には光あり・・・。
亜理紗にとって、珠樹こそが光の頂点にあたる存在なのでした。

「頑張ろうね!!そうすれば必ずもう一度、コートの中に帰れるから・・」

「・・・ただし、一つだけ条件があるわ」
亜理紗は抱き着く珠樹を引き離しながら言いました。

「・・・え?」

・・・・・・・。



その後、2人は大急ぎでトイレを掃除して、おもらしの痕跡を誤魔化しました。
そしてそのまま保健室に行って、
保健の先生に、おもらししたと素直に話し、パンツと予備のスカートを借りました。
珠樹は、そのまま体調不良と言う事にして、放課後まで身を潜めていた方が良いと考え、
教室には亜理紗一人で戻りました。



5時間目が終わり、休み時間になると、案の定クラスメイト達が

『さっきのは何だったの??』
『渡辺さん、どうかしたの?』
『お姫様抱っこ~激萌え~~!!』
『アレも部活動の一環??』
と、とっかえひっかえ亜理紗に質問して来ました。

皆の関心がなくなるまで、適当に誤魔化した亜理紗は、取りあえず、
誰一人、珠樹がおもらしをした事に気が付いてないと分かって、ホッと胸を撫でおろしました。



放課後、1、2年の部員を帰宅させると、
予定通り『卒演』に関する2回目の打ち合わせが行われました。

「それで、前回決まらなかったヒロインの件ですが、
予定通り、亜理紗が引き受けてくれる事になりました」
珠樹の発言に、部員からは歓声が沸き起こりました。

「皆、迷惑かけてごめんなさい・・・。
精一杯やらせてもらいます、どうかよろしくお願いします」
亜理紗が頭を下げると、皆は拍手で賛同の意を示してくれました。

「野口さんは、ヒロインの友人役ですが、
亜理紗に不測の事態が起こった場合は代役を務めて貰います」

「はい」
野口さんは一言、真剣な表情で答えました。

「それと・・・、一つ配役と台本を変更します」

「「???」」
亜理紗と珠樹以外の部員が、不思議そうな顔をしました。

「ヒロインのライバル役ですが、この役を私がやります。
そしてラストの、主人公に告白されて、ヒロインがおもらしするシーンですが・・」

「「・・・・・」」

「横で争いに敗れたライバルも、ショックで同時におもらしをする事に変えます」
その変更に、部員からは歓声ともどよめきとも取れる声が上がりました。

「私、珠樹と一緒に、お・・・、おも、・・らし、したい」
それが、トイレの中で亜理紗が出した条件でした。

ヒロインが決まり。

黄水大附属高等学校演劇部『2016年度、卒業記念公演』は、いよいよ動き出そうとしていました。

続く。
  1. 2017/01/21(土) 14:11:56|
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overwrite~第2話~

こんばんは。

overwrite~第2話~をお送りします。
前回で過去の話は終わり・・・・。
と思いきや、第2話開始2行でまた過去に戻ります・・・。
ああ・・・、この文章構成力の無さよ・・・(× ×)。。。
なんか色々矛盾してないよな・・・とかもかなり怪しいし不安です・・・。
致命的なの以外は、おおめに見てもらえると助かります(^^;
(もし致命的な矛盾点があったらお知らせ下さるとありがたいです)
兎に角、文章も自前絵もなかなか上達しませんが、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
今日は、昼間に、莉穂ちゃんの誕生日記念日記も上げました。
よかったらそっちも見て下さい。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。

次回は、1回overwriteはお休みしまして。
悠奈ちゃんの、この季節にちなんだお話をあげようと思います。
(続きは、正月明けになると思います)

それでは本編をどうぞ。




前回までのあらすじ。

黄水大附属高等学校演劇部で、2月に行われる『卒業記念公演(卒演)』のヒロインに選ばれた朝野亜理紗は、
その打ち合わせの場で、親友の渡辺珠樹が自分に『卒演』でおもらしをさせようとしている事を知ってしまいます。
中学2年の時に失敗して、心に深い傷を負っている亜理紗は、どうしてそんな事をさせるのかと、珠樹に問いかけます。
珠樹は、そんな亜理紗にこう返しました。

「何で、大して興味の無い、演劇部に入ったの!?」

「それは・・・」
元バレー部のキャプテンであった亜理紗、バレーにはもう完全に未練は無いのか・・・。
それとも・・・。



「中学の時は仕方が無いと思ったよ・・・、でも高校では、またバレー始めると思ってたのに・・・」
少し悲しそうな目をしながら言う珠樹・・・。



おもらし後。
保健室登校を続ける亜理紗の元に、
顧問の先生が、バレー部に復帰するよう説得をしに来た事がありました。

「朝野、お前がいないと地区予選突破すら厳しい状況だ・・・。頼む・・・、戻って来てくれ・・・」
必死に訴えかける先生。
ですが亜理紗は、下を向いて言いました。

「・・・ごめんなさい、先生、無理です。」

「お前が心配してるのは例の件だろ?あんなもん気にするな。
それに、俺からもきつく注意してある・・・。何も心配はいらん・・・な?」

(気にするなって・・・?!気にするに決まってるじゃんっ!!!
それに、先生の注意なんて、あの子達には無意味よっ・・・)

「戻りません!!早くどっか行ってください!!」
そう言って、亜理紗は復帰を拒否しました。

その後も、何度か先生は説得に来ましたが、亜理紗は頑なに拒否し続けました。

(私だって、バレーはしたい・・・。でも、あんな風に馬鹿にされるのはもう嫌・・・)
その時の亜理紗は、ある種の対人恐怖症に侵されていました。
生徒の顔を見るだけで、おもらしした事を馬鹿にされるのではないかと考えてしまい、恐怖で体が動かなくなってしまうのです。
なので、唯一の例外であった珠樹を除き、
亜理紗は、中学を卒業するまで、生徒の誰とも接触せずに過ごしました。

そんな状態のまま、亜理紗は黄水大附属高等学校に入学しました。
珠樹とクラスが違ってしまった亜理紗は、やっぱり最初はクラスメイトの顔を見る事が出来ませんでした。
ですが、それが返って功を奏したのか亜理紗は、

(なんの為にここを選んだのよ!!しっかりしろ私!!!)
っと、自分自身に活を入れ、さらに

(ここには私の失敗を知る人は一人もいない・・一人もいない・・・、一人もいない・・・、珠樹は別だけど・・・)
と、呪文のように心の中で唱える事で、対人恐怖症を克服したのでした。
友達・・と呼べるかは微妙でしたが、話しができるクラスメイトも何人か出来て、
亜理紗の高校生活は上々のスタートを切りました。



「私は、前から話してる通り演劇部に入るわよ、その為にこの高校選んだんだし!!」
昼食中、珠樹は亜理紗に向かって生き生きとした口調で話しました。
入学して2週間、そろそろ部活を決めないといけない時期です。

「ここの演劇部は全国的に知名度あるの、
亜理紗にも見せたでしょ、例の動画、・・・ってまぁ違法なんだけどさww
私の脚本が『卒演』で採用されれば、夢の脚本家への道がぐっと近づくわ、きっと・・」

「珠樹は凄いなぁ・・・、中学の時からそこまで将来の事を考えてたなんて・・・」
珠樹と同じじゃないと不安だから。
おもらしを知ってる人がいない場所じゃないと無理だから。
それだけの理由で、高校を選んだ自分とは大違いで、
亜理紗は、珠樹が自分を置いて何処か遠くへ行ってしまいそうな不安に駆られました。

「亜理紗はバレー部入るんでしょ」
珠樹は、さもそれが決定事項のように言いました。
その言葉に、亜理紗は、突然背後から襲われたかのような衝撃を受けました。

「え・・・と、どうしようかなぁ」

「え・・?入らないの?!!保健室では、やりたいけど・・・、って言ってたじゃん!!!」
生き生きと自分の事を語っていた珠樹の顔が、どんどん絶望に満ちた顔になって行きました。

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「やりたいけど、馬鹿にする人がいたから出来なかったんでしょ?もう平気になったんじゃないの?違うの?」
若干取り乱しながら話す珠樹。

(な・・・何、何???何で、珠樹がそんな顔するのよ)

「そうね・・・、でも、その、え・・演劇もなんか良いかなぁ・・なんて・・・」
ドギマギしながらそう言うと、珠樹は間髪入れずに、「何で?」と返しました。

「それは・・・・」
とても情けない理由だったので、亜理紗は言えませんでした。

「亜理紗ちゃ・・、亜理紗はバレーやらないと駄目だよ!!」

「ま・・まぁ、そんなに熱くならないでよ珠樹、自分の事は、自分で決めるから」

「・・・・・」

でも結局、それから数日後の演劇部の部室には、珠樹とそろって入部届を提出する亜理紗の姿がありました。

「バレー部、入らなかったんだね・・・」
そう呟く珠樹の表情は、凄く寂しそうでした。

でもそれも、その日1日だけの事でした。
珠樹は、それ以降、亜理紗に言及する事はありませんでした。

今日まで、ずっと・・・。



「バレーに未練がないって言うなら別に良いよ。
でも、違うよね?
この前も全日本の試合結果気にしてたし・・・」

「私、野球の結果も気にしてるけど・・・・、バスケのBリーグも・・・」

「屁理屈言わないでよ・・・」
しょうもない反論をする亜理紗に、珠樹は大きなため息をつきました。
そして右手を腰に当てて強めの口調で言いました。

「じゃあこの場でハッキリ言ってよ、バレーボールには一切興味はない、未練も無いって・・・」

「え・・・っ」

「言えたら私、もう何も言わないわ。
『卒演』のヒロインも降りて良いよ」

「・・・・・」
『卒演』のヒロインを降りれば、『おもらし』しないで済む・・・。
でも、亜理紗は言えませんでした。
やりたくても出来ないだけで、今でもバレーは大好きなのです。

「言えないのね」

「た・・・珠樹の役に立ちたかったの、バレーはそりゃ好きだけど、
ブランク開いちゃったしさ、だからいっそ新しい事やろうと思って。
それで演劇部に」

「そんなの自分に対する言い訳でしょ!
さっきも言ったけど、あんたがバレー部に入らなかったのは、
中学のおもらしのトラウマを引きずったままだからよ」

「違」

「違わない!!」
亜理紗に反論の隙を与える事無く珠樹は続けます。

「亜理紗は、おもらしを馬鹿にされるのが相当嫌だったもんね・・・。
バレー部に入ったら、対外試合とかで、おな中の人と接触するかも知れない、
そこから話が伝わって、また馬鹿にされるかも知れないとか考えたんでしょ?」

「・・・・」
図星でした。
果たしておな中の人と対外試合でぶつかったりする事が、そんなに頻繁に起こり得るのか。
また、仮におもらしした事が発覚したとして、遥か昔(と言っても数年ですが)の、
しかも、話で聞いただけのおもらし事件について、
高校生が馬鹿にしたりするのかと聞かれれば、だいぶ疑問が残ります。
でも、ネガティブ思考と言うものは、本人が気にしていれば気にしている程、
深い深い疑心暗鬼の闇に陥ってしまうものなのです。(経験談(笑))

「私の役に立ちたいって言うのが本当なら、別におもらしを躊躇しないよね。
それを嫌がってる事自体が、トラウマを引きずってる何よりの証拠よ」
ミステリードラマで、犯人を追い詰めたような口ぶりで、珠樹は言いました。

本音をズバリ言われてしまった亜理紗は、一度大きく息を吐きだすと話し始めました。

「そうよ、全部珠樹の言う通り・・・・。
未だに私は、あの時の事を馬鹿にされるのが怖くてビクビクしてるの。
だから、入りたかったけど、バレー部には入れなかった・・・。
情けないわよね・・・、自分でもそう思うけど、どうしようもないのよ・・・」
続きを話そうとすると、目に涙が溜まって来ました・・。

「トイレに行くと・・今でもあの時の事が頭をよぎって・・・、スンッ・・、
は・恥ずかしくて・・な・・、泣き・・そ・・、なる・・グス・・し・・・。
夢も・・、エグ・・・、グス・・、見・・・る・・し・・、ヒック・・ヒック。
な・・何で・・、グスッ・・・、あんな・・、あの・・と・・・き・・、
ちゃんと・・、トイレに・・行って・・・グス・・・おけ・・・ば・・・・・」

「あ・・・亜理紗、ちょっと・・・」

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「ふぇぇえええ~~~・・・・」
話の途中で亜理紗は、とうとう泣き出してしまいました。

「や・・やめてよ、私が泣かせたみたいじゃん・・・もう!!こっち来てっ!!」
珠樹は、泣きじゃくる亜理紗の手を取ると、グラウンドの流し台まで引っ張って行きました。
そこで珠樹は顔を洗うように亜理紗に促しました。

・・・・・・・・。

「ふぅ~~~、・・・ってか冷たっ!」
晩秋の冷たい水を顔に浴びて、亜理紗は落ち着きを取り戻しました。

「はいコレっ、少しは落ち着いた?」
そんな亜理紗に、珠樹はハンカチを手渡しました。

「ありがとう」
亜理紗は、珠樹から受け取ったハンカチで顔を拭うと続けて言いました。

「どう?わかったでしょ?私のトラウマっぷりが・・・」

「あ・・うん・・・。まさか泣く程とは思わなかった」

「思い出しただけでもこんななのに、
舞台でお・・・、おも・・、なんて、幾ら珠樹の頼みでも、悪いけど無理よ」
そう言って亜理紗はハンカチを珠樹に返しました。

「違うわ亜理紗、こんなだからこそ、やらないと駄目なのよ」
ハンカチをバックにしまいつつ、珠樹は言いました。

「はぁ?意味わかんない、って言うか、最初に戻るけど、
どうして私に、お・・・、も・・・をさせようとしてるのよ?
私のトラウマと『卒演』のおも・・・、がどう関係するの?」
亜理紗の問いに、ゆっくりと珠樹は話し始めました。

「亜理紗が演劇部に入部した時、私思ったの、
亜理紗は、まだおもらしのトラウマを引きずってるって・・・。
それで、どうすればトラウマを克服する事が出来るのかって考えて・・・」

「それが『卒演』でお・・・、する事だって言うの!?」
訝し気な表情でそう言った亜理紗に、珠樹は即「そうよ」っと返しました。

「スポーツの世界でも良く有るじゃない、誰かに負けた嫌な記憶を、
もう一度同じ相手にリベンジして打ち負かす事で、その記憶を上書きする、みたいな・・・」

「・・・・・・・はぁっ?」
亜理紗は珠樹の言わんとしている事がわかってきました。

「つまりね。中学時代の苦いおもらしの記憶を、『卒演』でおもらしする事で上書きするの」
それが、亜理紗におもらしをさせようとしている一番の理由でした。

「ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!」
馬鹿馬鹿し過ぎる珠樹の言葉に、亜理紗は少しイラッとして言いました。

すると、

「そんなのやってみないと分からないじゃん!!」
っと、珠樹は真剣な表情で言い返しました。

(ッ!!!何マジな顔してんのよっ!!!)

「分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!」
頭に来た亜理紗は、怒りを込めて大声で言い放ちました。

「ち・・違う、馬鹿になんてしてない、私は真面目に・・・」
珠樹は驚いて、ちょっと涙目になって言いました。

「・・・・はぁ」
その表情を見て、言い過ぎたと感じた亜理紗は、一呼吸置くと、続けて言いました。

「ごめん、ちょっと言い過ぎた・・・。
けど・・、悪いけどやっぱりヒロインは降りるわ。
私の事、色々考えてくれてたのは嬉しいけど・・・。
そんな、なんの根拠もない実験みたいな理由で、
また、お・・・、したく無い・・・。
本当に、今でもつらいんだ・・・、ごめんね、珠樹」
亜理紗はそう言うと、珠樹の横を通り過ぎて行きました。

「ちょっと待ってよ亜理紗!!
昔のトラウマ蒸し返すような事をして悪いって思ってるよ。
でも、私には、これ位しか思いつかなかったの・・・、無理やり復帰させるのは違うと思ったし・・・」
珠樹は亜理紗の背に向けて言いますが、亜理紗は振り向きませんでした。

「次の打ち合わせまでに、亜理紗がOKしないと、
野口さん主演の別の脚本で行く事になる・・・。
トラウマを克服する機会を失って良いの!?、ねぇっ!!」

「ごめん珠樹・・・」
そう言うと亜理紗は駆けだしました。
直ぐに、珠樹の姿は見えなくなりました。

・・・・・。

「はぁ・・、はぁ・・・」
亜理紗は駅までの約1.5kmを走り向けました。
電車に乗り込むと、暇つぶしにスマホゲーをしながら、珠樹の事を考えました。

(珠樹、入部した時に・・・とか言ってたな・・・。
それって、その時からさっき言ってた事を考えてたって事??2年以上も前から・・・・)
亜理紗の脳裏に、珠樹と過ごしたこれまでの部活動の記憶が蘇って来ました。
努力に努力を重ねて、部長に登りつめ『卒演』の脚本を手掛けるまでになった珠樹・・・。

(今迄の努力は、私にトラウマを克服させる為だったの・・・・??全てがその為だけだとは、流石に思えないけど・・・、でも・・)
自宅の最寄り駅に着くと、亜理紗は電車を降りました。

(私なんかの為に、何でそこまでするの??・・・珠樹)



(はぁ~~、まぁ、そう簡単に納得してくれるとは思って無かったけど・・・)
亜理紗に遅れる事、数分。
珠樹は、駅までの道を一人、黙々と歩いていました。


「早く戻って来てよ。亜理紗ちゃん」




「はぁ・・、はぁ・・」
(お・・・おしっこ・・・、おしっこ・・したい)

「あ・・、ああっ!!はぁ・・」
(え・・、もうすぐ出番!?ど・・どうしよう、おしっこ・・もれ・・ちゃ」

「はっはっ・・、はぁあああっ!!ああっ!!」
(あ・・う・・、手・・離さないと、指揮できない・・でも・・でも・・・)

「あああっ!!や・・・てぇ・・やっ・・やっ・・!!」
(あっ・・手が・・勝手に・・駄目!!手を離したら・・・おしっこ出・・・)

「あっ・・・、あっ・・・、あっ・・・」
(シャアアアアアアア~~~~~~~・・・・パシャパシャパシャパシャ・・・・)

「あっ!!うぅ!!いやぁ・・・、見・・・で・・」
(止まって!!止まってぇ!!嫌ぁ!!見ないでぇ!!!)


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ガバッ!!!

翌日の朝。

「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・」
亜理紗はベットから、勢いよく体を起こしました。
体中から冷や汗をかいて、動悸が激しいです。

「もう・・、またあの時の夢・・・・」
亜理紗は、今でもあの日の事を夢に見ては、うなされていました。

「って事は・・・」





「お母さん・・・、その・・・、やって・・・しまいました・・・」
亜理紗は朝食の準備をしているお母さんにそう告げました。

そうです。

亜理紗は、高校3年生にもなって、おねしょをしてしまったのです。
お尻も背中もびしょびしょのパジャマを着て、亜理紗はお母さんの前に立ちました。

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「えっ・・・また!?この前しちゃったばっかりじゃない??」
お母さんは驚いて言いました。

「・・・見ちゃったんだもん、仕方無いじゃない」

「全くもう、早くシャワー浴びて来なさい・・・、
あ・・・、パジャマは水洗いしてから洗濯機に入れるのよ!!」

「分かってるわよ・・・」
亜理紗は、お風呂へ直行しました。

バシャッ、ゴシゴシッ、ゴシゴシッ・・・・
(もう!!珠樹のせいで、この前見たばっかだったのに、また見ちゃったじゃない!!)
昨日の事を思い出して、亜理紗は、
お風呂でパジャマとパンツを洗いながら、珠樹に悪態をつきました。
別に亜理紗のおねしょは、常習と言う訳ではありません。
あの日の事を夢に見た時だけ、夢の中のおもらしと同時に、
現実でも布団の上に世界地図を描いてしまうのです。
あの日の夢を見るのは、大体一ヶ月に1回程。
今月は先週見たばかりだったので、お母さんが驚くのも無理はありません。

「行って来ます」
その後、準備を整えた亜理紗は家を出ました。
ベランダに目をやると、僅かに見える布団の影・・・。
いくら布団を干す場所が、人目に付かない場所にあるとは言え、
自ら描き上げた世界地図付きの布団が、
外に堂々と干されていると思うと、恥ずかしくて堪りませんでした。



駅に着くと、いつも通り珠樹と会いました。

「おはよう亜理紗」

「・・・おはよう」
挨拶を交わすと、それきり会話は途絶えました。
昨日までは、他愛の無いおしゃべりで盛り上がれてたのに、
お互いに、何を話せば良いか分からず、ただ黙る事しか出来ませんでした。
電車の乗車位置に着くと、
間が持たなくなった亜理紗は、スマホを取り出してゲームを始めました。

「・・・・」
珠樹は、そんな亜理紗の姿をただじっと見つめていました。

そうこうしている内に、電車がやって来ました。
電車に乗り込んでも、亜理紗はそのままゲームをし続けました。
暫くして、珠樹はそんな亜理紗に向かって、意を決して話しかけました。

「亜理紗、昨日の事なんだけど・・・、考えてくれた?」

「・・・・・」
亜理紗は無視して、ゲームを続けました。

「ねぇ・・、聞いてる?」

「今良いとこなのよ、ちょっと待ー」

「そんなゲームなんかより大事な話をしてるのっ!!!」
大きな声を出す珠樹に、周りの乗客が一斉に目を向けました。

「ちょ・・、周りの迷惑考えなよ」
亜理紗は、慌ててスマホをしまうと、周りの人にすみませんのジェスチャーをしました。

「昨日答えたでしょ。降りるって」
亜理紗はきっぱりとそう言いました。

「今のままだと、大学行ってもバレー出来ないままだよ。
亜理紗はそれで良いの?本当に良いの?」

(バレー、バレーって・・、何なの全く・・・)
珠樹が望んでいるのは、トラウマの克服と言うより、寧ろバレー復帰の方。
そう感じ取った亜理紗は、珠樹にこう言いました。

「あのさ珠樹、私の事心配してくれるのは嬉しいんだけど。
何でそこまでして、私をバレーに復帰させようとするの?」

「え・・・っ!!」
聞かれた珠樹は、虚を突かれたかのようにハッとして、

「だって・・・、それは・・・・、」
直後、顔をほんのり赤くしました。

「・・・・覚えてないの?私は、亜理紗ちゃんー・・・」

「????」

プシュウウウウウ・・・・
っと、そこで扉の開く音がしました。
会話に夢中で気が付きませんでしたが、よく見ると、もう降りる駅についていました。

「わ・・降りないと!!!」
2人して慌てて電車から降りると、込み合う駅構内の影響で、お互いを見失ってしまいました。
そして結局、2人はそのまま教室まで再会する事はありませんでした。

(珠樹、一体何て言おうとしたんだろう・・・?)
授業を受けながら、亜理紗は珠樹が最後に何を言おうとしていたのかをずっと考えていました。
同じクラスなんだから直接聞けば良いだけの話なのですが、
教室で会った後は、またお互い何となく、話しかけ辛くなってしまったのです。

(亜理紗ちゃん・・・???)

その日、亜理紗と珠樹が会話をする事は、もうありませんでした。



放課後。

この日の部活は、発声練習や、後輩への演技指導等が行われました。

「朝野先輩ーっ!!『卒演』のヒロイン役!!凄く楽しみにしてます!!頑張って下さい!!!」
演技指導中、後輩の女子生徒が亜理紗に話しかけて来ました。

「私もです!!先輩なら、どんな役でも絵になりますからね~。この前の文化祭の時も最高だったし~」
そこに、直ぐにもう一人、後輩が便乗して来ました。

実は亜理紗は、持ち前のルックスと、バレーで鍛え抜かれた美脚とスタイルで、
校内で相当モテる(男女問わずw)存在だったりします。
演劇部内外では、二枚看板女優の一人として『美の朝野』と呼ばれており、
もう一人の『技(演技)の野口』とは、人気を2分する存在だったりするのです。
まぁ、周りが騒いでるだけで、
当の本人たちは、自分の事も相手の事も、別に何とも思っていないのですが・・・。
(新聞部は、勝手にライバル関係と決めつけて、面白可笑しく記事にしていますけど・・)

「ありがとう。でも私、ヒロイン降りるから・・・」
その言葉に、後輩たちは酷いショックを受けました。

「えええええ!!!!!なななんあななんでですかぁぁぁ!!!!」

「駄目です駄目です駄目です絶対に駄目ですそんな事!!!」
凄い形相で亜理紗に迫る2人。

「野口先輩に何か言われたんですか!!そうなんですね!!」

「待って紗季ちん、あの善人の塊のような野口先輩に限って、それはまずあり得ないわ」

「そうか・・・、じゃあ一体誰が、・・・そうか!!!」

「そうだよ紗季ちん、犯人は・・・」

「そう・・犯人は・・・・」

「あの・・君たち・・・・」
勝手に盛り上がる後輩2人に、亜理紗は戸惑いました。


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「部長ですね!!部長に何か言われたんですねっ!?」

(当たり(苦笑)・・・ってか、別に犯人とかじゃないから!!!)

「先輩、私達で部長に文句言って来てあげますよ?」
そう提案する後輩達に亜理紗は言いました。

「心配してくれてありがとう、でも別に珠樹は関係ないから、自分自信の問題なの」

「・・・・・」

「明後日の打ち合わせで、どうなるかは分からないけど・・、あんまり騒いだりしないで、お願い」
亜理紗がそう言うと、しぶしぶ後輩達は頷きました。

「分かりました・・・、でも先輩。私達、信じてますから・・・」



翌日。

亜理紗はわざと時間をずらして家を出ました。
珠樹と顔を合わせる機会を少しでも減らす為です。

(このまま明日の打ち合わせまで逃げ切れば、それで終わりよ。
何でそんなに、私をバレーに復帰させたいのかは分からないけど・・・。
たとえ演技でも、もう2度と、あんなみっともない事、したくない・・・)
狙い通り、駅には珠樹の姿はありませんでした。
電車に乗り込むと、スマホを取り出してゲームを始めました。

(珠樹には分からないんだよ・・・、お・・おもら・・が、
どんなに、みっともなくて・・・、情けなくて・・・、恥ずかしくて・・・)

(そして・・・・)

(死にたくなる程、絶望的な気持ちになるって事が・・・・)
そんな事を思ってゲームをしていると、直後、ゲームオーバー画面が表示されました。
それを見ながら、亜理紗は、スマホを持つ手に力を込めました。

「チッ!!課金しないともう先に進めねーじゃん!!このクソゲー・・・」

その日は亜理紗と珠樹が会話をする事はありませんでした。



そして、運命の打ち合わせの日。

(どうすれば良いんだろう、どうすれば亜理紗を説得できるんだろう・・・)
駅までの道を歩きながら、珠樹は正直焦っていました。

(昨日も結局話せなかったし・・・、LINEは既読スルーだし・・・)

「このままじゃ、亜理紗ちゃんが・・・・」
そんな珠樹にふと、あるものが襲って来ました。
まだほんの僅かではありますが、それは、『尿意』。

(トイレ行ってから家出たのに・・・、まぁ・・大分冷えるもんね・・・、
駅着いたら、取りあえずトイレに・・・)

「!!!!」
その時、珠樹の頭の中に、3日前の亜理紗との会話が浮かんで来ました。


『ば・・・、ばっかじゃないの!!何が『上書き』よ!!!
セーブデータじゃあるまいし。そんなんで克服できるわけ無いでしょ!!!』

『そんなのやってみないと分からないじゃん!!』

『分かるわよ!!人前でお・・・、おも・・、
した事ないあんたにはわからないと思うけどね!!!
そんな簡単な問題じゃないのよっ!!あんたまで私の事馬鹿にする気なのっ!!!』


「そうか・・・、そうだよね」
珠樹は、ある決心をしました。

そして・・・・・。

「ゴクゴクゴクゴク・・・・」

続く。
  1. 2016/12/18(日) 20:30:00|
  2. 長編ストーリー
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overwrite~第1話~

こんばんは。
2016年も、あっという間に後一ヶ月を切りました。
今年最後の締め括りとして、最後は長編ストーリーをお届けします。
この前のアンケートで、長編を望む声の方が多かったので、
分量を気にせずに、ビシバシと色々と盛り込んで行こうと思います。
今回は、RINさんのコメントを大いに参考にさせてもらっています。(・・・今回に限った事では無いですが)
今年一年の集大成として、良い作品にしたいと思いますので宜しければ暫くの間お付き合いください。
全3~5話位の予定。
大抵最終的に頭の中の構想の1.5倍位にはなるので・・・、まぁ5話で終わらすのを目標に(^^;

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。



11月も半ばに差し掛かった、ある日夕暮れ時。
ここ、黄水大附属高等学校演劇部の部室では、2月に行われる『卒業記念公演』の打ち合わせが行われていました。
この高校に通う生徒は、ほぼ全員、卒業後、附属の黄水大学にエレべーター方式で進学します。
受験勉強に追われる事が無いこの学校では、
演劇部の3年生は、卒業間近の2月に最後の公演を行う事が、毎年恒例の行事となっているのです。

「まだ不完全ではあるけど、これが今年度の『卒演』の台本よ、目を通して見て・・」
そう言って、部長の渡辺珠樹(たまき)は、
1、2年生の部員が帰った後の部室に残った3年の部員に、自ら書いた台本(β版)を手渡しました。

既にヒロイン役に決定していた、朝野亜理紗(ありさ)は、
珠樹から受け取った台本を、早速、食い入るように読み始めました。
自分の役回りはどんなものか・・・、動きは、セリフは???
一心不乱に内容を理解しようと努めました。
実は、亜理紗がそれ程まで真剣になるのには、一つ、大きな理由があるのです。

(最後の方まで来たけど・・・、何の変哲もない、フツーの恋愛劇よね、コレ???)
内容を要約すると、主人公の男が、2人の女の子の恋心に思い悩み、最後にヒロインを選ぶと言うもの。
たったそれだけでした・・・。

(珠樹ってば、最後の最後でこんなつまらない劇をやりたかったの・・・??)
珠樹と亜理紗は中学時代からの親友です。
亜理紗は、珠樹が「将来は構成作家か脚本家になるのが夢です」と言っているのを常々聞いて来ました。
そして実際、口先だけでは無く、
これまで沢山の素晴らしい台本を書き上げて、先輩達を唸らせて来ました。

(『卒演』でしょっ!!こんなので良いの!?)
その実力が認められて、部長に選ばれた経緯を、亜理紗は間近で見て来ているだけに、
この(言っては悪いけど)余りに稚拙な内容には少し愕然としました。
それは亜理紗だけでは無かったらしく、台本に目を通している全員が、
酷くがっかりした顔をしているのがありありと見て取れました。

(まぁ・・私としては助かるけどさ・・・)
亜理紗がそう思ったその時、不満そうな顔をした男子部員が珠樹に言いました。

「部長・・、言っちゃ悪いけどこの内容じゃ・・・」

「うん・・・、客も喜ばないし、俺達もやる気起きないと言うか・・・」
一人が言い出すと、大半の部員が不満をぶちまけ始めました。
珠樹は両手を突き出してそれを制すと、話し始めました。

「ちゃんと最後まで目を通してから言って・・・、それと初めに言ったでしょ・・。
まだ不完全だって、コレは最低限の流れと最後の見せ場だけ取りあえず書き出しただけよ」

「最後の・・見せ場・・・??」
不安になった亜理紗が、まだ見ていない最後の最後のページを見ると・・・・。
そこには衝撃的な内容が記されていました。

「おおーー!!」
「これは・・・・!!」
「流石部長!!」
「新しいですねー!!」
「やっぱ『卒演』はこうでなくちゃ!!」
亜理紗と同じく、最後のページを見た部員からは、感嘆の声が次々と上がりました。

でも亜理紗はと言うと・・・、
顔を真っ赤にして怒りを堪えていました。
そして、珠樹に目を向けて言いました。

「何よっ!!最後に書いてあるコレは!!」

「何って、『卒演』なのよ?別に驚く事じゃ無いでしょ?」
珠樹は何をそんなに怒っているのかと言わんばかりに返しました。

黄水大附属高等学校演劇部の『卒業記念公演(略して卒演)』には、
伝統とも言うべき、あるお約束が存在していました。
それは、見ている観客が引くような、どぎつい演出を劇の中に最低1つ入れると言うものです。
勿論、亜理紗は、その事を承知の上で、ヒロイン役を引き受けました。
ヒロイン役を推薦してくれたのが、今、目の前で対峙している、
親友であり、恩人でもある珠樹だったからです。
珠樹の為なら、ちょっと位嫌な事でも我慢しようと言う気持ちでした。
ですが、最後に書いてる内容については、話が別です。

「こんな事出来る訳ないでしょ!!主人公の告白に、
感情の高ぶりが頂点に達したヒロインが、・・・お・・・思わ・・ず・・・」
亜理紗は一旦そこで言葉を切りました。
亜理紗にとって、その後に続く言葉を発するのは、かなり精神的な苦痛が伴う事なのです。

「お・・・お・・・・」
ドクン・・、ドクン・・・、

「お・・・おもら・・・・し・・・、をしてしまう・・・なんて・・・」
亜理紗は、冷や汗を滲ませながらなんとか言いました。

「ほ・・本気で言ってるの・・・、ってか本当にするの・・・?舞台上で!?」

「当たり前でしょ、『卒演』なんだから。それに、演技としてするだけよ、別に恥ずかしがること無いわ」
珠樹のその言葉に、

「そうそう」
「去年までとは違ったインパクトあるし」
「誰もガチでやったなんて思わないよ」
「伝統の『卒演』に、新たな伝説を作ろうぜ!!」
「今年もネットで話題騒然間違いなし!!」
と他の部員たちも続きました。

黄水大附属高等学校演劇部の『卒業記念公演』は、
そのお約束の過激さから、昔から地元では注目されてきました。
ですが近年、何処の誰の仕業か分かりませんが、公演中の動画が、動画サイトに上げられてしまい、
それを皮切りに、注目度が飛躍的に上昇してしまったのです。
今では『今年はどんな演出が来るのか!?』『今年も凄かった』等、
毎年ネット上で騒がれる程、全国的に注目されています。
公演の当日券が売られていたのは、もう昔の話。
今年度の一般チケットは、昨年度に続いて、既に予約だけで完売していました。

(何よ皆してっ!!他人事だと思って・・・)
見に来てくれる人や、これまで伝統を保って来たOB・OGの先輩たちの期待を裏切るわけには行かない。
亜理紗もその辺の事は重々承知しています。
他の過激な事なら幾らでもやるつもりでいた亜理紗でしたが。

『おもらし』

これだけは、とても承諾できるものではありませんでした。

「珠樹・・・、悪いけど、この内容なら私はヒロインを降りるわ」

「えっ!!」
「ちょっ!!」
「何でっ!!」
亜理紗の言葉に、部員たちは驚きの声を上げました。

(・・・はぁ)
でも、珠樹だけは表情を変えずに、じっと亜理紗を見つめていました。

「去年までに比べれば可愛いもんじゃん」
「おもらしって、漫画のテーマになったりして、今、結構注目されてるんだよ!!」
「今更降りるとかなしでしょ!!」
「その選択は超勿体ないよ、朝野さん」
部員たちは、何で?どうして?と言わんばかりに、亜理紗に迫りますが、全部無視しました。

「とにかく、私、降りるから・・・」
そう言って、帰り支度を始める亜理紗に、珠樹がようやく口を開きました。

「まぁ、そんなに怒らないでよ亜理紗。まだ時間はあるし、もう少し考えてみてくれない」

「考える必要ないわ。野口さん、代わりにやりなよ」
亜理紗は自分の代わりに、演劇部で最も演技が上手いと評判の野口さんを推薦しました。
野口さんは人が良いので、亜理紗がヒロインに決まった時も、特にこれと言った批判をしませんでした。
でも心の底では、きっと今でも、一番演技力のある自分こそが、ヒロインに相応しいと思っているハズです。

「え・・・、良いの!?伝統ある『卒演』のヒロインを、私なんかがぁ~~っ!!!」
亜理紗の予想通り、案の定、野口さんは一瞬驚きましたが、直ぐに顔が緩んで、満更でも無いと言う顔をしました。

「悪いけどそれ無理。このお話は、亜理紗がヒロインをやる事を前提に書いてるものだから」
珠樹のその言葉に、亜理紗はショックを受けました。

(何よそれ・・、つまりおもらしは、演出としてするんじゃなくて、私にさせる為にするって事じゃないっ!!)
そして珠樹に対して、怒りが込みあげて来ました。

(酷い珠樹・・、中学時代の私の事、知ってるくせに・・・)

「・・・帰るわ」
亜理紗はそう言うと、足早に部室を後にしました。

(・・・亜理紗)
亜理紗の居なくなった部室で、珠樹は深くため息をつきました。

(いきなり過ぎたかな・・・、でもこれも亜理紗の為・・・)

その後、次のミーティングまでに、ヒロイン問題をハッキリさせると決めて、この日は解散となりました。



それから数分後、
珠樹が一人で下駄箱までやってくると、そこで亜理紗に会いました。

「帰ったんじゃなかったの?」
そっけなく話す珠樹に、亜理紗は語気を強めて言いました。

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「どういうつもり・・・?」
頭に血が昇って、一度は帰ろうとした亜理紗でしたが。
下駄箱に辿りついた頃になると、少し落ち着きを取り戻していました。
そして、珠樹が、何のつもりで自分におもらしをさせようとしているのか、その理由を知りたくなったのです。
同じクラスなので、明日でも良いと言えば良いのですが、
直ぐに珠樹から話を聞きたいと思った亜理紗は、下駄箱の前で珠樹が来るのを待っていました。

「珠樹は知ってるでしょ!!私の事・・・!!なのに何で・・・」
問い詰められた珠樹は、下駄箱から取り出した革靴を床に置きつつ言いました。

「亜理紗がそういう考えだからよ・・・」

「・・・は?」
亜理紗には、珠樹が何を言おうとしているのかが、良く分かりませんでした。

「亜理紗、あなたは今だに中学時代のトラウマを引きずったまま、あそこで時間が止まってしまっている・・・」
そう言われた亜理紗は、胸に針を刺されるような痛みを感じました。
ですが、そんな痛みに耐えながら反論しました。

「そ・・・そんな事無いわよ、そりゃ、あの時は死にたいって思った事もあったけど。
高校入ってからは、あの時の事は忘れて、毎日明るく楽しく・・・」

「嘘よ、だったら何で・・・。何で大して興味の無い、演劇部に入ったの!?」
こんな今更の時期に今更な質問を、珠樹は凄く真剣な目つきで言いました。

「それは・・・」
もう殆どの人が、亜理紗の事情についてはお察しだと思いますが(笑)、ここで、お話します。

亜理紗は小学校低学年のころから、ずっとバレーボールをやっていました。
本人の努力に加えて、圧倒的な才能を秘めていた事もあり、
中学に上がる頃には、バレー界では期待の子として注目されていました。
中学レベルでは、並び立つ子は他にいなく、
1年の夏の大会の時点で、既にエースとして活躍していました。
2年の秋には当然キャプテンとなり、その実力でバレー部を引っ張って行きました。
っと、そこまではとても順風満帆な中学生活を送っていた亜理紗ですが、
その年の晩秋に悲劇が起こったのです・・・。



それは11月に行われた、合唱コンクールの時の事でした。
指揮者に選ばれていた亜理紗は、次が自分たちのクラスの番と言う時に、必死にあるものと戦っていました。

勿論、それは『尿意』。

その日は、登校直後に1度トイレに行ったきりだった亜理紗は、
緊張と冷え込みにより、おしっこを相当溜めてしまっていたのです。
自分たちのクラスの番の時には、もうスカートの前をぎゅうぎゅうに抑えてないと、
直ぐにでもおしっこが出て来てしまいそうな位、切迫した状況になっていました。

『指揮者なんて先生に任せて、スカートの上から股間をぎゅうぎゅうに抑えたままでも、
とにかくトイレに駆け込めばよかったんだ・・・』と、
亜理紗は、後にその時の事を何度も後悔することになりました。

でも、後悔は先に立たず・・・。
その時の亜理紗は、指揮者を放棄してトイレに行くなんて、考える事が出来ませんでした。
結果、指揮をするために、股間から手を放した瞬間に・・・。

or002.jpg
シャァァァァァァアアアアアァァァァアァアアァァァアアァァァァアア~~~~~・・

前にはクラスメイト、後ろには残りの全校生徒に教職員、
更に教育委員会のお偉いさん方まで見つめていると言う状況の中で、
亜理紗は指揮者の台に立った状態で、盛大におしっこをもらしてしまいました。

「い・・・いやぁ!!止まってぇ!!止まってよ!!!」
亜理紗は直ぐに両手でスカートの前を抑えて止めようとしましたが、
そんな事で一度出てしまったおしっこが止まる訳がありません。

パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ・・・

おしっこは、スカートの中から、大きな湯気を立てながら、勢いよく吹き出して、
指揮者用の足場に落ちて、周りに飛び散りました。
また一部は、パンツから亜理紗の細いながらもしっかりと筋肉のついた太ももを伝い、
靴下と上履きを薄黄色に染めあげて行きました。
前を抑えてしまったことで、スカートの前、袖口、制服の上着の一部もおしっこでびっしょりと濡らしてしまいました。
溜まりに溜まったおしっこは、なかなか終わらず、亜理紗を中心とした広範囲におしっこの大海原が広がりました。

更に・・・

「うわっ!!きたね~」
「かかった!!」
「どうしてくれんだよ!!」
「ふざけんな!!」
亜理紗の立つ足場の近くにいた何人かの生徒に、飛び散ったおしっこが掛かり、2次被害をもたらしていました。

「う・・っ、うわ~~~ん」
余りの恥ずかしさに、亜理紗はその場にしゃがみ込み、幼稚園児のような声をあげて大泣きしました。

『ザワザワ・・、ヒソヒソ・・・』

突然の事に、会場である体育館は騒然としました。
暫くすると、保健の先生が、泣いている亜理紗の元に駆け寄りました。
先生は、亜理紗の腰に持って来た大き目のタオルを巻くと、肩を抱きながら保健室に連れて行きました。

「朝野先輩・・・」
「うわぁ・・・」
「・・・赤ちゃんみたい」
体育館を抜ける途中、部活の後輩達の嘲笑うような会話が聞こえて来て、
亜理紗は、心臓が張り裂けそうになりました。

保健室に来ても、亜理紗は泣き止むことが出来ませんでした。

「えーーーん、うわぁあああ~~~ん!!」

(皆に私のおもらし姿見られた・・・。あんなみっともない姿を、男子にも、部活の後輩にも・・・)

「う・・うぐ・・・、ヒック・・・、うえぇえ~ん」

(終わった・・、私の人生終わった・・・、もう死にたい・・・、今すぐ、死にたい・・・)

「朝野さん、大丈夫よ、失敗は誰にでもあるんだから。取りあえず、お着替えしましょう、ね?」

「ぐす・・・、ヒック、ヒック・・」

「一人で、着替えられる?って無理か・・・」
とても一人で着替えられそうにないと判断した先生は、
その場にしゃがみ込むと、亜理紗のスカートのホックに手を掛けました。

「じゃあ、スカート脱ごうね~、片足ずつ足あげようか?うん良しっ、はい、脱げたね、偉い偉い~」

「えぐ・・、うう、ふぇぇぇえ・・・」

or003.jpg
「次はおパンツ脱ごうね、びっしょりで気持ち悪いもんね・・・、片足あげて~・・」
この調子で先生は幼稚園児をあやす様にして、亜理紗のお着替えを進めて行きました。

お着替えが終わると、亜理紗は先生からお土産袋を受け取りました。
着ている物のほとんど全てをおしっこで汚してしまった為、
その量は、ビニール袋2つ分と言う、相当な物になってしまいました。

ジャージ姿となった亜理紗は、ようやく泣き止むと、通学鞄にその恥ずかしいお土産を強引に詰め込みました。
自らのおしっこで汚した衣類で、不自然に膨らんだ通学鞄を見つめると、
情けなさが込み上げて来て、また泣き出しそうになりました。

まだコンクールは続いていましたが、今日については、そのまま帰る事が許されました。

「・・・ありがとうございました」
小さな声でお礼と言うと、亜理紗は鞄を背負いました。

「気を強く持ちなさい、ショックなのはわかるけど、明日もちゃんと学校に来るのよ、良いわね」

「・・・・・・・」
先生の問いに亜理紗は応える事が出来ませんでした。
そんな亜理紗を見てかねて、先生は、亜理紗の頭を手で掴むと強引に、「うん」と頷かせました。

「良し!!それじゃ気をつけて帰るのよ」

そうして一人、不自然に膨らんだ通学鞄を背負って亜理紗は家に帰りました。

家に帰ると、亜理紗は直ぐにシャワーを浴びました。
そして、そこでまた涙が枯れるくらい泣きました。

その後、亜理紗は母親におもらしをした事を話しました。
怒られることはありませんでしたが、母親は保健の先生と同じく、
「明日も休まず学校に行くように」と言いました。



「学校、行きたくないなぁ・・・」
翌日、亜理紗は嫌々ながらも、勇気を振り絞って学校に行きました。
亜理紗的には、小学校低学年時代にやらかした子が、
男子から「おもらし女、おもらし女」と、連呼され続けられたイメージが強く、
特に男子からの嫌がらせを警戒していました。
ですが以外にも、いやらしい目で見つめて来る感じがおもらし以前より強くなった位で、
男子が本格的にからかって来ることは殆どありませんでした。
その代わり、同性である女子の、
これでもかと言う程の陰湿極まりない悪口爆撃には、正直かなり疲弊しました。
特に酷かったのが女子トイレ内で、亜理紗が個室に入っているのを分かった上で、
意地汚い女子の集団が、悪口を言い続けました。

「さっきの授業中、危なかったぁー、昨日の朝野なんとかさんみたいになるとこだったぁー」
「ちょっとー、勘弁してよねー、超汚いじゃーん」
「それにしても昨日のあれさー、凄い量だったよねー」
「流石、バレー部の天才キャプテン様はおしっこの量も天才的だわー」
「私達じゃあ、到底真似できないわよねー」
「アハハー、したくねぇーー!!!」
しかも率先して、亜理紗のおもらしを馬鹿にしているのは、同じバレー部の部員達でした。

光の指す所に闇あり。

天才的なバレーのセンスで、周囲にその名を轟かす亜理紗に憧れを抱く人もいれば、
一方でそれと同じくらい、僻んだり妬んだりする者も存在します。
体育館でのおもらしは、そんなアンチ亜理紗勢力の、格好のネタになってしまったのです。

(き・・・気にしない、気にしない、負けるな亜理紗!!
あんな才能の無い奴らに何言われたって平気よ!!
・・・部活に行けば、私の事助けてくれる子だってきっといるわ・・・)
そんな淡い期待を込めて、亜理紗は放課後、部活に向かいました。
しかし、そんな期待は直ぐに消し飛んでしまいました。

亜理紗が、ネット張りなどの準備をしている後輩の横を通り過ぎた時、その後輩は挨拶をしませんでした。
その事に怒った亜理紗は、

「挨拶は!!」
と怒鳴りました。
すると後輩は、ようやく、しぶしぶ小さな声で挨拶をしました。

(何なの・・・、たるんでるわね・・・)
そう思った直後、その後輩が小さな声で言いました。

「威張ってんじゃねーよ、おしっこもらしたくせに・・・」

(!!!!)
その一言に、亜理紗は衝撃を受けました。

「ちょ・・・、今なんて言ったの!!!」
亜理紗は、動揺しながら後輩に迫りましたが、後輩は、

「別に何も、・・ってか邪魔なんですけど」
っと酷く人を見下したような目をして言って来ました。
これまでの、凛々しいキャプテン像と、
昨日の、赤ちゃんみたいに泣きながら体育館を去っていく姿とのギャップが、余りに激し過ぎたからでしょうか。
その後輩だけではなく、部の後輩すべてが、亜理紗に対して舐め切った態度で接して来ました。
代わりに後輩は、同じクラスの副キャプテンを支持する態度を取りました。
この副キャプテンこそ、女子トイレで最も声高々に亜理紗の悪口を言っていたアンチ勢力の大元締めです。
その日、亜理紗がいくら部員に指示を出しても、誰も相手にしてくれませんでした。
聞こえてくるのは、

「もらしが何か言ってる」
「もらしうるさいんだけどー」
「さっさと帰れよもらし」
と言った悪口の声だけです。

(もらし、もらしって、な・・何よ!!私の・・・、キャプテンの言う事が聞けないの!!!)
一方で、副キャプテンの指示には、皆しっかりと従いました。
たった1日、たった一度のおもらしで、亜理紗は部活内で孤立してしまいました。
居た堪れなくなった亜理紗は、部活を途中で抜けて帰宅しました。
もちろん呼び止めるものは誰一人として居ませんでした。

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(・・・・本気で死にたい)
帰りながら、亜理紗は本気で自殺を考えました。
その衝動を必死で抑え、何とか家に帰ると、
亜理紗は直ぐに自室のベットの中に潜り込んで、声を殺して泣き続けました。

(もう無理だ・・・、学校無理・・・、バレーも無理、全部無理!!!!!!無理無理無理無理!!!!!)

翌日、亜理紗は、ベットから一歩も外に出る事が出来ませんでした。

(学校に行ったら、また皆に馬鹿にされる、もらし、もらしって・・・、もう嫌・・・)
その日から暫く、亜理紗は部屋に引きこもりました。
その間、トイレでおしっこをするだけで、おもらした時の事がフラッシュバックして、
その度に、涙が止まらなくなりました。



亜理紗が部屋に引き籠ってから4日目の夕方。
一人のクラスメイトが亜理紗を訪ねてやって来ました。
2年生になって新しく友達になった、渡辺珠樹でした。

「あ・・・、朝野さん?大丈夫」
ドア越しに声をかけた珠樹でしたが、亜理紗からの返事はありませんでした。

「入るよ・・・」
亜理紗の返事を待たずに、珠樹は中に入りました。
亜理紗はベットの上で布団に包まって顔を出そうとしませんでした。

「その・・・、げ・・・元気?」

(・・・元気な訳ないじゃない、さっさと帰れ!!)

「何・・?学校だけじゃ飽き足らず、わざわざ訪ねて来てまで、バカにしに来たの。ご苦労な事ね」
亜理紗は完全にやさぐれてしまっていました。

「良いわ、聞いてあげるから、早く言ってよ・・・。満足したらさっさと帰って・・・」
自嘲的にそう言うと、亜理紗は布団の中でさらに身を丸くしました。

「ち・・違う、違うよ、朝野さん!!私、その・・・心配で・・・」

「・・・・・」

「学校・・、来なよ。み・・皆も心配してるし、その・・、悪口言ってた子達も、言い過ぎたって」

「嘘よ!!そんな事言って、学校行ったらまた馬鹿にするんでしょ!!もらし、もらしって!!!」

「嘘じゃないよ!!皆、謝りたいって言ってる。だから朝野さんと一番仲良しな私が励ましに行く事になって、こうして・・・」

「うるさい!!誰がそんな事信じるもんか!!帰れ!!帰れぇえええーー!!」

疑心暗鬼に陥っていた亜理紗に、そんな話はとても信じられませんでした。
頭に来た亜理紗は、突然むくりと起き出すと、近くにあった枕を珠樹に投げつけました。

「・・・分かった、今日は帰るね」
そう言うと珠樹は、ドアの方へ向かいました。

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「今日はごめんね、亜理紗ちゃん・・・。明日また迎えに来るから・・・」
最後にこう言って珠樹は帰って行きました。

(行かないわよ、学校なんて・・・。もう2度と行くもんか!!)

翌日、珠樹は言った通り、亜理紗を迎えに来ました。
でも、亜理紗は学校に行こうとしませんでした。
すると、放課後にまた珠樹はやって来て、また亜理紗を説得しました。

・・・そんなやり取りを、1週間程続けていると、珠樹の根気が遂に実りました。

「渡辺さん・・・、私、その・・・、学校、行ってみようかなって・・・」

「本当!!!良かった・・・、本当に、良かった・・・」
その時の珠樹の目には、涙が浮かんでいるように見えました。

その翌日、亜理紗は珠樹と共に教室に向かおうとしました。
でも、途中で足がすくんでしまい、無理でした。
保健室には何とか行く事が出来たので、
それから、中学を卒業するまで、亜理紗は、保健室登校をする事になりました。
キャプテンとして頑張っていたバレー部には、
あの日以来、結局戻る事は出来ず、事実上退部と言う形になってしまいました。
ちょっと悔しい気持ちはありましたが、そんな穴を埋めてくれたのは、珠樹でした。
珠樹は暇を見つけては、ちょくちょく保健室を訪れて、亜理紗の話し相手になってくれたのです。

3年生になり、進路の話題になると、珠樹は『黄水大附属高等学校』を受けると言うので、
亜理紗も、そこを受験することにしました。
珠樹と同じ高校に通いたいと言う気持ちは勿論ありましたが、もう一つ、大きな理由がありました。
『黄水大附属高等学校』は幼稚園から大学までの一貫教育制を敷いている学校で、
進学はエレベーター式の人が殆どで、途中で他所から入る人はごく僅かなのです。
つまり珠樹を除いて、同じ中学の人が存在しない環境で、学校生活をやり直す事が出来ると言う訳です。

(落ちたら、働きながら夜間学校にでも通おう・・・)
そう考えていた亜理紗ですが、決して得意ではない勉強を必死で頑張り、
「保健室登校」と言う内申書でかなり不利になりそうなハンデを乗り越えて、
珠樹と共に無事に合格することが出来ました。

「やったー!!珠樹!!珠樹のおかげだよ!!本当にありがとう!!高校でもよろしくね!!」

「ええ、高校では、教室で沢山お話ししましょう、亜理紗!!」
こうして二人の高校生活は幕を開けました。

そして。

月日は流れて、約2年半後・・・、現在に至ります。

続く。
  1. 2016/12/05(月) 20:04:42|
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お泊り会~1年生編~(後編)

※中編を飛ばしても、あらすじを確認すれば全く問題有りません。
(中編には失敗シーンの描写は一切ありません)



前回までのあらすじ。
彗ちゃんの提案で、笙湖ちゃん家でお泊り会をすることになった5人の1年生グループ。
実は普段と違う環境では未だにおねしょの不安がある園ちゃんですが、
自分を信じて、何も対策を講じぬまま、お泊り会当日を迎えました。
園ちゃんは、当日の朝になって、万が一に備えて「予備の下着」を1枚余分に鞄に入れました。
笙湖ちゃんの家に着くと、園ちゃんは、
取りあえずおねしょの不安は忘れて、5人で楽しくおしゃべりをして過ごす事にしました。
夕ご飯(オムライス)、部屋に戻って人生ゲーム、
笙湖ちゃん&彗ちゃん、園ちゃん&風ちゃん、杏奈ちゃんの3グループで順番にお風呂に入る等して、
いよいよ就寝の時間を迎えました。

果たして、園ちゃんの運命は如何に!?



「笙湖、布団に入る前に、もう一回トイレ行ってきなよ」
笙湖ちゃんのベットから一番近い位置で寝る杏奈ちゃんが、笙湖ちゃんに言いました。

「えぇっ!?・・大丈夫だよぅ、さっき行ったばっかりだし・・・」

「駄目!!最後にもう一度絞り出して来なさい!!」

「わ・・分かったよぅ・・・」
そう言って、笙湖ちゃんは、しぶしぶトイレに向かう事にしました。

「私も一緒に行くー、えへへー、連れショーン!!」
彗ちゃんも笙湖ちゃんの後について行きました。

「・・・あっ」
園ちゃんは、「私も・・・」と言おうとしましたが、言いかけてやめてしまいました。
このタイミングで言ったら、『おねしょの不安があるの?』
と思われてしまうかもと少し思ってしまったからです。

(乗り気るって決めた以上は、疑われるような事でさえ、なるべく避けたい・・)
そんな事を考える一方で、

(話しておくなら、今しかない・・・)
と焦る気持ちもありました。

暫くすると笙湖ちゃんと彗ちゃんが戻って来ました。

「ふぅ、案外また結構出たよぅ、さっきのまま寝たら、またおねしょだったかも、杏奈ちゃんありがとう・・」
そう言って、ベットの中の入る笙湖ちゃんに、

「あ・・あの・・水出さん・・・」
気持ちが揺れ動く園ちゃんが声を掛けました。

「・・・え?園田さん何かあった?」

「あの・・・・・」

(どうしよう・・・、言うなら今しかない、でも、おねしょしちゃうかもなんて・・・、言える??この場で・・・・)
ドクドク・・・
ドクドク・・・・
園ちゃんは鼓動が早くなるのを感じました。

「・・・園田さん?」

「・・・園ちゃん??」
そして・・・。

「ううん、な・・何でもないの、ごめんごめん・・・」
園ちゃんは、結局恥ずかしくて言う事が出来ませんでした。

「そ・・・そう、なら良いんだけど・・・」

「・・・・・・・・・・」

(こ・・・これで良いのよ、はじめから何も言わずに乗り切るって決めてたんだから・・・。この期に及んで、何弱気になってるの)

その後、

「・・・じゃあ、電気消すね」
笙湖ちゃんの言葉と共に、部屋の明かりが消されました。

「お休みなさい」
「お休み」
「お休みー」
「おやすみ」

「お・・・、お休みっ・・・」

(大丈夫、大丈夫・・・、おねしょなんかするもんか・・・、おねしょなんか・・・)
心の中で念仏のようにそんな事を唱える園ちゃん。
いつしか意識が遠のいて・・・、寝息を立ててしまいました。

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翌朝・・・・。

「ふぁあ・・・」
朝、7時半を少し過ぎた頃、園ちゃんは目を覚ましました。

(アレ・・?ココ何処だっけ)
若干寝ぼけている園ちゃん、目を擦って辺りを見渡すと、少しずつ目が覚めて来ました。

(あ・・・そうだ、水出さん家に来てたんだった・・・・・・・・)

(・・・・・・・・はっ!!!!)
とても重大な事を思い出した園ちゃんは、慌てて右手を股間にもって行きました。

(・・・濡れてるっ!!!)
一気に目が覚めた園ちゃんは、即座に跳ね起きて掛け布団を捲り上げました

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「・・・ど・・ど・・・、どうしよう・・・私、やっぱりやっちゃった・・・・」
目の前に広がる世界地図を目の当たりにした園ちゃんは、1秒ごとに、事の重大さに心が押しつぶされそうになりました。
そして、同時に後悔の念が次々と襲い掛かって来ました。

(うう・・、やっぱり昨日、水出さんや皆に話して置けばよかった。
水出さん、彗ちゃんと一緒にトイレに行っておけば・・・・。
お姉ちゃんの言う通りにしておけば・・・こんな事に・・・・)
ですが、今更どんなに後悔しても、もう手遅れでした。
これだけ大きな世界地図を作り、パジャマをびっしょりにしてしまっては、もう、バレるのは時間の問題です。

恥ずかしさももちろんありましたが、
それより後悔の念の方が遥かに大きくて、それを感じる事はほとんどありませんでした。

(・・・はっ!!このままじゃバレる!!)
気が付いた園ちゃんは急いで布団に入り直しました。
そして布団にもぐった状態で、周りを見渡しました。

(良かった・・、まだ皆寝てる・・・・、違う・・、清白さんがいない・・・)
杏奈ちゃんはいち早く起きたらしく、部屋にはいませんでした。
トイレ?それとも、下で笙湖ちゃんのお母さんのお手伝いでもしているのでしょうか??

(起きてる人のいない今の内に・・・、何とか・・・、何とかして誤魔化さないと・・・・)
必死に考える園ちゃんですが、これだけのおねしょを誤魔化す策は、何も浮かんでは来ませんでした。

(ううー・・・、せめて夏合宿レベルの規模なら良かったのにぃ~、何なのよこの量!!
どれだけ出してるの!?何でこんだけ出してて気が付かないの!?)
自問自答する園ちゃん、そんな時、誰かが階段を上がる音が聞こえて来ました。

(清白さん!?)
園ちゃんの予想通り、部屋の扉を開けて入って来たのは、杏奈ちゃんでした。

「ほらぁ!!皆もう起きてー!!いつまで寝てるのーっ!!!」
部屋中に聞こえる大きな声で杏奈ちゃんは言いました。
まるで、皆の保護者みたいです(笑)

(ど・・どうしよう・・・、バ・・バレちゃう・・・)
園ちゃんは焦りました。
杏奈ちゃんは、まず笙湖ちゃんの元へ向かいました。

「笙湖!!起きて!!」
肩を揺すると、笙湖ちゃんはゆっくりと体を起こしました。

「ふぁぁぁぁ~、杏奈ちゃんおはよう~」

「おはよう、おねしょは?」
杏奈ちゃんは直球で笙湖ちゃんに聞きました。
それに少し戸惑いを見せた笙湖ちゃんですが、掛け布団を両手で持ち上げ地図の有無を確認しました。
そして、

「・・・・今日はしてない!!」
笙湖ちゃんは笑顔で応えました。

「良し、これで朝の問題はなくなったわね」
杏奈ちゃんもホッとした様子で言いました。

(・・・問題有るの~っ!!!有りまくりなの~っ!!!清白さん・・・ごめん・・・)
続いて杏奈ちゃんは、なかなか起きない彗ちゃんを叩き起こしました。
そして、園ちゃんと、風ちゃんの元に近づきました。

(き・・・来たぁ~・・・!!ど・・・どうしよう・・・、バレちゃう!!!)

「園田さん!!小山さん!!朝だよ~」

「・・・・・・・・・」
園ちゃんは狸寝入りでやり過ごす事にしました。

「園ちゃ~ん!!起きろー!!」
彗ちゃんに耳元で大声を出されたり、肩を高速で揺らされたりしましたが、
園ちゃんは動じませんでした。

「杏奈ちゃーん二人とも全然起きないよー??」
彗ちゃんが園ちゃんの腰にまたがりながら言いました。

「2人とも夜更かしでもしてたのかしら??
・・・仕方ないわね、もうちょっとだけ寝かせて置きましょう、笙湖、彗、行くわよ」
3人は部屋を出て行きました。

(・・・行ったかぁ、ってか彗ちゃん重っ・・・、勘弁してよマジで・・・)
この場はやり過ごしましたが、一時しのぎと言うだけで、何の解決にもなっていません・・・。

(きっとまた直ぐ戻ってくるわ・・・、どうにかしないと・・・、
はぁ・・・、
せめて笙湖ちゃんも失敗してくれてれば・・、恥ずかしさも少しは和らいだのに・・・、
・・・・って、なに考えてるの私、・・・・・最低)
余りに身勝手な思考に自己嫌悪に陥っていると・・・。

~ちゃん、のちゃん
横から風ちゃんの小さな声が聞こえて来ました。

(風ちゃん・・・・起きたんだ・・・)
おねしょしちゃってる自分はともかく、
風ちゃんが目を覚まさなかった事に、園ちゃんは少し疑問を感じていました。
でも、風ちゃんがまさか・・・、と言う気持ちの方が強く、単なる寝坊だと考えていました。

ですが・・・。

「園ちゃん、起きて・・・、ど・・・どうしよう・・・」
どうも、風ちゃんの様子がおかしいです。
園ちゃんは、まさか!?、と思いつつ、風ちゃんの方に顔を向けました。
すると、そこには目に涙を溜めて困った表情を浮かべた風ちゃんの姿がありました。

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「園ちゃん・・・、どうしよう・・私、お・・おねしょ・・・しちゃったぁ・・・、グスッ」

「えっと・・・、その・・・・、わ・・・私もその・・・・、おねしょ・・・、あはは・・・」
園ちゃんは照れくさそうにそう言って、掛け布団を捲り上げて、世界地図を風ちゃんに見せました。

「・・・えっ!?」
園ちゃんのおねしょに、風ちゃんは心底驚いた様子でした。

2人はその後、どうするかを相談しました・・・。
っと言っても、2人ともパジャマも布団もびっしょりびちょびちょです。
出来る事は一つしかありませんでした・・・・。

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「水出さん、おねしょしちゃった。ごめんなさい」
再び戻って来た3人の前に、世界地図をさらけ出して、2人は謝りました。

初めこそ驚いた様子を見せた笙湖ちゃんと杏奈ちゃんでしたが、直ぐに落ち着きを取り戻して、テキパキと後始末に取り掛かりました。

「あの・・・、お布団・・・、クリーニング代、ちゃんと払いますから・・・」
知らせを受けた笙湖ちゃんのお母さんに、園ちゃんと風ちゃんは言いましたが、
お母さんは「何言ってるの、そんなのいいわよ」っと2人に笑顔を向けて言いました。

「いえ・・・、そういう訳には・・・」
っと譲らない2人にお母さんは言いました。

「昨日も話したけど・・・、私は、笙湖が沢山、友達を連れて来てくれた事、
あなた達が笙湖の友達になってくれた事が凄く嬉しくて、感謝しているの。
本当感謝してもしきれない位に・・・・。
それと比べれば、おねしょなんか、洗濯すればそれで済む事なんだから、気にしないで良いのよ」

「でも・・・」
それでも譲らない風ちゃん、お母さんはそんな風ちゃんの頭に手を乗せると、

「まだ言うかっ!!(笑)、子供が大人に気を使ったり、遠慮したりするものじゃありません。
・・・・覚えておきなさい」

「子どっ・・」
長女として下の兄弟2人の面倒を見ている風ちゃんは、子供と言われた事に、地味にショックを受けました。
まぁ・・でも、こんな風に他所の家でおねしょしてるようじゃまだまだ子供なのかなww

「このままじゃ、風邪引いちゃうからさー、早くお風呂入って来なよー。
・・・あっ、そうだ、今日は私が2人のお世話してあげるー。いつもして貰ってるお礼だよー」
そう言って彗ちゃんは、2人をお風呂場に連れて行こうとしました。

「え・・ちょっ・・・、彗ちゃん」

「あ・・、そういえばパンツはどうするの?」
気が付いた彗ちゃんが言うと。

「私ので良ければ・・・」
そう言って、笙湖ちゃんはタンスに向かおうとしました。
その時、「あっ・・」と気が付いた園ちゃんは、

「それなら私は大丈夫、1枚余分に持って来てるから・・・・」
特に何も考えずにそう言いました。
しかしそれは軽率だったのです。

「え・・っ?なんで余分に持って来てるの??」
最初に疑問に思ったのは杏奈ちゃんでした。

「え・・・?なんでって・・・??」

「確かにー、それって予めこうなる事を予感してたってことー???」

「それって・・・つまり・・・・」

「え・・ちょ・・・、何言ってるの皆・・・???」

「このおねしょは偶然じゃなくて・・・」

「え・・ちょ・・ち・・ちがっ・・・」
園ちゃんは焦りました。

「園田さん・・・、おねしょ、まだ治ってないの??」

「ち・・違うのーーーっ!!!!」
ちゃんとおねしょが治っていない事までバレてしまいました。
風ちゃんとお風呂に入りながら、やっぱり事前に話しておけばよかったと思う園ちゃんでした。

因みに風ちゃんのおねしょは本当に偶然だったみたいです。
友達の失敗に自然と誘発される体質なのかも(笑)



こんばんは、

今回はまとめてお送りしました。
全部読むと長いですが、3連休と言う方も多いかと思いますので、
ゆっくり読んで頂ければと思います。(これを最後に書いても仕方がないのか?w)
最後の、余分に持って来たパンツでおねしょ癖がバレると言うのは、
自分自身の小学校時代の実体験がベースになっています。

次回はまだ未確定ですが。
短めにさらっと終わらせたいと思います。
早穂ちゃん・・・かな、
その後は、悠奈ちゃん、もしくは公恵ちゃん(満を持して)と考えてます。
考えてるだけで決定ではありません。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。
  1. 2016/10/08(土) 17:05:16|
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お泊り会~1年生編~(中編)

※この中編には失敗シーンは一切ありません!!!※



先にあとがき的なもの。
こんばんは。
今回は、中・後編と一気に上げようと思います。
この中編は完全に趣味の産物と言うか。
5人の普段の女の子らしい様子(らしいかどうかは微妙ですがw)を描きたいと思って書きました。
過去にも何度かあったガールズトークのリベンジの様な物です。
なので、失敗するシーンはありませんのでご了承ください。
そんなん良いから失敗シーン早く見せろ、と言う方は、
この中編は飛ばして、後編の前回までのあらすじから読んでください。
(それでも全く問題有りません)



前回までのあらすじ。
彗ちゃんの提案で、笙湖ちゃん家でお泊り会をすることになった5人の1年生グループ。
実は普段と違う環境では未だにおねしょの不安がある園ちゃん、何も対策を講じぬまま迎えたお泊り会当日。
果たして無事おねしょせずに乗り切る事は出来るのでしょうか・・・?



金曜日、お泊り会当日。

1年生5人の仲良しメンバーは、学校帰りにそのまま笙湖ちゃん家に向かいました。
一旦帰るのも面倒臭いと言う事で、バックに寝間着と下着を入れてくるようにしたのです。

(万が一、おねしょしちゃった時に備えて・・・)
園ちゃんは、寝る前に履き替える分とは別に、もう1枚、おねしょした時用に下着を余分に持っていく事にしました。

(まぁ・・・、大丈夫だと思うけど・・・、大丈夫・・・、大丈夫・・・・)



「さ・・・上がって上がって・・・、ただいまぁ~、お母さ~ん、みんな来たから~」
笙湖ちゃん家に着くと、4人は2階の笙湖ちゃんの部屋に入りました。

「わー、広ーい、可愛いー!!」
杏奈ちゃん以外の3人は、笙湖ちゃんの部屋に入るのは初めてで、なかなかの広さに驚きの声を上げました。

「鞄その辺に置いて、適当に座って待ってて、お茶とお菓子用意するから・・・」

「はーい」
彗ちゃんは、鞄を置いて何となく机に目をやりました。
すると、ある物を発見しました。

「あ・・・、なんか見慣れた赤いブルマーが・・・」
そこには、洗濯されて綺麗に畳まれた保健室の赤ブルマーが、ど真ん中に堂々と置かれていたのです。

「えっ?!はぁうっ・・・・!!!!」
笙湖ちゃんは、猛スピードで赤ブルマーを掴むと、机の引き出しに突っ込みました。

「あ・・・、あはは、じゃ・・・じゃあ・・ちょっと待ってて・・・」
そう言って、笙湖ちゃんは部屋を出ました。

「ちょっとお母さんっ!!ブルマ、今日はあそこに置いとかないでって言っておいたのにーーっ!!」
部屋の外からでも聞こえて来る悲痛の叫びに、4人は目を合わせて苦笑いを浮かべました。

暫くすると、笙湖ちゃんは、お母さんと一緒に部屋に戻って来ました。

「お待たせー、ごめんね、なんかお母さんが皆に挨拶したいって言うから・・・」
すると笙湖ちゃんのお母さんは、ささっと笙湖ちゃんの前に出て来ました。
流石に親子だけあってかなり似ています。
お母さんはかなり若々しくて、ぱっと見姉妹と見間違える程です。

「初めまして、笙湖の母です、いつもうちの子がお世話になってます。杏奈ちゃんはお久しぶりね」
お母さんはお茶をテーブルに置き終えると言いました。
続いて笙湖ちゃんが、杏奈ちゃん以外の3人を紹介しました。

「8組の友達で、小堂彗ちゃん、小山風奏ちゃん、園田良波ちゃん」
風ちゃんと園ちゃんは、軽く会釈して答えました。
彗ちゃんは、

「おばさん、よろしくねー」
と元気良く答えました。

「あら、元気があって良いわねー。この子、おしっこもらしてばっかだけど、これからも仲良くしてあげてね」
お母さんは満面の笑みで言いました。

「はーい、おもらしは私も沢山してるから大丈夫ー、私、笙湖ちゃんとは保健室常連の仲間なんですよー」

「あら?そうなの?」
お母さんはちょっと驚きました。

「だから・・えっと・・、今日・・・、おもらししちゃったらごめんなさい」
彗ちゃんは、頭を搔きながら言いました。

「あんたそんな事言って、本当にもらさないでよ」
杏奈ちゃんが即座に忠告しますが、お母さんは、

「別に全然問題ないわ、笙湖もよくもらすし」

「ちょっ!!私そんなにもらさ・・なくもなくは・・ない・・けどさぁ・・
ゴニョゴニョと何か言ってる笙湖ちゃんを無視して、お母さんは続けます。

「私、笙湖がこんなに沢山友達を連れて来てくれて凄く嬉しいの。皆本当にありがとうね。
小堂さん、おもらしなんて、後始末すれば済むんだから気にしないで良いわよ。
それじゃあ、夕ご飯、腕によりをかけて作るから、待っててね」
言い終わると、お母さんは部屋を出て行きました。

その後、
本来の目的である所の、『おもらしし過ぎで凹んでる笙湖ちゃんを励ます会』が始まりました。

「はい、笙湖ちゃん!!プレゼントだよー」
彗ちゃんは、笙湖ちゃんに、綺麗に箱詰めされたプレゼントを渡しました。

「え・・ありがとう、誕生日でもないのに・・・なんかごめん・・」

「いいのいいの、早く元気になってねー」
箱を開けると、笙湖ちゃんが憧れるラノベ作家の、アニメ化された作品のグッズが入っていました。

「わぁ~、欲しかったんだコレ、嬉しい!!」
笙湖ちゃんは、目をキラキラさせて喜びました。

「みんなで相談して、池袋に行って買って来ました」

「ありがとう、大切にするね!!」
笙湖ちゃんがお礼を言った直後、
突然風ちゃんがスッと立ち上がって、自分の鞄を開けると重量感のある何かを取り出しました。

「私からは・・・これっ!!」
そう言って袋に入れられたその何かを、笙湖ちゃんの足元にドスっと置きました。
袋を開けて出てきたのは、『ハガレン』、全27巻・・・・の半分の14巻。

(どうりでなんか鞄重そうだと思ったら・・・)
4人の疑問はこの時解消されましたww

「全部持ってこようと思ったんだけど、流石に無理だった・・・」
っと前置きすると、風ちゃんは続けました。、

「ラノベも良いけど、たまには別の刺激も必要だと思うの!!
ってことで読んで!!絶対面白いから!!絶対!!
ハガレンを読まないなんて、人生9割損してるからっ!!
あ・・これは布教用だから、多少汚れても気にしないで、
家にはちゃんと、全27巻、完全版18巻、保存用、鑑賞用もあわせて~・・・・」

「あ・・ありがとう、今度ゆっくり読むね」
力説する風ちゃんに苦笑しながら、笙湖ちゃんは言いました。

「後コレ!!水出さんならわかってくれると思うんだ!!」
続けて風ちゃんが手渡したのは・・・、女性向け恋愛SLG。

「ええっ!!これは・・ちょっと・・・、男の子と会話するなんて・・、は・・・恥ずかしい・・・・」
そう言って、ゲームを風ちゃんに返しました。

「泉田先輩みたいな事言わないでよーっ(涙)」
風ちゃんのそちらの道への勧誘は、またしても失敗したのでした(笑)



プレゼント渡しが終わると、まったりと会話をしながら時間が過ぎて行きました。
学校関連の話題をつらつらと話していると、勝手に机の引き出しを開けた彗ちゃんが言いました。

「あ、トランプ発見ー、ねぇねぇ、トランプしようよー!!」
別に会話が盛り上がっていたわけでもないので、皆は気分転換に、彗ちゃんの提案に乗る事にしました。

「ただやるだけじゃつまらないからー、ビリの人は罰ゲームねー」
コヨーテの時みたいな事を彗ちゃんは言いました。

「じゃあ、1位の人の質問に正直に答えるって言うのどう?」
園ちゃんがそう提案すると、彗ちゃんは「いいよー」と答えました。

(良しっ!勝ってみんなの好きな人を徹底調査しちゃうぞー!!
折角みんなで集まってるのに、恋バナしないとか・・・あり得ないでしょっ!!)
園ちゃんは、絶対に勝つと気合を込めました。

こうして、始まったゲームはババ抜き、園ちゃんは執念で1番で上がりました。

「やったー、一番!!」
両手を上げて喜ぶ園ちゃん、残りの4人でゲームは続き、ビリは・・・。

「ま・・またビリ・・、この私が・・・、私が・・・・」
両手をついてショックで固まっている杏奈ちゃんでしたww

「それじゃあ・・、清白さん罰ゲーム!!」
ノリノリな園ちゃんは、続けて杏奈ちゃんに質問しました。

「清白さんはぁ~、今、好きな人がいますかぁ~!?好きな人の名前をフルネームで答えて下さーい!!」
言いながら園ちゃんは、マイクを向けるような仕草を杏奈ちゃんにしました。
残りの3人も、目をキラキラさせて、杏奈ちゃんに注目しました。

「・・・はぁ、園田さんの事だからそんな事だろうとは思ったけど・・・、良いわ、正直に答えるわよ」
皆は、杏奈ちゃんの次の言葉に集中しました。

「今、好きな人はいません。はい終わり・・・」

「えーーっ!!」
「杏奈ちゃん逃げたーっ!!w」
その言葉に、皆不満の声を漏らしました。

「駄目駄目そう言うの無し!!おもらしファッションで授業受けた程の人が、
今更恥ずかしがることなど何もないでしょ!?さあさあ、言っちゃいなー」
園ちゃんは再びマイクを向ける仕草を杏奈ちゃんにしました。

「おもらしファッションの事は言わないでっ!!・・・だから正直に言ってるでしょ、いないって」

「・・・本当?クラスに気なる男子位いるでしょ?1組だとほら、サッカー部の西村君とか、カッコよくない?」

「クラスの男子なんて一切興味ないわ・・・、西村?
あ~、あの色黒でやたら声がうるさい人?カッコ良い?あの人が・・・??」
杏奈ちゃんが全くわからないと言った表情をして言いました。

「杏奈ちゃんそりゃ酷いよー!!」
彗ちゃんが苦笑しながら言いました。

「あ・・でも近藤さんが言ってたけど・・・、西村君って泉田先輩・・。
あ・・・、同行会の先輩なんだけど、その先輩の事が好きらしいから、残念ながら脈ないよ」

「だから私は西村なんてどうでも良いのよ」

「あーーん、清白さんつまんなーい。
じゃあさ、好きとかは置いといて、そうだな・・・憧れてる人とかはいないの?」
園ちゃんは質問を変えました、すると、「それならいるよねー」っと笙湖ちゃんが杏奈ちゃんよりも先に言いました。

「え・・だれだれ?お父さんとか、そう言うのは要らないからね!!」

「杏奈ちゃんは、生徒会長さんに憧れてるんだよー、・・っあ、ごめん勝手に話しちゃった・・」
調子に乗って笙湖ちゃんは、杏奈ちゃんが話す前に答えてしまいました。

「お~!!神前生徒会長、・・・・って、女じゃん!!」
園ちゃんはノリ突っ込み風に言いました。

「べ・・別に良いでしょ、憧れてるだけなんだから・・・」
杏奈ちゃんは照れて顔を下に向けて言いました。

「確かに、神前先輩はカッコ良いよねー、頭も良いし、スポーツも凄い上手なんだって」

「それだけじゃないよ小山さん、生徒会長、髪はサラサラだし、スタイル良いし、料理も得意なんだって・・。
杏奈ちゃんが憧れるのもわかるよぅ」
風ちゃん、笙湖ちゃんは、生徒会長を絶賛する声を上げました。
しかし、彗ちゃんは・・・。

「でも、私と笙湖ちゃんと同じ、おもらしっ娘なんでしょ?」

「・・・・ちょ!!彗っ!!」
憧れの生徒会長の賛美に水を差す彗ちゃんの言葉に、杏奈ちゃんは声を荒げました。

「あー、そんな噂が確かにあるね」
ぼそっとつぶやく園ちゃん。

「神前先輩がそんなみっともない事する訳ないでしょ!!
そんなの全く根も葉もないうわさ話よ!!」

「でも、生徒会役員の公恵ちゃんが言ってたんだよー。
もう何度も見てるって・・・、ブルマーの貸し出し記録にも何度か名前が・・」

「武石さんがそんなしょうもない噂を広げてるのね!!
先輩をサポートするべき立場のハズなのに・・・、嘆かわしいわ」
生徒会長を崇拝する杏奈ちゃんは、生徒会長おもらしっ娘説を信じる気は無いみたいです。



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「所でさー、彗ちゃんは鈴木君とどうなの?付き合っちゃえば良いのに」

「うん、お似合いだと思う、鈴木君も間違い無く彗ちゃんの事が好きだしね」
結局、トランプは最初の1度きりで、その後は自然と恋バナにシフトして行きました。
今は彗ちゃんと彗ちゃんの隣の席の鈴木君の話になっています。

「えぇ!!彗ちゃん!!いつの間に鈴木君とそんな関係にっ!!」
笙湖ちゃんも興味深々みたいです。

「どうって・・・?鈴木君は友達だよー」
彗ちゃんは、そう言って首を傾げました。

「それだけ?なんかこう・・、感じるものはない?鈴木君から感じるでも良いや」
園ちゃんの問いにも「別に」とそっけなく応えるだけです。

「まぁ、彗にはまだ男女のお付き合いは無理よ、
そもそも、お付き合いするってどういう事か分かってるの?」
パンツ丸見えの杏奈ちゃんが囃し立てました。

「失礼な!!それくらいわかるよ!!
お外で一緒に遊んで、最後にチューするんでしょ、
・・でも、チューすると赤ちゃんが出来ちゃうから、大人になるまでしちゃ駄目なんだよー」

「・・・・・・」

「風ちゃんは?好きな人いる?」
園ちゃんはターゲットを風ちゃんに切り替えました。

「いるよー」
風ちゃんは即答しました。

「嘘!!誰々!?クラスの男子?」

「マスタング大佐とか~、リヴァイ兵長も良いね~、後、刀剣乱舞が今凄く熱いの~っ!!!」

「全部2次元じゃんっ!!!」
園ちゃんが、ツッコミを入れたその時。

「皆~、ごはん出来たわよ~」
下の階から、笙湖ちゃんのお母さんの声が聞こえて来ました。

夕ご飯の時間です。



ダイニングに着くと、テーブルには5人分の料理が準備されていました。
笙湖ちゃんのお母さんが5人を迎えます。
「皆座って、お父さんまだ帰って来ないから、先に食べちゃってね。私は後でお父さんと食べるから・・」

そんなお母さんが本日、腕によりをかけて作ったメインディッシュは・・・。

「わーーーい、オムライスだー!!私オムライス大好きーっ!!!!」
オムライスを見て、彗ちゃんは大はしゃぎしました。

「あら本当、それは良かったわー」

「おかわりーっ!!」

「まだ食べて無いでしょ!!」
先走り過ぎの彗ちゃんに、杏奈ちゃんが速攻でツッコミを入れました。

「ちゃんとおかわりあるわよ、沢山食べてね」

「わーい!!」
全員椅子に座ると、『いただきます』の掛け声と共に、楽しい夕ご飯が始まりました。
ここでも、おしゃべりは尽きず、色んな話題で盛り上がりました。
笙湖ちゃんのお母さんも加わって、笙湖ちゃんが、彗ちゃん達と仲良くなった経緯を聞いたりしていました。

・・・・・。

「ご馳走様ー、もうおなか一杯ー」
3杯のオムライスを完食した彗ちゃんは、背もたれに寄りかかって、おなかを摩りました。

「彗ちゃん、よく全部食べたね・・・」
園ちゃんもその食べっぷりには驚きを隠せませんでした。

「・・・太るわよ」

「食べた分、動いてるから太らないもーんっ!!」
意地悪な杏奈ちゃんの言葉に彗ちゃんは反論しました。

「それじゃあ、戻って、あのさ・・、人生ゲームやらない?昔買ってもらったのがあって・・・皆と遊んでみたくて・・・」
照れくさそうに提案する笙湖ちゃん、でも意外と皆も「面白そう」「懐かしいわね・・」と言った具合で乗り気でした。

「よーしそれじゃあ、お部屋に戻って、人生ゲームだーーっ!!」
彗ちゃんは、椅子から立ち上がると右手を突き上げ気合を込めました。
・・・が、直後。

「・・・の前に、ごめん、おトイレ・・、はぁう!!おなかが・・・」
グググ・・・ギュルギュル~・・・。

「彗ちゃん、大丈夫!!」
彗ちゃんは、笙湖ちゃんに支えられてトイレに向かいました。

(・・・そりゃあ、アレだけ食べればね)
彗ちゃんの後姿を見守る3人は、互いに見つめ合って笑いました。



ひとしきり人生ゲームで盛り上がった後、気が付けばもうだいぶ夜も更けて来ました。

「・・・そろそろお風呂入って、寝ようか?」
笙湖ちゃんが言うと、皆は頷きました。

「ねぇねぇ、笙湖ちゃん、一緒に入ろーっ!!」
彗ちゃんが笙湖ちゃんに、すり寄って来て言いました。

「え・・・、2人で入るの?!」

「でも、1人ずつ入ってると、時間が掛かるよね・・・
あ・・・、でも、2人で入るにしても、笙湖ちゃんは、杏奈ちゃんとが良いんじゃ・・」
園ちゃんと、風ちゃんが話していると、

「別に良いんじゃない、笙湖、彗と入りなよ」
杏奈ちゃんが言いました。

「笙湖とはしょっちゅう一緒に入ってるし、私の家でおもらしした時に・・・」

「杏奈ちゃんやめてよぅ!!私、杏奈ちゃんとそんなにしょっちゅう入って・・・ない・・・ことも・・なくは・・・ない・・ような・・あるかも・・ないかも・・

「その後、園田さんと小山さんで入って」
何かごにょごにょ言ってる笙湖ちゃんは無視してw、杏奈ちゃんは言いました。

「・・って、杏奈ちゃんは入らないのー?ばっちぃーよー」

「最後に一人で入るのよ!!!」

先にお布団の準備をしてから笙湖ちゃんと彗ちゃんは、お風呂場へ向かいました。



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「おー、笙湖ちゃん、結構おっぱい大きいねー、保健室で下半身は良く見るけど、おっぱい見るのは初めてかもー」

「え・・よく見てるの!?は・・恥ずかしい・・・、それに、その・・、彗ちゃんの方が・・・大きい」

「お肌もすべすべだしー」

「いや・・それも彗ちゃんの方が・・・」

「よーし、それじゃあ背中流しっこしようかー」

「う・・・うん、そうだね」

「これからもー、同じおもらしっ娘として仲良くしようねー」

「え・・・と、私は出来ればおもらしは治したい・・・けど・・」

「なんかさー、初めて会った時の事思い出すねー、保健室でお互いにお着替えし合いっこしてー」

「うん・・・」

「それから、杏奈ちゃんとも仲良くなれて、皆で遊んでー」

「私も、園田さんや、小山さんと・・・もちろん彗ちゃんも!!皆とこんなに仲良くなれて嬉しい」

「これからもみんなで沢山遊んで、良い思い出いっぱい作ろうねー」

「・・・うん!!」

その後。

風ちゃん園ちゃん、杏奈ちゃんと順番にお風呂に入って、いよいよ寝る時間になりました。

(続く)
  1. 2016/10/08(土) 17:04:14|
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お泊り会~1年生編~(前編)

笙湖ちゃんがおねしょと1日2回の学校おもらしをしてしまった日から、数日がたったある日の昼休み。
1年生グループの5人が集まってお昼ご飯を食べていると、彗ちゃんが笙湖ちゃんの方を向いて言いました。

「ねぇ笙湖ちゃん、私達みんなで集まってお泊り会しない?今週の金曜日から土曜にかけて?」

「えぇっ!!い・・・いきなりどうしたのぉ!?」
笙湖ちゃんは驚いて、手に持ったサンドイッチを落としそうになりました。

「沢山おしゃべりとかして元気出して貰おうかなーって思って、最近笙湖ちゃん沈んでるからさー」
『お泊り会』、これが元気の無い笙湖ちゃんを励ますべく思いついた彗ちゃんの計画でした。
事前にその計画を聞いた杏奈ちゃん、風ちゃん、園ちゃんの3人は、快く同意しました。

・・・いえ。

実はその中に一人、心中穏やかでない人物がいます。
その人については後程詳しく(笑)

「え・・・と、楽しそうだけど・・・、でも私、おもらししちゃうかもしれないし・・、お・・おねしょも・・」
笙湖ちゃんが、ぼそぼそとした口調で言いました。

「それは私も同じだから心配いらないよー、大丈夫、大丈夫ー!!」
彗ちゃんが胸を張ってそう言うのを聞いた笙湖ちゃんは、

「彗ちゃんがそう言ってくれるなら・・・、良いよ、・・・迷惑かけるかもだけど・・・」
っと言って計画に同意しました。

「やったー決まりだねーお泊り会ー、わーい楽しみー!!」
彗ちゃんは、いきなり立つと飛び跳ねて喜びました。

「彗うるさいっ!!食事中でしょ!!」
杏奈ちゃんに注意されて、彗ちゃんは座り直しました。

「だって杏奈ちゃん、お泊り会なんだよー!!外では沢山遊んだけど、誰かの家に5人で集まるのって今迄一度も無い事だよー」

「そりゃ、あんたと笙湖がおもらしするからよ、
でも今回はあんたの家でしょ、あんたが自分の家でする分には別にね・・・。
さっき言ってたけど、仮に笙湖がしちゃっても大丈夫なんでしょ?」

「え・・?私の家は無理だよー」

「何よそれ!!私、あんたの家でやるものだとばっかり・・」
杏奈ちゃんが呆れたような口調で彗ちゃんに言いました。

「皆もそうよね?」

「う・・うん・・・」
他の3人も、てっきり言い出しっぺの彗ちゃんが自分の家に皆を呼ぶものだとばかり思っていました。

「だって私の家狭いし小さいし・・、流石に4人も呼べないよー」

「じゃああんた、一体誰の家でやろうと思ってたの?」

「そりゃあ、杏奈ちゃん家でしょー!!アレだけの広さがあれば問題無いしー、
4Kテレビ置いて有るしーお風呂も立派だしー、おもらししちゃっても安心安全ー」

「おもらしする事を前提に考えるなー!!冗談じゃないわ、お断りよ!!」
杏奈ちゃんは、両手で×の形を作ると全力で断りました。

「えー、いけずー」

「私は笙湖の事は守るって決めてるから、笙湖のおもらしには責任持つけど、
悪いけど、あんたは別よ、どうしても私の家でやるって言うなら、家にいる間は、あんたにはオムツをつ・・・」
「じゃあいいや、風ちゃん家はー?」
杏奈ちゃんに早々に見切りをつけた(笑)彗ちゃんは、風ちゃんに尋ねました。

「ちょっと難しいかな~。私、妹と部屋共有だし・・・、それに親も帰りが遅いし、あんまり夜騒ぐのは・・・」
風ちゃんは、難色を示しました。
彗ちゃんは続いて、園ちゃんにも尋ねましたが、

「ウチもちょっと4人は・・・、お姉ちゃんもいるし・・」
園ちゃんも難しいと答えました・・・。
困った表情を浮かべた彗ちゃんは、最後に笙湖ちゃんに尋ねました。

「え・・ウチ・・・?べ・・別に良い・・けど・・・・」

「本当っ!?やったー!!」
かくして、1年生5人のお泊り会は笙湖ちゃんの家で行われる事になりました。

(お泊り・・・・、お泊りかぁ・・・、大丈夫・・・かな・・・)
皆が楽しそうにしている中・・、不安な表情をしている人が一人・・。

それは・・・・。



お泊り会前日の木曜日の夕方。

「良波(らな)ー、あんた友達の家に泊まるとか・・・、大丈夫なの?」
夕飯の席で、園ちゃんは、明日のお泊り会について家族に話しました。
両親は、「迷惑をかけないようにね」と言っておしまいでしたが、
園ちゃんのお姉ちゃんは、ある事が気がかりで、夕飯後、廊下で園ちゃんに声をかけました。

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「大丈夫って・・・、な・・・何が」

「最近、ようやく家ではしなくなったけど、よそ行くとやってるじゃない・・・」

「・・・・っ!!」
園ちゃんは、お姉ちゃんの言葉にドキッとしました。
まさか・・・見透かされてる・・・・!?

「おねしょ」
その言葉に、園ちゃんは顔を真っ赤にしました。

「はぁっ!!何言ってんのっ!!よそでしちゃったのなんて、小6の修学旅行が最後だしっ!この年になってする訳・・・」

「ハイそれ嘘・・・、あんた先月、部活の夏合宿でしたでしょ、おねしょ」

「え・・、何っ!!誰にも言ってな・・・、ハッ!!!」
思わず口を滑らせてしまった園ちゃんは、慌てて口を塞ぎました。

「帰って来た時、良波の顔見て直ぐに分かったわよ、お風呂でこっそりとパジャマとパンツ水洗いしてるのも丸わかりだったし」

「そんな事まで・・・」
誤魔化し切ったと思っていた園ちゃんは、バレバレだった事がわかって、悔しくて涙が出て来ました。

「何泣いてるのよ・・・、良波が私を騙すなんて10年早いわよ」

おもらしっ娘としては、彗ちゃん、風ちゃんよりも早く卒業を果たした園ちゃんですが。
逆におねしょっ娘としては、中2の途中まで不安があり、一番卒業が遅れました。
いえ、厳密に言えば、おねしょはまだ卒業していないのです。
それと言うのも、自分の家の自分の布団で寝る分には、まずしないのですが。
よその家等、環境が変わると未だにしてしまうからです。

中学の修学旅行では、早い段階で担任の先生と保健の先生におねしょの不安を相談して、
当日は、夜に起こして貰う対策で、どうにかおねしょをせずに乗り切る事が出来ました。
園ちゃん以外にも数人、同じように起こして貰ってトイレに行っていた生徒がいて、園ちゃんは少しホッとしました。
でも、その人達とはその後、卒業までずっと気まずい雰囲気で、まともに会話をする事が出来ませんでした。
その時の人たちは、皆違う高校に行ってしまいましたが、今でもおねしょをしているのでしょうか・・・。

中3に上がってからは、おねしょを一切しなくなったので、園ちゃんはもう完全に治ったと思いました。
なので、夏合宿の時は誰にも相談せず、園ちゃん自身も絶対大丈夫と自信を持って挑みました。
でも、残念ながら、パンツとパジャマ、お布団をおしっこで濡らしてしまいました。
ただ、万が一に備えて、就寝前の水分補給を控え、寝る直前にトイレに行っていた事もあって、
おねしょの規模そのものは小さく、他の部員や先生にバレる事はありませんでした。

「対策をとったとは言え、中学の修学旅行は失敗しなかったから、
合宿は様子見てたんだけど・・・、あんた結局治ってないじゃない・・・。
だから、今回は忠告してあげてるのよ。
友達の家でやらかして、迷惑かけないようにね」

「・・・・・」

「今からでも遅くないから、話しておいた方が良いんじゃないの?
馬鹿にするような子はいないんでしょ?」

「馬鹿になんて!!皆がそんな事する訳ないじゃん!!」
園ちゃんは語気を強めて言いました。

「なら迷う事ないじゃない、何も言わずにやらかして、恥かくのは良波だよ」

「うるさいなっ!!お姉ちゃんには関係ないでしょっ!!!」
大声を上げて怒鳴ると、お姉ちゃんは「あっそ」と言って踵を返しました。

「じゃあもう何も言わない、後で泣きついて来たって知らないから」

「お姉ちゃんなんかに泣きついたりしませんよーだっ!!」
園ちゃんは捨て台詞を吐くと、自室に駆け込みました。

(何よっ!!お姉ちゃんの馬鹿っ!!)
ベットに倒れ込むと、心の中でお姉ちゃんを罵倒しました。

修学旅行でのおねしょ対策は、担任の先生と保健の先生以外には話してないので、彗ちゃん、風ちゃんはその事実を知りません。
夏合宿のおねしょも、今日、こうしてお姉ちゃんに言われなければ、自分以外知るものはいないと思っていました。
つまり、彗ちゃんも、風ちゃんも、園ちゃんがおねしょをしたのを見たのは、小6の修学旅行が最後です。(一緒にやらかしながらw)
なので園ちゃんは、自分が未だにおねしょの不安を抱いているとは、流石にもう2人とも思っていないだろうと考えていました。

(よその家だとおねしょしちゃうかも・・・だなんて・・・、今更言える訳ないじゃない・・)
今迄散々、『あの時の自分は最早黒歴史』『もうあんな失態はあり得ない』等と、
笙湖ちゃんや彗ちゃんの前で言った来た手前、今更未だにおねしょするかも・・なんて格好悪くて言える訳がありませんでした。

(寝る前にこっそりオムツ付けて・・・、って、もしバレたら!?って言うか、そもそもオムツなんて・・彗ちゃんじゃないけど絶対嫌っ!!)
一瞬オムツも浮かびましたが、現役おもらしっ娘の2人ですらつけていない物をつけるのは、やっぱり抵抗がありました。
もう子供だって産める大人の体だと言うのに、その自分が赤ちゃんのようにオムツを当てるだなんて・・。
一人前の女としてのプライドがオムツを拒否しました。

(乗り切るしかない!!ええっ!!乗り切ってやるわっ!!おねしょなんて気持ち次第だわ、普段はしないんだし・・)
悩んだ末に園ちゃんは、誰にも言わず対策も講じず、気持ちでおねしょを抑え込む事に決めました。

(まぁ、何はともあれ、折角みんなで集まるんだから、楽しまないとね)
不安を抱えたまま、園ちゃんは、お泊り会当日を迎える事になりました。

果たして、無事に乗り切る事は出来るのでしょうか・・・?

(続く)


こんばんは。
今回は、当ブログで本格的に扱うのは初めて(だと思う・・)な、お泊りネタです。
そして、園ちゃんメイン回と言う、これも当ブログ初の試みで、初物ずくしですww
今迄、目立った活躍も無く、モブスレスレの様な存在だった園ちゃんですが、
意外な秘密と共にメイン回を勝ち取りましたよ(笑)
今回は、序章の様な感じになってしまいましたが、次回は、お泊り会がスタートします。
ご期待ください。

今回は挿絵が寂しい事になってしまったので、pixivに上げた自前絵2点を、pixivより画像大き目で上げます。
宜しければ見て下さい。

前回の日記に拍手を頂きました。
ありがとうございます。



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  1. 2016/09/28(水) 17:56:45|
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